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ヴィブラフォンのヴィブラート

 はじめにお断りしますが、わたしは音楽の素人なので、その方面をご存じの方には当たり前のことばかりです。

FMのジャズ番組を聞いていて

 「ヴィブラフォンには電動の羽がついていて、それがくるくる回ってウォーンウォーンと振動する音になる」という話を聞きました。えっ、そうなんだ。まったく知らなかったので調べてみたのです。
 確かに、タイトル画像のように、鍵盤の下にぶら下がっている共鳴管の上部に、薄焼きせんべいのような円盤(「はね」)が横棒に張り付いています。この横棒が電気モーターで回転すると、薄焼きせんべいもくるくる回転して共鳴管を閉じたり開いたりするわけです。なるほど。
 何と、この仕組みで音量が増減してヴィブラートがかかったように聞こえるので、「ヴィブラフォン」なのだそうです(Wikipediaによります)。
 「はね」の回転スピードをモーターの電流で制御し、残響を止めるダンパーペダルと併用すると、音の余韻を自在に変化させる演奏が可能になります。ジャズ・ミュージシャンに表現力のある楽器として取り入れられるためには、必要な装置だったのかもしれません。
 しかし、ライオネル・ハンプトンなど、いくつかの代表曲を聞いてみて、思いました。そこまでしなくても十分に残響のある独特の音色なのに・・・と思うのは素人考えでしょうか。

「鉄腕アトム」イントロの全音音階

 子供の頃、ヴィブラフォンの音色に遠くの世界に連れていかれました。「鉄腕アトム」(アニメ第1作)の主題歌のイントロ部分です。(もちろん、当時は何の楽器か知りませんでした。)

「鉄腕アトム」イントロ部分(作曲:高井達雄)

 ヴィブラフォンの金属的で残響豊かな音と、全音音階の不思議な響きが印象的です。このイントロで、畳に白黒テレビの昭和の茶の間から、アトムが活躍する未来の都市へ、一気に心を飛ばされました。
 今聞いても、調性のない全音音階には、非日常的な世界を感じます。もちろんヴィブラートはかかっていませんでした。
 また、ヴィブラフォンのヴィブラートは音量の揺らぎなので、弦楽器のピッチの揺らぎとは異なります。子供の頃、習っていたヴァイオリンでは、ヴィブラートの習得に苦労しました。なかなかきれいにかかりません。どの程度の幅で、どの程度の速度で、というのも難しかったです。
 ヴィブラートをかけるために開放弦を使わないような指使いもあって、下手な初心者はますますヴィブラート嫌いになりました。バロックの曲ではかけない奏法もあるようなので、当たり前のようにヴィブラートをかけ続けるのにも疑問がありました。

なぜヴィブラートをかけるのか

 古典派後期~ロマン派あたりからかけ始め、20世紀には多くのオケで大々的にかけるようになったと聞きます。
 でもその経緯には、第一次世界大戦によるガット弦からスチール弦への変化が関係していた、と大井駿さんが数年前に下記リンクの記事に書いています。

 ヴァイオリン族楽器のガット弦は、イタリア中部のアブルッツォ地方の羊の腸から作られていました。しかし、第一次世界大戦で交通が途絶し、もともと高価であったこともあって、工業的に安く作ることのできるスチール弦への転換が進んだとか。
 そして、「スチール弦で演奏する際に、ヴィブラートをかけて豊かな響きを作り出すことが必要になり」ヴィブラートが一般的になったというお話です。
 戦争が関係していたとは。これから先、AIが音楽をつくったり演奏したりする世界では、どうなるでしょうか。AIにヴィブラートは似合わないような気もしますが。

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