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共生の黎明 #158 第30章 第3節:新たな光の輪へ 連続小説

アジア太平洋共生連邦の設立署名式から、ちょうど5年。

再び、東京の国立新未来ホールに、各国の代表たちが集まっていた。

壇上には、初期参加の7カ国、日本、タイ、インドネシア、スリランカ、ネパール、フィリピン、モンゴルの旗が並ぶ。

その横には新たに参加を表明した国々、インド、ブータン、ベトナム、ラオス、カンボジア、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、パプアニューギニア、パラオ、バヌアツ、オーストラリア、バングラデシュ、フィジー、そしてミャンマーの旗が、静かに風にたなびいていた。

ホールの天井には、各国の子どもたちが描いた「ありがとうの輪」が巨大なステンドグラスとなって輝いている。
その中央には、各国共通で使われ始めた「アヤ/ユラ」の円環シンボルが、虹色の光を放っていた。

壇上に立ったのは、かつて第一期の署名式で言葉を交わした若い代表たち。

5年の時を経て、彼らは国家を越えた友情を育み、共に学び、語り合い、そして今日、この新たな日を迎えたのだった。

「わたしたちは、違いを持ちながらも、ありがとうという言葉でつながることができる」

「技術は人を隔てるものではなく、人を包み、支えるものであってほしい」


それぞれの代表が、母国語で語る「誓い」の言葉は、リアルタイムでAIハルにより各言語へと通訳され、会場内に温かく響き渡った。
翻訳された言葉はただの情報ではなく、話者の息づかいや想いまでも含んだ、生きたメッセージとして人々の心に届いた。


列席した人々の中には、地域福祉に従事する人々、アヤ/ユラの仕組みを地域で活用している若者たち、農村で「ありがとう食堂」を運営する母親たちなど、名もなき実践者たちの姿もあった。
連邦の理念は、彼ら一人ひとりの日常の中に生きていた。


その後、各国の代表が署名台に進み、「アジア太平洋共生連邦 拡大合意書」にサインを行った。

署名が終わると、壇上の全員が自然と手を取り合い、大きな円をつくった。

誰が合図をしたわけでもなく、会場から「ありがとう」の言葉が連なって広がっていった。

「サンキュー」
「コープクンカ」
「サラマッポ」
「カムゥン」
「メスーラン」
「ありがとう」

まるで地球そのものが一つの輪になったような、静かで深い感動がホールを包み込んだ。

新たな価値の連帯が、またひとつ、確かに生まれた。

そしてこの輪は、さらにその先の未来へと、光を灯していく。


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