42歳マル子、入籍前だけど不妊治療をはじめることにする|#1
不妊治療は結婚してからするものだと思っていた。
マル子はその時42歳。
前の年の暮れから付き合いだした男性とは結婚前提ではあった。
ただ、男性は自分より年下だったため、こんな年増と付き合ったばっかりに子供に恵まれない人生を送らせるのは申し訳ないなぁとマル子は思っていた。
ちょうどその頃、不妊治療に対して保険が適用されるようになったと知人から教えてもらった。それなら保険適用できる範囲でやってみようかと、2人で話し合って決めた。
となると、入籍を急がなきゃいけないのかと焦った。けれど調べてみたところ事実婚の関係でも保険適用できるということがわかった。
パートナーとは2、3歳どころじゃない年齢差がある。マル子としては、彼を自分に縛りつけたくなかった。
彼は結婚を前提に考えてくれているものの、子供ができなかったら事実婚の関係の方が何かと良いんじゃ無いかと思っていた。
そのほうが彼がもしいつかマル子から離れたいと思った時に、離れやすくなると思ったからだ。
なので入籍をしなくても不妊治療ができると知って、マル子はほっとした。
そうと決まればクリニック探しだ。
東京の御三家と呼ばれるところに行こうかとも考えたが、仕事をしながら通うには場所的に少し辛かった。
電車で30分圏内のクリニックで、口コミの評判が良いところにまずは行って見ることにした。
不妊治療というものは、行ってすぐ人工授精や体外受精が受けられるものではない。まずはパートナー双方の体の状態を調べるところからだ。
男性なら精子の健康状態を。
女性なら卵子や子宮の状態を。
男性は精子を提供して調べてもらうだけでいいけど、女性は色々と調べることがある。しかも1回で終わるわけじゃなく、複数の検査項目をこなすだけでもある程度の期間が必要なのである。
不妊治療をするまでは、そんなこと全く知らなかった。
だから最初にクリニックに行った時は、サクッと治療に入れて、それなりの成果が出せるんだろうなーなんて、マル子は思っていた。
甘かった。
そのクリニックでは、
月経1〜5日目の間にする検査が2つ。
月経7〜10日目の間にする検査が1つ。
月経9〜16日目の間にする検査が2つ。
月経19〜21日目の間にする検査が1つ。
月経周期関係なくする検査が4つ。
全部で10項目。
これ全て女性側だけでこの項目数。
なにこれほぼ毎週病院行かなきゃじゃないかとマル子は愕然とした。
対して男性は検査項目は4つ。けど1回行けばいいだけだ。
女性側の負担が大きいって、体だけのことじゃ無いんだって知った。
でもこれはまだ治療に入ってすらいない、序章でしかなかった。
