3行日記 眠れぬ夜
今でも年に何度か、眠れない夜がある。昨夜は久しぶりに、なかなか寝付けなかった。
妻もたまに「昨日は全然寝れなかった」と言うが、たいてい日付が変わる頃には、すっかり寝入っている。
妻の言う「寝られない」は、せいぜい寝つくまでに1時間ほどかかる、という程度の話である。
しかし、私の場合は違う。
その日の寝付きが悪いというのは、下手をすれば朝まで一睡もできないことを意味する。
これまでも、何度もそんな夜を経験してきた。
入社式の前夜、営業時代の大切なアポイントの前夜、友人との日帰り旅行の前夜——。
明日は大事な日だ、寝なくてはいけない。なのに眠れない。
寝る場所を変え、体操をし、酒を飲み、外の空気に触れ、本を読む。
頭の中で物語を巡らせたり、数を数えたり、神仏に祈ったりもする。
ようやく眠りに近づいたかと思うと、そのことを意識した途端に、また目が冴える。
そうしているうちに時間だけが過ぎ、やがて窓から朝の光が差し込む。
絶望の中で、虚しくアラームが鳴るのを待ち、それを止める。
そして充血した目と疲労感を抱えたまま、仕事へ向かう。
こんなことを何度も繰り返してきたので、午前1時ごろには「ああ、今日はその日だ」と察しがつく。
昨夜も2時を過ぎた頃には、もうダメだ、と半ば諦めていた。
ところが3時を回ったあたりで、急激な眠気に襲われ、気がつけば眠りに落ちていた。
これも歳のせいだろうか。
今夜は早く寝よう。
「眠たいんやろ!阪神見て、日記書いてるヒマあったら、早よ風呂入って寝たらどうよ!どうせネタ無いんやろ。昨日の陰気な記事は伸びてんの?そうでもない?そらそやろな。遅いから先に入るで!」
妻はそう言い残して風呂場に消えた。
終
