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アニポケで見る「強すぎるヴィランの葛藤」について

 自爆王です、こんばんわ。私は任天堂系のゲームの影響が意外と強く、ポケモンも初代から剣盾以外は全部やってます。
 剣盾は忙しくて触る暇が無かったんですよね。好きなタイプは炎・草・フェアリーです。
 
 さて、ポケモンは本編とは別に漫画であったりアニメでもメディア展開をしている作品なんですが、アニメの方は一度区切りを付けて今はリコとロイの物語を描いています。
 で、そんなリコ達の物語の悪役は「エクスプローラーズ」と呼ばれる集団。前世代のアニポケはサトシの冒険であり、割と軽いノリで進んでいたのですがこちらはワケが違う。
 というわけで、今回は「エクスプローラーズから見た、ヴィランの造形についての葛藤」を物書きの目線で考えてみたいと思います。


リコ達の冒険について

 では、まず今のアニポケ(海外だとPokémon Horizionsと呼ばれています)ですが、割とゲーム本編に忠実な設定で描かれています。
 スタートしたのがスカーレット・バイオレット(以下SV)発売後なので、SVの舞台であるパルデア地方が中心になっています。
 SVの売りであるテラスタルも戦闘の中心に据えられており、ゲーム同様切り札として使っているなーと。
 SV本編をプレイしてるとより楽しめる構造なので、販促としても問題ないでしょう。主人公リコの手持ちにいるテラパゴスはDLCの目玉ポケモンなので、そう言う意味でも販促が入ってるのかなと。物語中にはDLCで訪れる地方に足を運んでいましたし。
 サトシからの世代交代は当時賛否両論だったわけですが、私は賛に寄ってます。実際リコはカッコ良くて可愛いので、主な視聴者層たるキッズ層の反応が気になります。大人目線で見てもリコはカッコいい。

エクスプローラーズとは?

 そんなリコ達の冒険に立ちはだかるのが、冒頭に紹介した悪役の「エクスプローラーズ」です。元々はエクシード社と呼ばれる企業の会長ギベオンが発足させた組織なんですが、作中に出てくる「ラクリウム」を巡ってリコのご先祖様にあたるルシアスと過去に諍いを起こした結果、彼と喧嘩別れした事で生まれたという経歴が「レックウザライジング」編で明らかになりました。
 表向きは普通の企業ながら、リコ達の敵として見るとはっきり言って過剰戦力です。
 そもそもエクスプローラーズの幹部達はダイレクトアタックすら厭わないし、果てには「レックウザライジング」編の最終話でリコ達を社会的に嵌めるという、どう考えてもポケスペ世界からやって来た(※1)としか思えない所業をやって来ます。主にスピネルの指揮で。

※1 ポケスペ:漫画「ポケットモンスターSpecial」の事。ゲーム本編になぞる形で漫画化されたタイトルですが、ポケモンがトレーナーへ直接攻撃を仕掛ける「ダイレクトアタック」が頻発したり、果てには死者すら発生するほどにはハードな世界が特徴。思春期にこれを読んだせいで、私の脳はポケスペに焼かれている自覚があります。

