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komaki_kousuke
短編小説『夜に降る魔法』#シロクマ文芸部
夜に降る魔法はわたしの願いを叶えてはくれない。
今夜のハロウィンナイトは、魔法が降る。
人々は仮装し、いつもとは違うダークな魔法をかけ、願いを追った。
恋人と別れたい男。
不倫相手を離婚させたい女。
毒親から逃げたい高校生。
子どもから解放されてひとりの女に戻りたい母親。
会社をやめたいサラリーマン。
痩せたいのに食べたい女。
ビルから飛び降りるぐらいなら海底で眠りたい男。
義父の介護を一切やめて恋人と逃げたい女。
地位と女がほしい男。
美と男がほしい女。
魔法は皆に平等に与えられ、夜に降る。
わたしは目を血走らせ、ゾンビのようにひとりの男を追った。
男は逃げる。必死になにかをわめきながら逃げていく。
「いますぐわたしを抱きしめて」
気が付くと後ろから必死な形相の女が追いかけてくる。
なにかを叫びながら、まるでこの世のあらゆる不幸を背負ったような悲痛な顔で追いかけてくる。すごいスピードだ。
わたしは逃げた。
逃げまくってもうだめだと振り向いた。
追ってきた女は、わたしだ。
夜に降る魔法はわたしの願いを叶えてはくれない。
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