「プロの匂いさん」第1話
≪あらすじ≫
技術が進化し、テレビから、匂いが出てくるようになった。
撮影現場では、映像を撮る「カメラマン」、音を収録する「音声さん」に加え、その場の匂いを嗅ぎ取る「匂いさん」が新たな職業として誕生していた。
新社会人の仙花 風は、ひょんなことからテレビ業界で、「匂いさん」の仕事をすることになった。
最初はアシスタントとして、先輩・東雲 律のもとにつく。
律の的確な匂いを作り上げる技術や、人々を喜ばせる香りの力を知り、
自分もプロの匂いさんになりたいと誓う。
毎回違う取材現場で、いろんな課題にぶつかりながら、
風は、一人の匂いさんとして、また人間として成長していく。
≪第1話≫
仙花 風はソファに座りながら、リモコンでテレビの「香量」をあげた。
画面には、鉄板で焼かれたハンバーグが、シェフの手で軽快に裏返される映像が映っている。
焦げ目のついたハンバーグの画、ジュウジュウと肉汁が鉄板を駆ける音、
そして、ハンバーグが焼ける香りが、風の感覚を刺激する。
「うわ、いい匂い。昼はカレーにしようとおもってたけど、ハンバーグもいいな」
焼き加減を確認したシェフは、2度ほど小さく頷き、鉄板に調味料を注ぎこんだ。
バター醤油だ。
「反則でしょ」
鉄板の上で、ジュウウウと弾ける音とともに、バターは液状化し、ハンバーグに絡んでいく。
風は、目をつぶって、その瞬間を待った。
リビングが、バター醤油の香りで包み込まれる。風はゴクリと唾を飲んだ。
「もうたまんない。昼はハンバーグ確定だよ」
ソファをひょいと離れ、一目散に冷凍庫に向かう。
ごそごそと冷凍食品をあさると、ハンバーグのパッケージが目に入った。
「これだ」
ぐっと、商品を引き寄せて見て見ると、ケチャップベースのトマトハンバーグの文字。
「今は、バター醤油の気分なんだよな」
ガチャッとドアが開き、買い物袋を抱えた母の仙花菜央が帰ってきた。
「あ、いい匂いするね。テレビ?」
「そう、人気店のハンバーグ特集やっててさ、鉄板で焦がしバター醤油よ」
「それで、風も触発されて、冷凍庫を捜索してるわけね」
「でも、捜索は失敗。妥協してトマトハンバーグにするか」
つい5分前までカレーを食べたいと思っていた口は、今ハンバーグを欲している。
映像と匂いがリンクするようになってから、こんなことが増えた。
自宅のテレビで、匂いが出るようになったのはここ数年だ。
もともと映画館やテーマパークでは匂いを発生させる機械があったが、
技術の進化で小型化、そしてテレビと融合された。
香りがあることで、映し出された世界への没入感は高まるということで話題になっている。
「風が担当した匂いを嗅げるのは、いつからかな」
菜央は、買ってきた食材を冷蔵庫に詰めながら、ちらっと風を見た。
「最初は研修だから。新卒ですぐ実践とはならないみたい。来週から、実際に先輩について現場見て回るみたいだけど」
就職活動中、なんとなく楽しそうという理由でエントリーシートを出したら、面白いようにするすると最終面接へと進み、合格した。特に香りに詳しいわけでもなく、専門的な知識がなくても大丈夫かと不安ではある。
テレビに目をやると番組は終盤になり、エンドロールが流れている。
プロデューサー、ディレクター、カメラマン、音声、などのあとに、『匂い:東雲 律』と書かれている。
自分の職業名は、『匂い』である。
進路の話になったとき、友達が「教師、デザイナー、エンジニア、パティシエ……」と、明確に職業を言える中、なんといっていいのかわからないのが風の悩みでもあった。
「私、『匂い』やってんだよね~」で通じる時代は来るのだろうか。
いや、自分もいつか、ここに名前が表記されるとしたら、匂いという表記はなんとかならないのだろうか。
香料プロデューサーとか、もう少し格好いい名前にしてほしい。
