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「男が産めるのうんこだけ」に対する、炎上バッシングを嗤(わら)う

 先の3月8日(この日は国際女性デーでした)、市民団体フェミブリッジ・アクション東京の活動家女性たち(菱山南帆子さん、石川優実さんら)が新宿駅前で集会を行ないました。このとき菱山さんたちがラップ調で声を張り上げ、参加者たちがリズミカルに唱和した言葉が、ネットで問題視され、炎上しています。
 ただし、プチ炎上であって、どう見ても大炎上ではありません。これには
必然的な理由があるのですが、そのことはのちに述べます。
 問題となった言葉はこうです

「男が産めるのうんこだけ」

(このとき彼女たちは単刀直入に「男は黙れ」なんてことも言っています)
 で、ネット上に燃え広がった非難の言葉とはーー。
「子どもを産まなかった女性もうんこしか産んでいないということになるではないか」
「不妊の女性はうんこしか産まないと言いたいのか」
「トランスジェンダーの人たちも産めるのはうんこだけと言うのか」
「排泄と出産を同列に『産む行為』とするのは間違いだ」
「男が精液を産んでいるから女性は出産できる」
…と言ったものです。
 これらの言葉は論理的には間違っていません。
 間違ってはいないのですが、新聞をちゃんと読んでいる中学生なら、誰でも思いつくような小理窟(もっともらしいけど取るに足りない理窟)に過ぎません。そんなもの並べ立てて何を得意がっているのですか。
「うんこだけ」発言は明らかにミサンドリー(男性嫌悪)を表出した言葉です。嫌悪は感情です。論理ではありません。もっと強い言葉に置き換えれば「憎悪」になります。
 そもそも「男は黙れ」なんてフレーズ、男性憎悪の表れに決っているではないですか。
 嫌悪や憎悪の情念を叩きつける言葉が、必ずしも(「必ずしも」ですよ)論理的である必要などありません。
 非論理的な感情表現だって、もちろん表現の自由に含まれます。
「論理的(あるいは倫理的)に正しいことでなければ言ってはならない」としたならば、私たちの社会は確実に表現の自由を失います。
 日本におけるフェミニストの言説は、ミサンドリーを大きな動機としています。良く知られている典型例は上野千鶴子さんの著作ですが、もっと強烈なのが小倉千加子さんです。
 小倉さんのミサンドリーを最もよく表した言葉を記します。

「結婚とはカネとカオの交換である」

 凄い言い切りですが、私は不都合な真実を鋭く言い表していると思います。
 もちろん「結婚はそんなものではない」という論理的反論はいくらでも成り立ち得るのですが、このように「一面の真理」をずばっと言い切ってしまうメッセージを論理によって批判すること自体、意味がありません。
 そう、小倉さんのこの言葉は運動家としてのルサンチマン(恨み・復讐衝動)を込めたメッセージであって、元々学問的な論理的言説などではないのです。
 なお、このメッセージは、ミサンドリーと同時にミソジニー(女性嫌悪)をも含んでいます(ミソジニーを抱くのは男ばかりとは限りません)。その二つを同時に抱くことは、ニヒリズム(虚無主義)とイコールではありませんが、両者の隔たりはごくわずかです。
 誤解なさらないでくださいね。
 私はミサンドリーを大きな動機としているから、フェミニズム運動やフェミニストが間違っている、などと言うつもりはありません。
 フェミニストがミサンドリーを抱くには、相応の理由(男性優位社会の不合理)があるからです。
 ところで、社会学者の宮台真司さんはYouTubeで「クソ」と言う言葉を頻発しています。
「クソ社会」といった具合にですね。これは「ダメな社会」と同義語なのですが、「クソ」と言ったほうが語感はぐんと強くなります。宮台さんが単に「クソ」と言った場合は「ダメな奴」「ダメな人間」の強調形です。
 言うまでも無く、「うんこ」は「クソ」の完全な同義語ですが、さらにインパクトを増す言葉です。さすがの宮台さんも「うんこ」という言葉を公に口にしてはいません(いたかも知れないけど私は聴いたことがない)。
 そんなNGワード(禁句)を女性が口にすると、インパクトはさらに激増します。
 長い歴史を通じて、女性はおよそそのような下品な言葉を口にするものではないと思われてきたからです。
 ですから、今日の女性活動家たちが、そんなお下劣ワードを街頭で連呼している姿には、パワーが感じられて私は愉快になります。
 その一方で、個人的な好みを言えば、私は「〇〇〇」は言うに及ばず、
下品な言葉を口にすることなど想像もできないような、気品ある清楚な女性が好きです。常識打破のパワー溢れる活動家女性たちよりもずっと。もとより好みは論理ではありません。
 お分かりですね。
 私はフェミニズムの支持者ではありませんし、その良き理解者でも断じてありません。
 ただ、子どもみたいな言動(非論理的で当然)に青筋立てて小理窟並べることは、もっと子どもじみて見えるのでみっともない、と言いたいだけです。
 言わずもがなのことですが、良い歳した大人が公(おおやけ)の場において大声で「うんこ」なんて言うのは、そりゃ幼児性言語に決っているでしょ。
 私はこの女性たち、愉快だとは思いますが、もちろんお利口さんなわけがありません。

 そんな人たちの幼児的な言葉を槍玉に上げて、しかつめらしい〝正論〟を得々と展開し、よってたかって難詰(なんきつ)するとは、その構図自体がギャグ以外の何物でもありません。
 今回のプチ炎上騒ぎ、まるで「お前のかあちゃん出べそ」と言うのは「臍(へそ)ヘルニア女性、ひいてはヘルニアに悩む人々全体に対する侮辱で許し難い」と騒ぎ立てたようなものです。
 
本当にどうでも良いことですが、私も昨年脱腸でヘルニア手術を受けましたけどね。
 この「男が産めるのうんこだけ」の一件、ネットでは広まってバッシングされましたが、マスメディアはほぼ取り上げていません(だからプチ炎上に止〈とど〉まっているのです)。
 産経新聞は問題視して報じたのですが、「男が産めるの…だけ」と「うんこ」の箇所を伏せて表記していました。これでは何を問題としているのかさっぱり分かりません。
 私の知る限り、テレビやラジオはこの一件を報じていません。報じれば良いのに。そのシーン、思い浮かべるだけで笑いが込み上げてきます(だから報じられないわけですが)。うふふ。
 私は「うんこ」を初めとするお下劣ワードを連発して大人たちを困らせていた、私自身の子ども時代を思い出さずにはいられません。そして今一度、込み上げてくる笑いをかみ殺します。くっくくくく。

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