強すぎるヴィランの問題点

 では、何故過剰戦力か? と言うと、それが主題である「強すぎるヴィランの葛藤」に繋がります。
 ゲームのポケモンだと、悪の組織の敵キャラは大抵たねポケモンか1進化ポケモンを中心とした下っ端が大多数を占めるわけですが、エクスプローラーズの場合下っ端戦闘員が存在せず、リコ達を襲うのは半端な戦力ではない幹部クラス以上。更にその手持ちは2進化や最終形の1進化ポケモンで構成されており、そもそもの地力が異常に高い。何ならテラスタルだって平気で切ってくるので、ゲームでコイツらが出てきた場合、ジムリーダーを遙かに超える強敵だったんじゃないかとすら思います。
 ゲームのポケモンで例えるなら、バッジを一つも持っていない初期状態の主人公に対し、容赦なくLv100のポケモンをぶつけてくるといえば分かりやすいでしょうか。流石にLv100は言い過ぎかも知れませんが、実際の所リコ達の手持ちがまだ、ニャオハやホゲータと言ったたねポケモンの段階でも無慈悲にそんな戦力をぶつけてきてるので、言い過ぎではないのか……も?
 しかもポケモン以外の兵力も申し分なく、サトシ時代のロケット団達が裸足で逃げ出すくらいにはガチ構成。高々十五~六歳の女子高生のリコ達に差し向ける戦力としては、明らかに過剰です。
 なので、序盤のリコ達は本当にエクスプローラーズ相手に為す術も無く、元エクシード社員でもあるフリード博士に丸投げせざるを得ない状況が多々あり、そのフリード博士ですら切り札を使わざるを得ないほどと考えれば、ホント滅茶苦茶なんだよなあ……
 ファイアーエムブレムシリーズで言えば、初めから強いジェイガンポジションのキャラにほぼ全て頼らざるを得ないという状況。ゲーム的な観点で行くと失敗も良いところです。確かに高難易度だとジェイガンポジションに投げざるを得ない戦況が頻発するものの、その中でちゃんと主人公達が育つ機会は多々恵まれていた。
 ですが、リコ達の場合その機会がとても乏しかった。

 悪役視点で考えるならそれくらいやって当然というか、私自身「ヴィランたるもの半端はいかん」という考えがあるので分からなくも無いのですが、「テラスタルデビュー」編終盤までリコ達の成長の機会を悉く摘み取ってしまったという、作劇的に大罪を犯してしまっている。それ故、エクスプローラーズが一時的に出禁になってしまったというのだから、私が先述した「過剰戦力」という指摘は間違っていないと思います。
 更に、何とか追い詰めたとて、諜報能力でもエクスプローラーズの方が遙かに上手であり、痛み分けにすら持って行かせて貰えないという、端的に言えばストレスが強くかかるストーリー展開になってしまっていた、という問題が発生してしまいます。
 リコ達が漸く勝てるようになったのが「テラスタルデビュー」編終盤辺りから。それでも今までにかかりつづけたストレスが遙かに強いため、未だカタルシスを得られていないのが実情かなーと私は思ってます。実際エクスプローラーズを見てたらマジでムカムカします。
 物語において「ストレス」と「カタルシス」のバランスはとても大事なのですが、対エクスプローラーズに関しては、ストレスだけかかっている感じです。

 ↑の私の引用RTは、放送当時のマジで出た本音です。丁度「レックウザライジング」編最終話の後、スピネルがリコ達を社会的に嵌めた時の怒りがそのまま口を突いて出てしまいました。
 外道ヴィランといえば黒白のゲーチスも過るのですが、ゲーチス率いるプラズマ団でも組織ぐるみで主人公達を社会的に殺そうとはしなかった

 そんなエクスプローラーズは完全に外道かっていうとそうでもないのですが、外道ではないキャラ付けをされており、今後味方寄り中立になるだろうアメジオは生死不明(というかテラスタルデビュー編でスピネルに物理的に殺されかけた。リコもろとも)なので、結局の所今のエクスプローラーズの幹部達は外道揃いです。きたないピカチュウサンゴ辺りは表向きにも分かりやすい。
 武人肌っぽいオニキスも、リコ達の実力を認めると言った態度を取りつつも結局の所同じ穴の狢であり、「テラスタルデビュー」編終盤のオレンジアカデミー襲撃事件の際は警備員相手にキョジオーンの塩漬けを放つ、というダイレクトアタックをかましていますし、「メガボルテージ」編でリコ達と戦った時は、エクシード社の喧伝もあったでしょうが死体蹴りをするという、おおよそトレーナーの風上にも置けない行動を取ってます。貴様も所詮はエクスプローラーズか、オニキス。

 テラスタルデビュー編終盤に発生した、オレンジアカデミー襲撃事件辺りからリコ達も漸くエクスプローラーズ相手に多少は戦えるようになったのですが、この襲撃事件も「戦いに勝って勝負に負けた」――つまるところ戦術的には勝利したが戦略的に敗北した(※2)戦いなので、メガボルテージ編に入った今に至るまで、痛み分けすら許して貰えてません。流石にやりすぎとちゃう?