「そういえばさ」と、菜央の声が聞こえる。
「テレビから出てくる匂いって、その場の匂いを集める機械とかがあるわけ?」
「いや、私もまだちゃんとわかってないんだけど」
風はテレビの方に向かい、テレビの背後を指さした。
「テレビの映像に合わせて、匂いの信号が送られて、この機械から発生してるみたい」
「へえ。じゃあ、その映像に近い匂いを再現してる感じか」
「まあ、AIがやってるって噂もあるけどね」
テレビ局にやってくるのは初めてだった。
無機質で巨大な建物に、人気番組のタペストリーが掲げられている。
館内に入り、エレベーターに乗ると、『視聴習慣から、視聴臭慣へ』というキャッチフレーズと、『新たなテレビ体験を創ろう』と書かれたポスターが貼られている。
ネットの勢いに押され、下火となっているテレビ業界にとって、匂いが家庭で楽しめるという新体験は、業界の起爆剤としての期待が感じられた。
映像準備室と書かれた部屋に入ると、短髪で筋肉質な男性が立っていた。
「あ、もしかして、新人の仙花さん?」
「仙花 風と申します。今日から現場研修でやってきました」
「ああ、やっぱり。私、映像技術デスクの羽柴武士です。期待の新人ってことで話題になってたよ。じゃあ、案内するよ」
期待の新人……何もしていないのになぜ期待値が上がっているのか不安だったが、言われるがままに羽柴の後ろをついて行く。
広いフロアに、デスクと機材が並んでいる。
カメラ班と書かれたブロックには、担ぐカメラから小型カメラ、照明用のライトなどが置かれている。
音声班には、マイクやミキサーなどがあり、ヘッドホンをしながら「チェック、ワンツー」と機材の確認をしている人もいた。
「ええと、ここだね」と羽柴が立ち止まった場所には、『匂い班』というボードがあった。
大きなフロアの隅の方で、6人ほどが座っていた。
今、通ってきたブロックに比べると、すごくこじんまりとしている。
「意外と小さいと思ったでしょ?」
「い、いや。まあ、でもコンパクトですかね」
「まだこれからの部署だしね、ここから伸びてくと思うよ」
匂い班は、デスクに座って作業をしていた。
パソコンを覗いてみると、映像を見ながら、エクセルに細かいデータを打ち込むのを繰り返している。
そして、特にフロアに匂いがしない。
羽柴が、手をパンパンと鳴らしながら、
「はい、匂い班ちょっといいかな。今日から入る研修生を紹介します。仙花 風さんです」
作業が止まり、すっと静かに匂い班が立ち上がり、風に視線が集まった。
「仙花です。一日でも早く戦力になれるよう頑張ります。よろしくお願いします」
羽柴の強い拍手で、
「ええと、仙花さんは、エントリーシートの自分の長所の欄に『鼻が利く』『怪しいものを嗅ぎ分けられます』と書いていて、うちの上層部もすごく期待をしていての採用となりました」
やばい、と風は思った。昔から勘が鋭く、直感が当たるタイプだった。
なんとなくピンとくる。勘がいいことを周りから『鼻が利く』と言われていたのだが、この会社では匂いを嗅ぎ分けられる鼻を持っていると思われたようだ。風の額に、汗がにじんでいる。
「早速だが、研修に入っていくけど、まずは先輩について現場を回ってくれ。指導役は、東雲だ」
「東雲……。確か、この前のハンバーグの番組……」
風の視線の先で、ひょろっと背が高く丸ぶち眼鏡の男性が小さく会釈をした。
「東雲 律です。後輩という存在は苦手ですが、頑張るのでよろしくお願いします」
風の顔が一瞬ゆがむが、東雲は表情を変えることなく、眼鏡をくいっとあげた。
「おい、東雲。なんでネガティブなこと言うんだよ。ったく、頼むぞ」
羽柴が、風の方を向いて、
「ちょっとだけ変わってるけど、腕は確かだ。同じ世代の中では一番だから、一緒について学んでくれ」
風は苦笑いしながら、こくりと頷いた。
「食堂です」
「トイレです」
「売店です」
