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~~『ハート・アンダー・ザ・ブレード』~~(元)オイランハッカー(元)JK(現)ニンジャ視点 #2

これはニンジャスレイヤーTRPGにおけるとあるセッションのプレイヤーキャラクター視点で小説化というなかなかあれなことをしています!内面描写も情景描写もほとんど後で盛ったものです。ガチで。ここまで考えたり書いたら何時間かかるんだ!他PCの内面描写や独立シーンをカットするというさらにあれなことをしてしまっているので色々イタイかもしれないけどキヲツケテネ!
前回


「さて、正直貴様らには勿体無い様な気もするが、ここまで着くのに一番遅かったパラノイア=サンにはこれをやろう」
そう言いながら路地からバンディットはあるものを取り出した…。

 バンディットはゴロゴロと防水シートをかぶされたものを引っ張り出した。どうやらタイヤが付いているらしい。そして重たげであった。
さらにかなり大きい。高さは人の腰どころか胸のあたりまであるらしい。
 バンディットは一度にやり、と笑みを浮かべてから防水シートを勢いよく取り払った。

 現れたのは、車イスだった。座席があり、タイヤがあり、後ろから押すための持ち手がある。誰が見ても車イスと答えると思う。
しかし、おかしい。まだ正面からしか見えていないが、まず座席がおかしい。まるでスポーツカーの座席、シートのようなものだ。さらに左側にだけひじ掛けがあり、先端部が丸いハンドガード?で覆われている。シートの下にもごちゃごちゃといろいろあり、なぜか吸気口まである。しかもタービンブレードを思わせるものがある。

 極めつけにおかしいのは、タイヤだ。太い。普通の車イスのタイヤは自転車のように細いが、車のそれを思わせるようなタイヤ径に対しての太さがある。
 側面からみると座席の背後にも大きな膨らみがあり、真下に向かってジェットパックのような2対のノズルが伸びている。しかもノズルの噴出口はフレキシブルに動くらしい。…ジェットパック?連想したものに訝しむ。

 にやにやしたバンディットが左側のハンドガードに手を突っ込んで何か操作すると、背中のふくらみが、ガチャンッという音とともに背後に向かって伸びた。ちょうど飛行機とかの前の座席にある折り畳み式のテーブルのような機構だった。そして現れたのはロケットエンジンだった。オムラ紋が描かれた、先ほどのノズルの倍はありそうな太さのロケットエンジンだった。

 呆気にとられている私たちにバンディットは得意げな声で「本来はシックスゲイツ用のオモc…ニンジャギアだが特別にくれてやろう」と言った。
ジェットロケット付き車イスだ」

 沈黙が路地裏を支配した。重金属酸性雨の雨音さえ聞こえなくなった…そう感じるほどであった。少なくともワイルドファングにとってはそうであった。
 バンディットの正気に不安を覚えつつ彼はパラノイアのほうを見た。流石にこれはキレるのではないか…、ミッションは始まる前から脱落者が出るのではないかと。しかしそこには満面の…歓喜の笑みがあった。さきほどまでのあからさまなイラつきのオーラは残らずオタッシャしていた。うわぁ。

 スゴイ!ゴツイ!!カッコイイ!!!ワイルド!!!!私のニューロンはそういった言葉で満たされた。さきほどまであったバンディット=サンへの怒りが一瞬で消えた。完全に私好みのプレゼントであった。かつてここまで私の好みに合致した贈り物があっただろうか。いやない。反語。

「よかったな女子高生!ZBRじゃなくて少し残念かもしれないが」サイケデリックメデューサの声はこの時の私には聞こえていなかった。座っていいかと目でバンディット=サンに尋ねる。頷かれる。速攻で座る。

 左側のハンドガードの中を見る。スティックとボタンがいくつかあった。ヘリコプターの操縦桿…サイクリック・コントロール・スティックを彷彿とさせた。座席の下にあったマニュアルを可能な限りの速度で読む。

(総開発費に435万も懸けたかいはあったか…)気に入った様子のパラノイアに満足感を覚えながら、同時に思う。(なぜビホルダー=サンは受け取ってくれなかったのだ…)
 こんなにかっこいいのに。

