Vol.110 【産地で変わる味わい】知ればもっと美味しくなる「日本茶の銘柄」と「美味しさの秘密」
お茶を売り、お茶を学び、その魅力を共有する。 一杯の茶葉に詰まった歴史や健康の知恵を、皆さんと一緒に紐解いていく場です。
東京産茶葉の香りと共に、今日もお茶の奥深い世界をお届けします。
それでは、今日のテーマへ… note第110回目は、「お茶の産地と銘柄の関係」について。
普段、私たちが何気なく口にしている「日本茶」。パッケージを見ると「静岡茶」「宇治茶」「八女茶」など、さまざまな地名(銘柄)が書かれていることに気づきます。
日本全国には数多くの茶所があり、それぞれ独自の環境や製法でお茶を育んでいます。今回は、お茶の「銘柄」に隠されたルールや、地形(山間地と平地)によってなぜお茶の味わいが変わるのかという「美味しさの秘密」について、詳しく紐解いていきましょう。
1. お茶の「銘柄」と産地を結ぶ厳しいルール
全国各地のお茶の銘柄には、ほとんどの場合「産地名」が付けられています。これらは、生葉を「荒茶(あらちゃ)」に加工する産地(生産地)か、その荒茶をさらに仕上げ加工して流通させる産地(加工地)のいずれかの名前がベースになっています。
近年では、地域の特産品としてブランドを守るために、さまざまな認証制度が活用されています。
地域団体商標制度:地域名と商品名を組み合わせた農産物で、一定の基準を満たしたものを認定する制度。例えば「河越抹茶(埼玉)」「足柄茶(神奈川)」「加賀棒茶(石川)」「静岡茶(静岡)」「伊勢茶(三重)」「西尾の抹茶(愛知)」「宇治茶(京都)」「政所茶(滋賀)」「八女茶(福岡)」「うれしの茶(佐賀)」などがこれに登録されています。
地理的表示保護制度(GI制度):伝統的な生産方法や気候・風土といった特性が品質に結びついている産品を保護する制度で、「福岡の八女伝統本玉露」などが登録されています。
知っておきたい「JAS法」の表示基準
お店でお茶を選ぶとき、パッケージの表示をじっくり見たことはあるでしょうか。実は、都道府県名や市町村名を冠して「〇〇茶」と表示する場合、非常に厳格なルールが存在します。
「〇〇茶」と表示できる条件:その産地で収穫・製造された荒茶を100%使用していること。
「〇〇茶ブレンド」と表示する条件:その産地の荒茶の割合が50%以上100%未満であること。
つまり、単に名前だけでなく、その土地の恵みがどれだけ詰まっているかがひと目で分かるようになっているのです。
2. なぜ「山間地」のお茶は美味しいと言われるのか?
昔から「山間地(さんかんち)で生産されたお茶は美味しい」と言われています。銘茶の産地として知られる地域の多くは、川沿いの山間地に位置しており、朝晩に深い霧がかかる場所が目立ちます。では、なぜ山間地のお茶は美味しく育つのでしょうか。そこには気候と植物の生理が生み出す必然のメカニズムがあります。
① 寒暖差が生む「うま味」
山間地は平地と比べて日照時間が短く、気温も低めです。さらに「昼と夜の温度差(寒暖差)が大きい」という顕著な特徴があります。
この環境下では、お茶の新芽の生長がゆっくり進みます。摘み取りの時期こそ平地より遅くなりますが、茶芽が時間をかけてじっくり育つことで、お茶の「うま味成分」が長く体内に保たれるという効果が生まれます。
② 木々の陰がもたらす「成分の変化」
山間地では、まわりの木々が茶園に自然な日陰(ひかげ)を作ります。植物は日光をたくさん浴びるとカテキン類(苦味や渋味の成分)が増えますが、日陰で育つことでカテキン類が少なく抑えられ、代わりにアミノ酸類(うま味や甘みの成分)が多くなる傾向があります。
これにより、苦味や渋味が控えめで、まろやかな甘みとうま味が引き立つ茶葉に育つのです。
③ 唯一無二の「山の香り」
山間地のお茶には、平地にはない独特の清々しい香りがあり、これは「山の香り(やまのかおり)」と呼ばれ、愛好家の間で高く評価されています。
3. 「平地」のお茶の魅力とは?
山間地のお茶が称賛される一方で、遮るもののない広大な「平地」で作られるお茶にも、また違った素晴らしい魅力があります。
平地は日照時間が長く、昼夜の温度差が比較的少ないのが特徴です。このような環境で育ったお茶は、すべての味成分(うま味、甘み、苦味、渋味)が適度な濃さで調和します。そのため、山間地のお茶よりも「味が強く、しっかりとした飲みごたえがある」傾向になります。
毎日の食事に合わせたり、お茶らしいキリッとした渋みを楽しみたいときには、平地のお茶がぴったりです。
💡 まとめ:産地の風景を思い浮かべながら楽しむ一杯
日本の茶産地を見ると、北は秋田・岩手の「桧山茶」から、南は沖縄の「やんばる茶」まで、日本全国に実に多様なお茶の産地が点在していることが分かります。
静岡の「本山茶」「川根茶」「掛川茶」、京都の「和束茶」、鹿児島の「知覧茶」など、それぞれの土地が持つ気候や立地条件、そして地形の違いが、お茶の味や香りに微妙なグラデーションを与えています。
次に日本茶を飲むときは、ぜひパッケージの銘柄表記や産地を確認してみてください。それが山の中で霧に包まれて育ったお茶なのか、豊かな太陽を浴びて平地で育ったお茶なのか――。産地の風景を思い浮かべながら、色々な銘柄を試して、自分好みの味わいを見つけてみてはいかがでしょうか。
📌 次回は「茶道とアフタヌーンティーの共通点」についてお届けします♪ 最後まで読んでいただきありがとうございました!
それでは、また次回のnoteでお会いしましょう🍵 (スキ♡を押していただけると、勉強の励みになります!)
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