仕事場を案内します、と東雲に言われついてきたが、まるでロボットに案内されているような気分だった。
後輩が苦手の前に、人間とのコミュニケーションがあまり得意ではなさそうだ。
「あの……」
「なんですか」
「先週、グルメ番組見ました。あの、シェフがハンバーグを鉄板で焼いて、バター醤油をかけてのやつ。あれ東雲さんですよね?」
「ああ、そうですね」
「あまりにも美味しい香りで、私、お昼にカレー食べようと思ってたんですけど、ハンバーグにしちゃいました」
「そうですか」
一向に話が盛り上がらないまま、東雲は淡々と歩いて行く。
「そして、こちらが匂い編集室です」
匂い編集室、そんな部屋があるのか。中は何があるんだろうと風の気持ちは高鳴るが、東雲は立ち止まり、じっと風を見ている。
「ど、どうかしました?」
東雲は、風の周りを一周しながら、時折顔を近づけてくる。
「なんですか」
「ちょっと動かないでもらえますか」
手を顎に当てて、東雲は天井を見る。
「洗剤は、華新堂のフラワーショット、トイレの芳香剤はムーン社の薫爽、シャンプーは日比谷化学のクリーンピュア」
風は、驚きのあまり、一瞬動けなかった。
それは、実家で使っているもので、すべて正確に当たっていたからだ。
この瞬間にすべての匂いについて嗅ぎ分けた。
「す、すごい。当たってます」
驚く風の目の前に、黒い布地が現れた。無地のTシャツとズボンのようだ。
「で、失格です」
「え?」
「入場できません。匂いを持ち込まれては。この部屋は、匂いを創り出す部屋です。余計な匂いは入場禁止。こちらに着替えてください」
「そ、そんなに匂います?」
「はい、かなり強いです」
今まで、自分の匂いを指摘されたことはない。
おそらく、一般的にはそこまで強い匂いではないけど、この人には、それが一瞬でわかるのかと風は驚いた。
匂い班のブロックが、匂いがしなかったのは、自分たちの香りがあると仕事に支障がでるからか。
服を着替えて、頭には透明なヘアキャップを被り、匂い編集室に入った。
「なにこれ、すごい」
そこには、数千種類の香料サンプルと、ずらりと並んでいた。
その圧倒的なスケールに風は言葉が出なかった。
「これが、編集室」
「そうです。僕らは、映像に合わせて、より的確な匂いを設計するのです」
東雲がパソコンを操作する。
モニターに、神社の映像が映し出される。
「例えば、この神社の映像ですが」
スイッチを押すと、優しく華やかな香りが充満した。
「仙花さん、どんなイメージが沸きますか?」
「ええと、お花ですかね。それもすごい数の」
「ここは、春に菜の花が咲き誇ることから、神社と呼ばれています。では、次」
映像は、神社のままだ。
でも、さっきまでの花畑はどこかに押しやられ、新しい香りが運ばれてくる。
風は、目をつぶりながらその匂いを探った。
「なんか、醤油の香りや、甘い香り。なんか、縁日のような」
「そうです、神社で行われるお祭りの香りです。年に一度の夏祭り、たくさんのお店が並んで、地元の人で賑わいます。では……」
東雲がマウスを押すと、お祭りは幕を閉じ、別の空間へと誘われる。
少し自然は感じるけど、ただの外の匂いで、特別な変化は感じない。
「これは、わかりずらいかもしれません」
そこに、すっと違和感のある香りが通った。
匂いは、小さく暴れながら、遠くの方へ行く。
「なんか野性っぽい匂いがする」
「ほう」
「動物のような。でも犬や猫ではない気がします」
「なかなかいい線ついてます。これは、野性のイノシシが迷い込んだときの香りです。神主さんはじめ、従業員さんみんなで追いかけたそうです」
同じ映像を見てるのに、風は全然違う世界に立っているようだった。
匂い一つで世界が変わる。その力を、実感した。
「僕らがつける匂いで、映像の持つ意味は変わってきてしまうんです。だから、自分たちの鼻を頼りに、その場の香りを的確に再現しなくてはいけません」
