チューリップとビバーナム・スノーボール|花意匠 ならぶかたち

少し前の記事でご紹介をした畑ですが、実は自分で花を摘んで購入できる畑なのです。
教えるお稽古でも、私自身が学ぶお稽古でも大変重宝しており、これからの季節は、アリウム、芍薬、ヒマワリ、スプレー菊……と、リレーのように順番に咲き誇ります。
さて、この畑からいけばなに使う花を選んでいくわけですが、これがなかなかに一筋縄ではいきません。
「ただ綺麗なものを選んで、切ればいいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、実は違うのです。
同じチューリップであっても、色彩はもちろん、大きさ、茎の長さや太さ、まっすぐ伸びているか、あるいは曲がっているか……。これだけ沢山の花があれば、どれを選んでも同じに見えるかもしれませんが、一本として同じものはありません。
そこで、まずは第一印象を決める「花の色」をどうするか、思考を巡らせます。
黄色は明るく元気をくれますが、その力強い色彩は、時に他の花の色を霞(かす)ませてしまいかねません。「今回のメインにはどうだろう……」と、ひとまず脇へ。
そこから、オレンジ、赤、それとも二色混ざったものにするか……と、頭の中で組み合わせをシミュレーションしていきます。
色が決まれば、次は花の大きさ、開花の度合い、蕾ならいつ頃に咲きそうか。さらには葉のつき方、茎の長さ、花とのバランスなどなど……。
チェック項目を挙げればキリがありません。すべての理想をクリアする花は、広い畑でもほんの1、2本。時には少しの妥協を交えながら、ベストな数本をすくい上げていきます。

ところ変わって、こちらは我が家の庭のビバーナム・スノーボール。
畑のように多くの候補から選ぶ(オーディションする)わけにはいかないので、剪定も兼ねて、切っても問題のない場所を慎重に選びます。
そのため、手元に来るものはかなり「癖のある枝」になることもしばしば。
庭木を前にするとどうにも慎重になってしまうのは、過去に木を枯らせてしまった苦い経験があるからです。植物は人間が思うよりずっと逞しいので、杞憂だとは分かっているのですが……。

そしてこちらは、いつの間にか庭にやってきてくれた自生の子(笑)。ノヂシャです。
調べてみたら、サラダ菜として食べられることや、童話「ラプンツェル」の名の由来になった植物(あるいは花)だと知り、愛着が湧きました。
今回は、この三種を組み合わせて鋏(はさみ)を入れました。

小原流の「花意匠 ならぶかたち」です。
「ならぶかたちは、たてるかたちの展開で、三つの役枝が横方向に並んだ時の高さと間(ま)の変化による美しさを表現しています。以下略。


【お知らせ】
今回のような畑での花選びの基準や、お稽古で役立つ花型のより詳しい解説などは、表の記事でお伝えするには少し限界があるな、と感じています。
そこで、より深く「いけばな」の楽しさやコツをお届けできる場所として、近々メンバーシップの導入を考えています。
一歩踏み込んだ専門的な解説や、私なりの花との向き合い方を定期的にお伝えしていく予定です。
詳細が決まりましたら改めてこちらでご案内させていただきますので、どうぞ楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。