「…ではここよりはニンジャの時間だ。俺は基本手を出さんから貴様らの力をみせてみろ」
「アイアイ!」先ほどまでの不機嫌さはもう想像もできない上機嫌なパラノイア。「アハーハー!任せてくださいよ!おれは、ニンジャだ」赤い煙を吐きながら胸を張るサイケデリックメデューサ。『了解。まあ、見ておいてもらえれば良いですよ。』相変わらずインカムのスイッチ入れっぱなしのワイルドファング。

「…」それを見届けたバンディッドはその場にいるのにも関わらず卓越したニンジャ洞察力やソウル感知能力が無ければ見えない程に存在感が薄れていく。そして、やがてその場から離れたようだった。
『では、ミッションを開始する。オタッシャデー』
「ガンバルゾー!」
『アハハ!ヨロコンデー!では、サラバ!』
『よし、いくぜ!』
ニンジャたちは散り、ネオサイタマの闇に紛れ込んだ。


 私たちは簡単な打ち合わせをし、バンディット=サンの「マキモノを最初に手に入れたものには褒美をやる」という言葉もあることだし、別の入り口からアタックして競争することになった。私が電子錠のある扉。サイケデリックメデューサが物理錠のある扉。残ったところにワイルドファングが向かった。

 私はLANケーブルを伸ばし、LAN端子を接続した。直結ハッキングを行う。論理タイピング…うん、これくらいは楽勝だ。実際…『チョロい!』ロック解除!
 扉を開けると壁にたくさんのモニターがかけられていた。映っているのは様々な部屋だ…。どうやら警備室らしい。モニターの前には一人、男が眠そうに瞼をこすりながら画面を見つめていた。音を立てないように車イスを転がしながら侵入する。

 殺るか。そう決意する。警備システムをハックするには男の前のUNIXが必要だろう。クナイダートを取り出し、男の後頭部に向け投げた。
 しかし、クナイは逸れモニターを一つ叩き割ったにとどまった。男が振り返る。「アイエエッ!ニンジャナンデ!?」
「チッ何避けてんの!ムカつく…!ぜったい殺すし!」自分がしくじっただけなのだが思わずそう口から零れる。…恥ずかしい。バンディット=サンが見てるだろうに!逃がしてはならない。

 後ろ手で入ってきたドアをロックし、2対のロケットを起動、一瞬だけ吹かし、反転しながら反対側のドアの前に陣取る。
「えっ女子高生?オイラン?それともニンジャ!?」男は混乱しながら思いついたことを口から疑問という形で垂れ流す。
「女子高生で元オイランでニンジャよ!!何かワルイ!?」思わず叫び返す。インカムからサイケデリックメデューサのヤジが聞こえる。『ドーモ、騒がしいぞ女子高生。今なら万札5でヘルプしてやるぜ!』

『シネ!』私はそれに答えながらクナイを右手で構えた。左手で操作し、車イスを加速させる!「イヤーッ!シネ!」クナイで切りかかる!狙いは首だ。
「グワーッ!」クナイで切られた頸動脈から噴水のように血が吹き出る!そのまま動かなくなる。警備員は死んだ。

「ふん!あーもー汚れちゃうじゃん!」イスに座られたままだとハッキングの邪魔だ。蹴り落とし、転がす。男の胸の真新しいネームプレートには「ケビシ」という名が印字されていた。それが妙に記憶に残った。


 とにかくハッキングだ。物理的に侵入するのであっても(だからこそ)情報は必要だ。首元のLAN端子から延びたLANケーブルをUNIXに接続。論理ハッキング。私の本業だ。

  セキュリティは私にとってはない同然のものだった。手当たり次第に情報を得ようとする…が無理だ。ここのシステム自体に元から主導権がない。操作はセキュリティ会社が行い、ここは映像を見張るだけなのだ。カメラを止めることも、偽映像を流すこともできない。

 手に入った情報は監視カメラの映像…そこから得られたカメラの位置、各部屋の間取り、そこに人がいるか、この程度だ。(むー…)ニューロンで唸ってみせるがどうしようもない。

 そして目標の社長室の映像は手に入らなかった。そこだけシステムが完全に独立しているらしい。(ナンデ…?)一瞬疑問が浮かぶがすぐに答えは出る。当たり前だ。如何にセキュリティ会社相手とはいえ、社長室の映像を(そこから得られる大量の機密情報を)渡すわけがないのだ。

 他二人の位置も確認する。どうやら既にメインオフィスに侵入していたらしい。(むぅ…。)出遅れている。

 とりあえず得た情報は他二人にも伝えながら、先を急ぐ。LANケーブルを引き抜き、車イスを走らせる。カメラの視界に入る前にクナイを投擲。命中!カメラに突き刺さる!(よしっ!)