「自分たちで再現?私てっきり、AIが、映像に合わせて自動で香りをつけているのかと」
「そういうのもあります。ある程度プログラムされているものもね。でも細かい香りの違いは人の作業でなくてはまだ表現できません」
東雲が『消臭』のボタンを押すと、シューっという音とともに、その場の匂いがすっと消えた。
電気のスイッチをオフするかのように、そこに何もなくなった。
「すごい、消えた」
「匂いを瞬間的に消し去ることができるので、いろんな匂いを試すことができます」
「そういえば、どうやって映像に匂いをつけるんですか?」
「BGMをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。映像があって、それにあった音楽を当てるように、我々は匂いを当てる。コンピュータで匂いをプログラミングして、その信号を各家庭の匂いの発生装置に送ると、それぞれの家で映像に合わせて香りが出るということです」
「なるほど……わかったようなわからないよう」
「匂いさんの仕事は、匂いを当てるだけじゃなくて」
東雲は、顎に手を当て、
「仙花さん、このあと収録いきますか」
「えっ、このあとですか」
「はい。そこで私のアシスタントとしてついて来てください。その方がいろいろ覚えられると思います」
「あ、はい。わかりました」
東雲に連れられてやってきたのは、小さめのスタジオだった。
そこにあったのは、かわいらしい世界観のセットで、パステルカラーに彩られていた。
風がセットに見とれていると、幼稚園児くらいの子どもたちが親に連れられて入ってきた。
「子どもの番組?」
東雲が、機材の準備をしながら答える。
「はい、『においであそぼう』というちびっ子向けの番組です。子どもたちに世界のいろんな匂いを学びながら楽しんでもらおうというコンセプトです」
「確かに勉強になって面白いですね。あ、お兄さんと着ぐるみも来た」
オーバーオールの『匂いのお兄さん』と、ゾウをモチーフにしたキャラクター『スメルちゃん』がやってきた。
「このあと、東雲さんは何をするんですか?」
「これです」
そこには、すごく小型のドライヤーのようなものがあった。
「これから、『このにおいはなんでしょう?』というクイズコーナーがあります。そこで、お兄さんにこの『小型匂い発生器』を持ってもらいます。そして、僕が遠方から匂いの信号を送ると、このプロペラが回転し匂いが出てきます。それが何の匂いか、子ども達に当ててもらいます」
「なるほど、面白そう。こういう仕事もやるんですね」
「映像に匂いを合わせるだけじゃないです。今回みたいに事前に用意した匂いを、ライブ感覚で出すような収録もあります」
東雲が匂い発生器をお兄さんに渡しに行くと、スタジオの照明がカッと明るくなった。子どもたちが親の元を離れ、セットの中に入ってきた。
スタッフがそれぞれの位置につき、収録が開始されると、
お兄さんとスメルちゃんの「このにおいはなんでしょう?」の賑やかなタイトルコールが発せられた。
カメラマンの近くで、風は東雲の横にぴたりとついている。
東雲は、パソコンを片手に、お兄さんの様子を注視している。
風がパソコンを覗くと、『りんご』『カレー』『しょうゆ』など、無数の数の香りが書かれている。
「これを押すと、表示された名前の匂いが出るようになってるんですか?」
「そうです。きょうは、ディレクターから食べ物の香りを出してほしいと言われてるので、子どもがわかりそうなものを出したいと思います」
東雲とお兄さんがアイコンタクトする。
ゾウのスメルちゃんが、自慢の鼻を振り回し「第一問!」とコールした。
東雲が『みかん』をクリックすると、お兄さんが持つ匂い発生器のプロペラが回った。
すると、スタジオにフレッシュで甘く爽やかな香りが充満した。
