業務を「減らす」前に、まず「見える化」する手順
「無駄な業務を減らしたいんです」
業務改善の相談を受けるとき、多くの経営者がこう言います。
忙しさに追われる中で、何かを減らして楽になりたい。
その気持ちは、とてもよく分かります。
でも、私はいつも、こうお伝えしています。
「減らす前に、まず見えるようにしましょう」と。
何が無駄なのかは、
見えるようにして初めて、正確に判断できるからです。
この記事を書いたのは、
「減らす」という行動の前に踏むべき「見える化」の手順を、
具体的に渡したかったからです。
読み終えたときには、今日から実際に手を動かせる、
はっきりとした手順が分かっているはずです。
もし今、業務を整理したいのに
何から始めればいいか分からないなら、
この記事はそのまま実践できる内容になっています。
なぜ「減らす」前に「見える化」なのか
理由は、シンプルです。
見えていないものは、正しく減らせないからです。
感覚だけで「これは無駄そうだ」と判断して業務を減らすと、
実は大切だった業務を削ってしまったり、
逆に本当に無駄な業務を見逃してしまったりします。
感覚は、思っている以上に当てになりません。
一方で、業務を目に見える形にすると、
「これは思ったより時間を使っている」
「これは意外と利益につながっていない」
といった事実が、はっきりと浮かび上がってきます。
この事実に基づいて判断するからこそ、
減らすべきものを、正しく減らせるのです。
見える化の手順・その1:一週間、時間を書き出す
最初のステップは、
一週間分の時間の使い方を、実際に書き出すことです。
難しく考える必要はありません。
手帳でも、スマートフォンのメモでも構いません。
「何時から何時まで、何をしたか」を、
その都度、簡単に記録していくだけです。
ポイントは、完璧を目指さないことです。
細かく分刻みで記録しようとすると続かないので、
30分単位くらいの、ざっくりした記録で十分です。
一週間続けるだけで、自分の時間の使い方が、
驚くほど具体的に見えてきます。
見える化の手順・その2:作業を三つに分類する
一週間分の記録がたまったら、
次はそれぞれの作業を、三つに分類していきます。
一つ目は、「利益に直接つながる作業」。
お客さんに価値を提供している、まさに本業の中心となる作業です。
二つ目は、「利益を支える作業」。
直接お金は生まないけれど、事業を回すために必要な作業です。
三つ目は、「利益につながっていない作業」。
習慣で続けているだけ、あるいは繰り返し発生しているだけの作業です。
この分類をしてみると、
多くの人が「利益につながっていない作業」に、
思った以上の時間を使っていたことに気づきます。
特に、同じ質問への対応や、確認・連絡の往復といった、
繰り返し発生する作業は、一件一件は小さくても、
積み重なると大きな時間になっています。
見える化の手順・その3:減らす前に「移す」を考える
ここまで見える化ができたら、いよいよ減らす段階に入ります。
でも、その前に、一つだけ考えてほしいことがあります。
それは、「減らす」のではなく「移す」という選択肢です。
利益につながっていない作業の中には、
なくすのではなく、仕組みで解決できるものがあります。
たとえば、同じ質問が繰り返し来るなら、
よくある質問をまとめた資料を用意しておく。
これだけで、その対応にかかっていた時間が大きく減ります。
作業そのものをなくすのではなく、
「かかる時間を減らす仕組みに移す」。
この発想を持つと、無理なく業務を軽くできます。
業種別に見る、見える化の実際
整体院の例です。
ある整体院では、経営者が「なんとなく忙しい」と感じていましたが、
一週間時間を書き出してみたところ、予約の電話対応と、
その調整に多くの時間を使っていたことが分かりました。
そこでネット予約の仕組みを整えたところ、
電話対応の時間が大きく減り、
その分を施術の質を高める時間に移すことができました。
英語スクールの例も見てみましょう。
あるスクールでは、講師が授業以外の事務作業に追われていました。
作業を三つに分類したところ、
問い合わせへの個別対応に時間がかかっていたことが判明し、
よくある質問をまとめた案内を先に送る仕組みを作ったことで、
事務作業の時間が減り、授業準備に集中できるようになりました。
どちらの例も、まず見える化したからこそ、
正しい場所に手を打てたという点が共通しています。
今日から試せること、一つだけ
難しいことはしなくていい。
今日のアクションは、これだけにしてください。
今日一日だけ、自分が何にどれくらい時間を使ったかを
30分単位でメモしてみる
たった一日でも、見える化の効果は実感できます。
それが、業務を正しく整理する、確かな第一歩になります。
【編集後記】
「減らす」という言葉には、どこか後ろ向きな響きがあります。
でも、見える化から始めれば、減らすことは「手放す」ことではなく、「大切なことに集中するための準備」に変わります。
業務改善は、いきなり減らすのではなく、まず見えるようにすること。
この順番を守るだけで、改善はぐっと進めやすくなるのではないでしょうか。
明日は、お客さんが「機能」ではなく「安心」で選んでいるというお話をお届けします。人が何かを選ぶとき、実は何を見ているのか。選ばれる理由を、あらためて整理していきます。
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