 あ、そうだ。あの二人にただで情報を渡してしまっている。ハッカーとしてそれはいけない。
『言い忘れてたけど!さっきの情報の分ちゃんとあとで払ってね?二人とも』
『磁気嵐!ヒヒー!』サイケデリックメデューサが即座に聞こえなかったふりをしてきた。よし、あとで強制徴収だ。
『ちょっと情報が遅かったんじゃないか?パラノイア=サン』
『なによ!まだ入ってない部屋の情報も教えたじゃん!』ワイルドファングに即座に反論する。
『おお、そうだったな。その分は考えておくよ』もしかして本当に気付いていなかったのかな。ありえるかもしれない。なにせインカム入れっぱなしだったし。

 ワイルドファング達はカンオケオフィス(サラリマンが押し込められる、作業終了まで残業するオフィスだ)に侵入していった。(ならこっちは…)倉庫に突入しよう。誰もいないし。
 倉庫は段ボールがあちこちに積まれていた。中央にある他とはなんか雰囲気が違った箱を開けてみる。なんか高そうなテックがあった。貰っておこう。


 そんなことをしているとワイルドファングから通信が入った。
『パラノイア=サン、そっちはどうだい?どうせなら最後の部屋は同時に攻略した方がよさそうだと思うが。』
『そこだけ情報ないもんねー。それでいいよ』断る理由は特にない。盾になってもらえるのだし。
『じゃあ、そっちに行く』
『ちょっと向かないかもしれないが、ドア開けてみる』数分と待たず再び通信が。
『アリガト?』別に集中すれば私でも開けれそうだけれど、開けてくれるにこしたことはない。
「お、開いた」扉が静かに開き、ワイルドファングが姿を見せた。『やるじゃん!』思わず喝采が口から出た。

『思ったよりも賢い貴様らの良い事を教えてやる』
その時、バンディット=サンから通信が入った。一言余計だなぁほんとに…。
『最近アンゼン・イッパンテキ薬品社はフリーのニンジャを雇ったらしい。それから…なにか兵器も買ったとな』
 ニンジャ、兵器…。いくら三人がかりとはいえ、ニュービーの手にはあまりそうだ。ミッション開始前の不安が蘇りかける。
『小賢しい限りだが、まぁなんとかして見せろ。通信終了』
そしてやはり、一方的に通信は切断された。

『なんと。危なかったと思う。やはり準備は万端にする必要がありそうだ。』
 確かに一人ずつ侵入するのは躊躇われるだけの情報だった。が。
「それだけ?もっと詳しくいってくれないと何もわからないじゃん!」
敵の数は?装備は?ジツを使うのだろうか?兵器は単なる銃器?それとも…オムラ・インダストリが最近開発したロボニンジャ?
 私はミッション開始前にお膳立てをされていると感じていたことを完全に忘れていた。

(………あーもう!)
とりあえず不安を棚上げにし、突入準備だ。
「アリガト」
ワイルドファングに礼を言いながら、隣を通り休憩室に入る。
(あ…)自販機が目に留まる。丁度いい。喉も乾いてたし。
 LANケーブルを突き刺しハッキング。財布取り出してトークン入れるよりこっちのがハヤイ。

 ガコッという音とともにオシルコ・ドリンクが取り出し口に落ちてくる。プルタブを開け、飲む。
「アマーイ…」
とりあえずの不安を忘れさせてくれるオシルコの甘さに感謝しながら、んくんく飲む。
その時、ハッキングがどう影響したのかわからないが自販機は火花を散らして爆発した。
(…!?)思わずビクッとしてしまう。ワイルドファングのほうを見る。バッチリ見られていた。(むー…)恥ずかしい。


あとは社長の執務室だけだ。
サイケデリックメデューサとも簡単に打合せし、私とワイルドファング組とサイケデリックメデューサで別の扉から別れて、同時に突入。混乱している間に制圧しようということになった。まぁセオリー通りといったところだと思う。

