私の貴重な昼休み、返せ
昼休み中、一件の電話が鳴った。
「お薬手帳をなくしちゃったので、病院に何の薬を飲んでいるかFAXしてもらえますか?」
私は確認した。
「直近のお薬ですか?どちらの病院でしょうか?」
「……。」
しばらく沈黙が続く。
一分ほど経ってから、
「FAX番号が分からないので、病院名だけでいいですか?」
と返ってきた。
「病院から、お薬の情報をFAXするように言われたのですか?」
「はい。」
「マイナンバーカードはお持ちではないですか?」
「はい。」
お名前を伺い、レセコンで検索した。
病院に確認もせず、お薬の情報をFAXすることはできない。個人情報だからだ。
しかし、検索しても履歴が出てこない。
念のため生年月日も確認したが、やはり見つからない。
「こちらの薬局では、お薬をお渡しした履歴がありません。」
すると相手は驚いたように言った。
「えっ? ○○駅前にある薬局じゃないの?」
「いいえ、こちらは□□薬局で――」
ガチャ。
最後まで言わせてもらえなかった。
私は受話器を置き、時計を見た。
……早くお昼に行こう。
それにしても、不思議である。
どうやって、うちの薬局の電話番号にたどり着いたのだろう。
検索で押し間違えたのか。
何かを見間違えたのか。
真相は分からない。
分かっているのは、一度も利用したことのない薬局へ電話をかけ、薬局名も最後まで聞かずに切ったことだけである。
まあ、薬局ではこんなこともある。
いつもの日常の一コマだ。
※この様な話は、「現場メモ」にまとめています。
