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司法の進化!AIのロジックと人間の直感を合わせたハイブリッド捜査を通じて両者の掛け合わせによるシナジーを実感した『MERCY/マーシー AI裁判』

【個人的な満足度】

2026年日本公開映画で面白かった順位:5/6
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:Mercy
  製作年:2026年
  製作国:アメリカ
   配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
 上映時間:100分
 ジャンル:SF、アクションスリラー
元ネタなど:なし
公式サイト:https://ai-saiban.jp/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
凶悪犯罪が増加し、厳格な治安統制のためにAIが司法を担うことになった近未来。

ある日、敏腕刑事のレイヴン(クリス・プラット)が目を覚ますと、妻殺しの容疑で〈マーシー裁判所〉に拘束されていた。冤罪を主張する彼だったが、覚えているのは事件前の断片的な記憶のみ。自らの無実を証明するには、AIが支配する世界中のデータベースから証拠を集め、さらにはAI裁判官が算出する”有罪率”を規定値まで下げなくてはならない。

無罪証明までの〈制限時間は90分〉。
さもなくば〈即処刑〉――。

【感想】

いやー、これいい意味で裏切られる映画でしたね。AIが人間を裁くなんて、大方の展開は想像つくじゃないですか。融通の利かないAIにイライラさせられて人間との対立構造を描きつつ、最後は「人間らしさが一番大事」みたいな締めくくりっていう。でも違いました。この映画はAIのロジックと人間の直感を掛け合わせたハイブリッド捜査で逆転無罪を勝ち取る爽快感ある話なんです。AIと人間のいいところと悪いところをストーリーに盛り込みつつ、両者の共存の道を提示してくれています。AI全盛期の今、観て損はありません。

<敵ではなく中立的な立場からきちんと真相を究明しようとするAI>

本作の舞台は現代より少し先の近未来。凶悪犯罪が増加し、裁判官や陪審員など司法の機能をAIのマドックス判事(レベッカ・ファーガソン)が担うことになった世界です。目覚めたらマーシー裁判所で椅子に固定されていたレイヴン(クリス・プラット)。彼は妻殺しの容疑をかけられており、90分以内にマドックス判事が算出する”有罪率”を規定値まで下げないと処刑されてしまうという絶体絶命のピンチの状態にありました。一見、マドックス判事は意志も感情も持たない冷徹なただのプログラムのように見えます。ですが、彼女はレイヴンの有罪率を下げるための協力を惜しみません。ここで見せつけられるのは、AIの優れた情報処理能力です。この世界では、個人のスマホや街の防犯カメラ、会社のメールなど、ほぼすべてのものがクラウドに接続され、マドックス判事はオンラインで自由にアクセスすることができます。レイヴンは有罪率が下がるまでは椅子から動けず、マーシー裁判所から外に出ることはできません。なので、彼の求めに応じて、マドックス判事は即座に必要な人に電話を掛けたり、防犯カメラの映像を見せたり、指定した人物の勤め先のフォルダに入ったりと、人間離れしたスピードで情報の収集・整理を行っていきます。

<AIの限界と人間だからこそできる所業>

ただ、AIには弱点がありました。事実をひとつひとつ精査していくため、どうしても時間がかかってしまいますし、飛躍した思考ができません。そこで役立つのが人間らしさです。ここではレイヴンの「刑事の勘」ってやつですね。それはロジカルではなく、再現性もありません。非情に曖昧かつ主観的なものです。ゆえに、AIでは到達し得ない領域であるんですよね(もちろん、時間をかければ行き着くとは思いますけど)。レイヴンは残りわずかな時間の中で思考し、勘を働かせ、マドックス判事をツールとしてうまく活用していきます。そして、AIの持つ情報処理能力と人間の勘が噛み合ったとき、絶望的だった有罪率が崩れていきます。その逆転劇がたまらなく痛快でした。さらに、レイヴンの無罪のために外では仲間たちが手となり足となり動いてくれています。終盤ではド派手なカーチェイスもあり、主人公がまったく動けないながらも視覚的なインパクトも大きかったです。

面白いのは、レイヴンとのやり取りを通じて、マドックス判事も本来ならAIとして実行しないようなことを行う点です。そこはAIなのに人間に感化されたとも読み取れますし、AIらしくレイヴンの思考パターンを学習したとも読み取れます。また、ラストに訪れる衝撃の事実。ネタバレになるので詳細は省きますが、結局のところ、エラーを引き起こすのは意志や感情を持つ人間なんだってことを思い知らされました。かといって、AIだって全知全能でもないってのは本作を観ればわかりますけどね。AIと人間の向き合い方について考えさせられます。

<そんなわけで>

AIと人間のどちらがいいとかって話ではなく、それぞれの長所・短所を描きながら真相を究明していく話は想像以上に面白かったです。現代はいろんなところでAIについて様々な議論がなされていますが、少なくとも本作ではAIの便利さを両手離しに称賛したり、その脅威を執拗に煽ったりするのではなく、人間とのうまい付き合い方を示してくれたように思います。唯一この映画で怖いなと思ったのが、AIがほぼすべての情報にアクセスできるという点ですね。レイヴンの娘の裏アカも即座に特定していましたし。知られたくないことは絶対にオンラインに上げちゃダメってのがこの映画の一番の教訓かもしれません。

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