「じゃ、開けるわよ?」
ワイルドファングに一言断ってから、LANケーブルを差し込む。おそらく今日最後のハッキングだろう。流石に警備室のドアより、強力な防壁だったが私にとってはショウジドがフスマになった程度の差しかない。
ピピピ…!キャバァーン!「ヨウコソドスエ」
マイコ音声が開錠を告げる。
「ふふーん♪実際チョロいんですけどー?」
ほとんど同時にカンヅメオフィスからもドアを殴るガツンッという音が聞こえた。

『これは.....ニンジャの.....ドアノブ.....!』
インカムから声が聞こえた。どうやら開けるのを失敗したらしい。なにしてるのアイツ…。
「む?そっち行くか」
「え?行っちゃうの?」こっちから私一人で突入しろって言うのだろうかこいつは。
「いやこっちから行こう」
ワイルドファングは開いたドアの向こうへと入っていった。


 オフィス最奥の社長室…そこには私たちを待ち受けていたかのように(事実そうなんだろうけど)、キリングオーラを放つニンジャと、不気味な鉄の塊が立っていた。
「ドーモ。ソウカイヤの諸君。ニシグリーンマンバです」
ニンジャはアイサツした。アイサツは神聖だ。アイサツにはアイサツで返さなければならない。古事記にもそう書かれている。
「ドーモ、パラノイアです。アンタ邪魔なんだけど?」
「ドーモ、ニシグリーンマンバ=サン。ソウカイヤのワイルドファングです。」
私たちはアイサツを終えた…。社長室はガチャガチャ!もはやオフィスではない。ニンジャのバンッバンッイクサ場だ。
ニシグリーンマンバは訝し気にドアを見た。がとりあえず無視することにしたらしい。

「諸君らに恨みは無いが、フリーとしてはお宅の様な大御所よりも支払いの良い世間知らずの会社の方が居心地がいいのだ。なので、こちらからプレゼントを用意してある」
ニシグリーンマンバは実際強力なニンジャだ…。1対1では私たちのだれもが敵わないだろう。ならばヘイキンテキを妨げ、精神的に有利に立たなければならない。
「それで大御所と喧嘩したら意味ないじゃん?バカなの?」
できるかぎり憎たらしく、嘲る様に言ってやる。そう、もうイクサは始まっているのだ。

「そのための兵器だよ。お嬢さん」
ニシグリーンマンバは隣に並び立つ鉄塊を顎でしめす。
「ドドドーモ。モータターヤブでです。クラッキングされておりオムラは実際無関係でです」
(こいつオムラはソウカイヤとネンゴロなのも知らないとかマジバカじゃん?)こそこそワイルドファング=サンにささやく。実際ヤブ持ち出した程度でソウカイヤがビビるとでも思っているのだろうか。
(全くだ。まあ、馬鹿には死んでもらおう)

「こいつは俺がオムラから奪ったものだ。ようは武器なんて頭の使いようよ」
こちらの声が聞こえたのだろう。ニシグリーンマンバは得意げに言った。
私はモーターヤブをしげしげと眺める。そして言ってやる。
「なんかそいつ錆浮いてない?整備の仕方もわからないの?」
「錆はロマンだ。そんな事も分からんか!」ニシグリーンマンバは突如激昂した!

たしかにジオラマにはウェザリングと言って汚れや錆めいた塗装を施すことでリアリティを増す手法がある。だがこいつはバカなんじゃないだろうか。実戦に用いるのに意図的に性能低下を招くようなことをするのはマシンに対して冒涜としかいえない。という私の感情は以下の言葉として現れた。
ナニコイツ…キモ…

その一言でついにニシグリーンマンバが動き…そしてそれに気が付いた。
背後に
突如
現れた
ニンジャに。
「え?」
「イヤーッ!」やや押し殺した控えめなシャウト!「イヤーッ!?」間一髪で気が付いたマンバは前転回避!
呆然としていた私たちに現れたニンジャ…ソウカイシックスゲイツの六人の一人、バンディットは言った。

「何を見ている。貴様らが次にする事はなんだ」
むっとした私は思わず言葉を返す。
「そいつを殺せばいいんでしょ?そのあとマキモノ持って帰ればいい」
「正解だ。賢いシャテイだ」バンディットは無感情に言った。

「イヤーッ!」姿勢を崩したマンバにクナイを投擲!「グワーッ!」命中!肩に突き刺さる!
「ハハッ!ザマミロ!」快哉を叫ぶ!

