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【映画感想メモ】『ロボット・ドリームズ』"いまの自分"をつくるもの

まもなく11月も終わろうとするこのタイミングで、今年観た映画のなかでもトップレベルで大好きと思う作品に出会えました。珠玉の映画ってまさにこういう作品のことなんだろうなと思う。
上映館は少なめだけれど口コミで少しずつ拡大しているようなので、ぜひできる限り多くの人に届いてほしいなあと思います…!!

あらすじ

大都会ニューヨーク。ひとりぼっちのドッグは、孤独感に押しつぶされそうになっていた。そんな物憂げな夜、ドッグはふと目にしたテレビCMに心を動かされる。
数日後、ドッグの元に届けられた大きな箱―― それは友達ロボットだった。セントラルパーク、エンパイアステートビル、クイーンズボロ橋……
ニューヨークの名所を巡りながら、深い友情を育んでいくドッグとロボット。ふたりの世界はリズミカルに色づき、輝きを増していく。

しかし、夏の終わり、海水浴を楽しんだ帰りにロボットが錆びて動けなくなり、ビーチも翌夏まで閉鎖されてしまう。離れ離れになったドッグとロボットは、再会を心待ちにしながら、それぞれの時を過ごす。
やがてまた巡りくる夏。ふたりを待ち受ける結末とは―― 。

公式サイトより

感想メモ

楽しくも哀しくも切なくもあり、そして何よりとてつもなくあたたかい映画でした。

子ども向けの絵本のような絵柄の2Dアニメーション。セリフなしのサイレントムービーで、主要キャラクターは「ドッグ(犬)」と「ロボット」というこの作品。
前情報だけだと『本当に楽しめるの?』と思う人もいるだろうけれど、この作品はこれらの表現"だからこそ"の魅力に溢れています。

とてもシンプルなキャラクターデザインで細かな描き込みがあるわけではないし、セリフもないけれど、だからこそ、それぞれの表情や音楽・街の音・景色などあらゆる要素がとても雄弁。登場人物たちの感情が手に取るように分かる。徹底して『心』を表現するということを、この作品は始終丁寧にやっていてすごい。

シンプルな絵柄ではあるけれど、ニューヨークの街並みはリアルだし、モブキャラたちも画面の奥でそれぞれ生き生きしていて。劇中曲もすべて実在する曲だし、ニューヨーク・メッツなんかも出てきたりと、デフォルメされたアニメーションでありながらもすごく現実味がありました。

例えば、同じようなテーマで実写作品をつくることもできるだろうけれど、そうなると急に生々しくなってしまうと思う。性別とか人種とか年齢とかが絡んでくるとまたテーマもぶれてしまうし…。
3Dアニメーションや、いわゆる"作画が綺麗"な写実的なアニメーションとかだと、へんにウェットにもなってしまいそう。

シンプルな2Dアニメーションだからこそ、セリフがないからこそ、犬とロボットだからこそ、キャラクターたちの性別が明確ではないからこそ。
だからこそ、普遍的で万人に伝わる映画になっているんだと思います。

楽しかったこと、幸せだったこと、辛かったこと、悲しかったこと。これまで自分の周りの人たちと一緒に経験してきたすべての時間が、いまの自分をつくっていて。
いまはもう離別したり疎遠になっていても、その人たちと過ごした時間は何らかの形で自分の一部になっている。
出会うということは、いつか必ず別れがくるということ。それは悲しいことでもあるけれど、そうはいっても人生は続いていく。また新たな出会いだってある。そういった経験の積み重ねが、人生をより豊かなものにする。もう戻れなかったとしても、決して失うわけじゃない。
終盤のロボットのあの姿がまさに、それを物語っていたと思います。

ラストシーン、自分の意思とは無関係に涙がこぼれました。暫くの間は、きっとあの曲を聴くだけで泣いてしまいそうだなあ。

ロボットがずっと笑顔なのも本当に心にくる。ロボットと鳥たちの交流もすごくよかったな。小鳥が飛べるようになるくだり、本当に愛おしい時間だった。

劇中に流れる有名曲の数々はもちろん、ジャジーな劇伴もすごくよくて。映画館からの帰り道、サントラを聴きながらストーリーを反芻して、ニコニコしたり不意に涙が出そうになったりしながら夜道を歩きました。

きっとこれから先のふとした瞬間に、この作品のことを何度も思い出すことになるだろうなと思います。いい作品に出会えて幸せだ…!

[鑑賞メモ]
2024/11/26 横浜ブルク13 シアター10(H-10)にて

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