子ども達が一斉に手を挙げ、それぞれが声をあげる。
「みかん」「レモン」「トマト」「あまいやつ」
お兄さんが笑顔でうなずきながら、
「正解は、みかんでした」
「わーい」「えーっ」と子ども達は歓声をあげている。
「第二問!」とスメルちゃんが言うと、東雲は「ソース」のボタンを押す。
スタジオがまた違う世界に包まれる。お好み焼き屋さんのようにも思えるし、たこ焼き屋さんのようにも思える。どんどんイメージが膨らんでいく。
子ども達はどんどんテンションが上がり、現場は盛り上がっていく。
「どうですか?簡単だなって、思いました?」
「いや、そうは思ってないですけど、
「では、仙花さん、やってみますか」
「えっ、私ですか?」
風の目の前に、すっとパソコンが現れた。
マウスを持つ手が小刻みに震える。
いざ自分がやるとなると、ただボタンを押すだけなのに、すごいプレッシャーを感じた。
そういえば、同級生も新しい会社に入って、電話に出るだけ、先輩に予定を聞くだけ、これだけでもすごい緊張したと言っていた。
匂いさんの仕事、これが私の始まりのボタン。
スメルちゃんの鼻が回る勢いはさらに増していく。
「みんないいよ。では、最後の問題!」
パソコンの上で、ポインターがぐるぐると暴れる。
ふうっと大きく息を吐き、自分を落ち着かせる。
風は、「コーラ」を押した。
しかし、スタジオは静かだ。
「なんだろう?」「わかんない」「甘酸っぱい?」
子ども達はいまいちわかっていないようだ。 難しい選択肢だったか。
するとお兄さんが大きな声で言った。
「じゃあ、もっと匂いをアップしてみよう」
匂いをアップ?初めて聞く言葉に、風は動揺する。
横から出てきたのは、東雲の人差し指だ。
「ここ、香量。押して」
言われるがままに押すと、プラスとマイナスのボタンが出てくる。
「これで、匂いの量を調節できます。プラス3してください」
プラスのコマンドを3回クリックする。
「これで、あのお兄さんの持っている発生器から出てくる匂いの量が増えます」
「アップは、匂いの量を増やすことなんですね」
一気に香りが強くなり、子どもから「コーラ!」の声が連発された。
子どもたちの楽しそうな顔を見て、風は充実感で満たされた。
「お疲れ様です。いきなりのデビューでしたけど、匂いさんの仕事の第一歩です」
「ありがとうございました。東雲さんのおかげです」
「忘れないもんですよ。自分が最初に担当した匂い。僕はラベンダーでした」
「おしゃれすぎです。私は、コーラか」
初歩の初歩。とても小さなことかもしれないが、風の中では大きな一歩だった。
これがテレビの前の人達の笑顔を作っていく。匂いさんの仕事をもっと知りたいと思えた。
クイズコーナーが終わりになり、風が東雲に礼をして、頭を下げた。
そのとき、テーブルに体がぶつかった。
「痛っ」
「大丈夫ですか?」
その弾みでマウスが床にカランと落ちると、カチッという音がした。
「あれ、今、なんか音がしたような」
すると、スタジオから「くさーい」と悲鳴が聞こえる。
風がパソコンを見ると『くさや』が選択されている。
「すみません!」
「ゴホッ。仙花さん、早く『消臭』ボタン押して!」
咳をしながら、間違えて押される『香量』プラスボタン。
蔓延するくさやの匂い。
お兄さんは手を両膝についてむせていて、スメルちゃんはファスナーが開き、ゾウから人間の手が出ている。
「オナラー?」「お父さんの足?」「生ゴミ」
クイズを続ける子ども達。
風のデビューは、誰も嗅いだことのない甘くて臭い、忘れることのできない匂いに包まれた一日となった。
第2話:
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第3話:
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