そして私の前を…ピンクのクラゲと形容するしかないバケモノが通り過ぎた。四方八方に触手を伸ばしたクラゲ…なんとなくそれがサイケデリックメデューサだということは理解できた…は、触手を伸ばし、マキモノを手元に引き寄せると
『GWAHAHAHA!ドーモ、サイケデリックメデューサです!ヒヒヒ!GWAHAHA!死ね!名前も知らんが死ね!ウフー!』
一際太い触手をマンバへ振り下ろした!「グワーッ!?」マンバの右脚が粉砕される!

「ヌゥー!だがまずは貴様は捨て置く!イヤーッ!」
サイケデリックメデューサを無視して、バンディットの方を見たニシグリーンマンバの目が怪しく輝いた。しかしバンディットはその眼光を耐え抜く!だがマンバはそれに構わない。カラテを振るう!「コブラ・カラテ!イヤーッ!」「イヤーッ!」関節を無視したようなパンチだが、バンディットは見切りクロスカウンター!「グワーッ!」マンバは避けきれない。

そこに狼に変身したワイルドファングが赤い目を光らせながらマンバに飛び掛かる。「GRRRRRR!!」「グワーッ!?」追い打ちの蹴りが股間に命中!
「オノレ―ッ!!!」決死のマンバはバンディットとカラテ応酬を開始する。下手に手を出したらフレンドリーファイアになりかねない。私たちは攻めあぐねた。
私たちは。

モモモーーターヤブは治安維持に為に不穏分子をはははいじょします!
ヤブのアームに取り付けられた火炎放射器から液体燃料が極限のカラテ応酬を行う二人のニンジャに降り注ぎ…
「「え?」」
一瞬後に火が付いた。

ワーウルフとピンクの巨大クラゲは、自分たちに降りかかる炎を危うく回避した。唯一関係ない位置で見守っていた私はぬぼーっとそのあまりにもあんまりな光景を眺めていた。…ほかにどうしろと。
やがて…
「サヨナラ!」
炎の中から出てきたのはバンディットだけだった。

「…やっぱあいつバカじゃん?」思わずそう呟く。
「盗んだ兵器にやられるとは、インガオホー」いつの間にか近くに来ていたワイルドファングのつぶやきが聞こえた。
「ニシグリーンマンバ…。なんと恐ろしきニンジャだったことか」バツが悪そうにバンディットはぼやいた。その姿に思わず吹き出しかける。かわいいところもあるんだ。
「WAHAHA!カラダニキヲツケテネ!」軟体めいた腕を振っているクラゲは全員がスルー。

「バンディット=サンダイジョブ?」思わず尋ねてしまう。返答なんてわかり切ってるのに。
「…。こんなものは傷には含まれん。あとはあのクソ忌々しいポンコツだけだ!スクラップにしろ!」ほらやっぱり。
「アッハイ。ヨロコンデー」笑いをこらえながら頷く。
「ヨロコンデー」ワイルドファングは表情を抑えようとしているが、口の端が笑っていた。
「今ならオーガニックスシ、安くしときますよ?ヒヒー!」

「結構だ!」茶化すサイケデリックメデューサの声を振り払うようにスリケンを素早く二枚投擲!「イヤッ!イイヤァーー!!」
「スゴイハヤイ!」そのワザマエに思わず感心してしまった。
「イヤーッ!」それに続くようにクナイを投擲!
「ピガガーーッ!」降り注ぐスリケンと装甲がぶつかって火花が散る!

それに紛れるように接近していたピンクのクラゲが触手を振るう!火炎放射を保持していたアームが粉砕される!あの触手の威力凄すぎじゃない?
さらにワイルドファングが殴りかかる。装甲が歪む!