※2 オレンジアカデミー襲撃事件においては、襲撃はあくまでも表だったものであり、エクスプローラーズの真の目的はテラパゴスのデータを奪取することであった。リコ達は「アカデミーの防衛に成功」という戦術的勝利は掴めたものの、「テラパゴスのデータを守る」という戦略的な部分での敗北を喫したことになる。

ヴィランの役割を再考する時

 そんなワケで、エクスプローラーズが明らかに過剰戦力で主人公達を潰しにかかっているので、私としては「ヴィランたるもの半端はいかん」と思いつつも、どっちが主役なんだ? と再考させられる良い機会を得られました。
 今のメガボルテージ編だと、リコ達の組織「ライジングボルテッカーズ」が再結成した(レックウザライジング編最終話でフリード博士が生死不明となり、ライジングボルテッカーズが解散していた)段階まで話が進んでいるんですが、これはこれでちょっと思う事があり。
 フリード博士が生死不明のまま作中時間が一年経過し、100話で彼の音声メッセージが発見されたというシーンがありまして。
 それは良いんです。重要人物の声が出たと言う意味では大きなポイントですし。ただね、本物のフリード博士かこれ?
 
まして、ポケモンSV本編の最終決戦が博士のAIアンドロイドという衝撃の展開だったため、フリード博士の肉声データを利用したAIではないのか? という疑惑すら上がります。具体的には、エクスプローラーズおよびエクシード社がリコ達を追い詰めるための策謀として、フリード博士の存在すら出汁にしている可能性があるわけで。
 生死不明になる直前のシーンが、上空でリザードンもろとも墜落するという場面だったので、仮に上手く着陸できたとて身体機能に何かしらの障害が残っていても可笑しくない。
 フリード博士と見せかけたフリードAIなんてやってきても驚きはしませんし、スピネル達ならそれくらいやってくるだろうというマイナスの信頼すらあります。
 
旧シリーズであれば素直に信頼できたのですが、エクスプローラーズの悪行が目に余る状況になってしまっているため、制作スタッフにすら疑惑の目を向けざるを得なくなっています。
 一応オープニング・エンディングでフリード博士の面影が出ているため何かしらの布石は置いているのでしょうが、素直に信じて良いの?

 100話終了後、公式ぺけったーがフリード博士のキャストである八代拓さんのボイスメッセージを公開したのですが、これすら私はキャストごと疑ってかかるくらいにはエクスプローラーズに強い不信感を抱いてます。そこまでさせる組織であった、ということです。
 つまるところ、ヴィランを描くに際して主人公達の障害となるのは結構な事ですが、さじ加減を誤ると多大なストレスと不信感を抱かせてしまう。更に言えば、物語の主役は誰なのか? という疑惑すら生み出してしまう。
 そのことをエクスプローラーズから学ぶ良い機会を得られました。制作スタッフの方々は当然プロなので、振り上げた拳を降ろす先を見極めているでしょうが、果たしてこの先アニポケはどうなるんだろうか?
 少なくともいち視聴者として私が望むのは、エクシード社およびエクスプローラーズへの法的な制裁。スピネルや幹部への肉体的制裁は二の次です。
 これについては、クラベル校長以下オレンジアカデミーとパルデアリーグ代表のオモダカさんがリコ達の後ろ盾になってくれる事が分かっているので、幾らか期待を抱けます。クラベル校長はSVでも周知の通り、パルデア地方屈指の聖人君子なので信頼に値します。
 新生ライジングボルテッカーズの反撃の狼煙はここから上がると思うのですが、果たしてどうなることやら。いち企業を相手に市民達が何処まで食い下がれるのか? という疑問も浮かびます。パルデアリーグ代表とオレンジアカデミーをバックに付けている事による発言力が全てではないか、と思ってます。
 これについては、私自身がかつて読んだ故・星新一のエッセイ「人民は弱し、官吏は強し」がどーしても過ってしまうのです。
 そんな期待と不安を抱きつつも、物語の行く末を見届けていこうと思います。それでは、今回はこの辺りで。


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