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その針、登録されていないと思っていた——“前の職場の常識”が一番危ない


※これはマイクロファインの話だけじゃない。

注射針が処方されることは、めずらしくない。

「あ、この人マイクロファインね」
そう思って、入力を始めた。

最初に入力したのは、
「マイクロファイン」。

これしかないと思っていたし、
少し前に名称変更されたことも知っていた。

マスターも直した。
名前も、新しいものにした。
太さや長さも確認した。

——だから、大丈夫なはずだった。

でも。

薬剤師が用意していたのは、
「マイクロファインプロ」

「……プロ?」

一瞬、止まる。

ここで初めて気づく。

マイクロファインは、ひとつじゃなかった。

調べてみると、
「マイクロファインプロ」も存在していて、
これも同じように名称変更されていた。

名前は合っている。
変更されたことも知っている。
規格も確認している。

——それなのに、違うものが出てくる。

知っているつもりが、一番危ない。

さらにややこしいのは、

・名前(マイクロファイン/プロ)
・旧名称と新名称
・太さや長さの違い

全部が、混ざっていること。

大体、注射針なんて見たことがない。

目にするのは、せいぜい箱の名前だけ。


それでも入力は求められる。

私は、こう思っていた。

特定保険医療材料は、
マスター配信されない。

前の職場では、そうだった。

……いや、違う。
そう思い込んでいただけだったのかもしれない。

だから今回も、迷わず自分で作った。

マイクロファインプロが出てきたことで、
マスターを見直し、名称変更もした。

でもそのあと、気づく。

マスターは、すでに配信されていた。

ただし現実は、少し違う。

マスター配信より先に、処方は出る。

だからその場では、
やっぱり自分で登録しないといけない。

でも、そのあと。

配信されたマスターを使うか、
自分で作ったマスターを使い続けるか。

どちらかに統一しないといけない。

これをしないと、

同じものなのに、別物として扱われる。
結果、在庫がズレる。

しかも、気づかないまま。

本来は、ズレるはずがない。

制度は変わっている。
でも、現場の前提は変わっていない。

——だから、同じものがズレる。

だから今日もどこかで、
「もう登録するしかない」

そう思って、
同じマスターが作られていく。

これ、あなたの薬局でも起きていませんか?

同じマスター、増えていませんか?

気づかないまま、ズレていませんか?

“知らないまま使っている人”は、
きっとまだいる。

——気づかないまま。
それが、一番怖い。


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