「ピッピガ…モーターヤブは賢く…つよ…い」
BATATATATA!!
「イ、ヤーッ!何だあのピンク色は!?」赤い煙を吐き、ブリッジ回避をするサイケデリックメデューサ。
苦し紛れにマシンガンを放つが、ニンジャにあたるはずもない。

「…。あとは貴様らだけで充分だろう。見届けてやる。貴様らのカラテを俺に示してみろ」
実はさっきの火傷が酷いんじゃ…。こちらの視線に気づいたのだろう。「…けして火傷が痛いわけではない」と付け加えた。うそくさい。

「アッハイ。そういうことにしときます。」まぁあまり見ていてもしょうがない。とりあえずヤブだ。
「イヤーッ!」二対のロケットノズルを起動。急加速て一気に接近し、すれ違いざまにクナイを叩きつける。「これがジェットカラテよ!」(まさかもうあそこまでロケット車椅子を使いこなすとは…やはり)

「GWAHAHAHA!ピンクの光を叩き潰す!」しなりを利かしたカラテスナップ力がモーターヤブの大質量を…叩き潰した!
「ピガガガーッ!」
フライパンめいて平らになったモーターヤブは完全に沈黙した。
「よし!やったな!」
「スゴイじゃん!サイケデリックメデューサ=サン!」
純粋な気持ちで私たちはサイケデリックメデューサを称えた。が、「ドアノブは困難だが、ピンクの光を捉えるとなれば別だ!ウフー!」こいつはやはり、ラリっていた。


オフィスを脱出した私たちはエンガワ・ストリートでいったん落ち着いた。
「…一先ずは御苦労だった」
「「オツカレサマデシタ!」」私とワイルドファングは声をそろえていった。
「あの日おれが殺したのはブッダだったんだ。アーッ!違いない!」残り一人はラリっていた。

「おい。その薬物中毒者をどうにかしろ」呆れた顔で言うバンディット。
「エー…」近寄りたくないなぁ…。と思っていると「イヤーッ!ワイルドファングが殴りかかった。「イヤーッ!?グワーッ!?」仰向けに転倒するサイケデリックメデューサ。
「失礼しました」

「貴様らはふざけた奴らだがある程度の実力があるのはわかった」
「ドーモ」一応答えておく。
「実際あの恐ろしきニンジャと兵器にはあやうく苦戦しかけたからな」
(バカとポンコツじゃね?)(ポンコツは大いに認める)ひそひそ話す。
「斥候ニンジャはノーカラテだ、戦場にたたぬ腑抜けなどという者もいる」 

「その辺もハッカーも一緒」ふふんっと胸を張る。だれだ今薄い胸って思ったやつ。
「そうだな。方法は違うがたしかにハッカーもそうだ。だが、分かっただろう。我らは常に命を掛けているのだ」
「とりあえず苦労してるのはわかった」頷く私。なにせ火炎放射を浴びた後も威厳を保たなければならないのだから…。他二人もうなずく。

「だが…貴様らなら。うっうん!。」咳払いをするバンディット。「もう少し鍛えれば貴様らも使いものになるだろう」
「へー…」思っていなかった誉め言葉に思わずにやにやする。
「ウフー!ノーカラテ・ノードラッグ!おれはそれを貫き通すぜ、バンディット=サン.....」ピンクの煙を吐いているサイケデリックメデューサ。こいつはいつまでキメてるんだろう。

「なにを言ってるのだお前は。そうだマキモノを奪ったサイケデリックメデューサ=サンには褒美をやる約束だったな」
そういうとゴソゴソと荷物をあさりだした。
「受け取れ。これが貴様がカラテで手に入れたものだ」

ニンジャスーツを手渡す。…どうやらバンディットとお揃いらしい。
「ウオーッ!ドーモ!帰ったらピンク色に塗るぜ!ドラッグだ!」
「ふふふ。礼は不要だ。シックスゲイツ御用達の職人に作らせた逸品だ。」
嬉しそうなバンディット。贈り物をあげるのが好きなのだろうか。

浮かれている(のだろうか?ラリっているからよくわからない)サイケデリックメデューサとそれの相手をしている私たちを見て、バンディットは一瞬遠い目をする。
「どしたのバンディット=サン?」
「…いや、なんでもない。では、解散。次回のミッションはおって連絡とする」
それだけ告げるとバンディットはネオン看板の光に溶けるように消えた。

「アイアイ。またね、おっさん♡」
こうして私の…私たちの初ミッションは終わったのであった。


『ハート・アンダー・ブレード』第1話『ステルス・ミッション』

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