【ネタバレあり】元宝塚歌劇団と元劇団四季という裏打ちされた演技力を持つ二人による取調べシーンに魂が震えた『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』
【個人的な満足度】
2025年日本公開映画で面白かった順位:52/127
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
映像:★★★☆☆
音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★
【作品情報】
原題:-
製作年:2025年
製作国:日本
配給:東宝
上映時間:121分
ジャンル:サスペンス
元ネタなど:テレビドラマ『緊急取調室』シリーズ(2014-2025)
公式サイト:https://kintori-movie.jp/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
超大型台風が連続発生し、国家を揺るがす非常事態の最中、内閣総理大臣・長内洋次郎(石丸幹二)は、災害対策会議に10分遅れて到着する。さらに、その「空白の10分」を糾弾する暴漢・森下弘道(佐々木蔵之介)が現れ、総理大臣襲撃事件が発生する――。
警視庁は、森下の起こしたテロ事件を早急に解決するため、キントリ緊急招集を決定。真壁有希子(天海祐希)らキントリチームは取調べを開始するが、森下は犯行動機を語らないどころか、取調室に総理大臣を連れて来い!と無謀な要求を繰り返す。
森下への取調べが行き詰まる中、長内総理に“ある疑惑”が浮かび上がる。「総理を取調べたいんです。」有希子は真相解明のために総理大臣を事情聴取すべく動き出すが…。
熟練のチームワークと緊迫の心理戦。キントリは全てを懸けて、前代未聞の取調べ…内閣総理大臣との最後の闘いに挑む。
【感想】
※以下、ネタバレあり。
テレビ朝日で12年にわたって放送されていたテレビドラマ『緊急取調室』シリーズ。その完結編が満を持してついに劇場公開されました。いろいろあって延期されていたんですが、無事に公開されてよかったですね。自分はシーズン3(2019)とシーズン4(2021)のみリアルタイムで視聴していました。取調室という限られた空間内で衝突する警察の正義と被疑者の正義が見ごたえあるサスペンスです。
<ラストを飾るにふさわしい前代未聞の設定>
これまで主婦やサラリーマンといったごくありふれた人々から、時には高校生、霊能力者など、実に100人以上も取調べてきた"キントリ"チーム。その集大成として、今回彼らが取調べる相手はなんと内閣総理大臣。"THE FINAL"のタイトルにふさわしいビッグすぎる人物じゃないですか。日本の行政のトップに取調べを行おうなんてとんでもない設定ですよ。超大型台風の災害対策会議に10分遅れてやってきた長内洋次郎総理(石丸幹二)。その空白の10分を糾弾し、長内総理を襲撃した森下弘道(佐々木蔵之介)。この10分の間に何があったのか。そこをひとつずつ紐解く過程で見えてくる衝撃の事実。すべてが見ごたえある展開でしたね。
<丁寧なストーリー展開に一切のストレスなし>
井上由美子さんの脚本は、本当に脚本の作り方が丁寧だなと思います。無理や無駄が一切ないんですから。「あれなんだっけ?」というような疑問を抱くことなく、ひとつひとつ着実に積み重ねてクライマックスに向かっていくのが秀逸なんですよね。まず、森下の過去を洗い、彼の人となりや長内総理への執着を明らかにします。そこから二人の接点を突き止め、25年前の事故へとたどり着きます。さらに、当時の関係者への聞き込みを続けることで外堀を埋めていく流れは実にスムーズでした。極めつけは、総理を取調室まで連れていくための切り札です。シーズン1の最終話で逮捕され、今は刑務所で服役中の"キントリ"創設者である郷原政直(草刈正雄)との接触は熱いですよ。こうやってストレートな捜査と変化球の切り札を使い分けて真相を究明していく展開は王道ながらもわかりやすくてストレスが一切ありません。それでいて、ちょっとクスッと笑える要素を散りばめるのがまたうまいんですよね~。また、今回は完結編らしく、これまでのレギュラーキャスト総出演という豪華さもファンにはうれしいポイントです。
<劇団上がりの二人だからこそ出せる空気>
本作一番の見どころは、やはりクライマックスの取調室での真壁有希子(天海祐希)と長内総理の対峙ですよ。真壁は警察としての正義を、長内総理も政治家として、そしてひとりの人間として自身の正義を胸に、お互い一歩も譲りません。片や元宝塚歌劇団、片や元劇団四季。圧倒的な演技力に裏打ちされた迫力と緊迫感はこの二人だからこそ出せるものじゃないでしょうか。最後もみんなが救われる形で終わらせたのも読後感がよかったです。こういう社会性とエンタメ性を織り交ぜながらいい形で終わらせる井上由美子さんの脚本、やっぱり好きだなあ。
<そんなわけで>
今年を締めくくる邦画としてうってつけの作品でした。内閣総理大臣を取調べるという前代未聞の設定と、最後の見ごたえある取調べシーンはとにかく圧巻。総理とはいえ彼もひとりの人間であり、彼なりに過去に苦しみ、そして向き合おうとしている姿には好感が持てました。シリーズの締めくくりとしてもこれ以上ないラスト。ぜひ劇場でご覧ください。

