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「最初にシャーしたほうが、負けるらしい」

碧君は今年11歳。
キャンディをお迎えした時、碧君は8歳だった。
ブリーダーさんの元を巣立ったその日から、
いや、正確には生まれた時から、ずっと一人っ子。

噛み癖があるのも、
兄弟と取っ組み合いをしたり、
力加減を学ぶ機会がなかったからじゃないかと、
私は思っている。

一方、キャンディ。
別のブリーダーさんのもとで生まれ、4兄妹の長女。
子猫ルームでは、毎日がお相撲大会。
転がり、噛み、追いかけ、
たくさんの猫にもまれて育った。

そんな2匹の、初対面。
碧君は怒った。
とにかく、怒った。
シャーシャーと威嚇し、
地の底から湧き出てくるような
「ウーーー」という低音。

最初は、
キャンディをケージに入れて、
少しずつ慣れさせようと思っていた。

……が、

碧君の拒否反応は想像以上で、
このままではキャンディが殺される、と思い、
慌てて夫の部屋に隔離。

ところがキャンディは、自由奔放に育った猫。
ケージに収まるわけがない。

出たい。
とにかく、出たい。
泣く。
鳴く。
叫ぶ。

こちらは碧君対応、
あちらはキャンディ対応。
人間2名、猫2匹。
全員が、限界。
そんな日々が、3週間ほど続いた。

幸いこの頃、夫はフルリモートの会社に勤めていた。

そのおかげで、毎日少しずつ、部屋のドアを開ける時間を作ることができた。
碧君とキャンディの対面時間。
ほんの数分から、慎重に。
お互いの匂いがついたブランケットを交換したり、
同じ空気を、同じ距離で吸う時間を増やしたり。

そうして2週間ほど過ぎた頃。
変化は、突然やってきた。
碧君のほうから、そっと近づき、
キャンディに鼻チュウ。

あのシャーとウーはどこへ行ったのかと思うほど、
その一瞬で、距離は一気に縮まった。

こうして2匹が歩み寄れたのは、
毎日少しずつ対面の時間を作り、
焦らず見守り続けた、夫の努力のおかげである。

……と、たまには褒めておこう。

猫同士にも、
ちゃんと「時間」が必要なのだと、
その時、私は知った。

今となっては、キャンディのほうが強い。
碧君は、キャンディにしょっちゅう怒られている。

この頃にもう少しキャンディに優しくしておけば未来は違ったのではないかと思っている。


キャンディ目線から見た碧君 怖い!
この頃、舎弟になる未来は想定外だった。

舎弟誕生の記録に、スキをひとつお願いします

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