1980年の週刊少年ジャンプ|名作5作品、ここから読め①
長くて有名すぎる漫画ほど、「今さらどこから読めばいいのか分からない」という壁があります。最初から読めばいい、と言われても、それが一番しんどい。序盤はまだ型が固まっていなかったり、後から面白くなると分かっていても、そこにたどり着くまでが遠い。
けれど、多くの長編漫画には「ここから一気に面白くなる」という地点があります。キャラクターが出揃い、物語の型が完成し、作者のやりたいことがはっきりと立ち上がる瞬間です。いわば、その作品が"グルーヴしはじめる場所"です。
このシリーズでは、そうした地点から読むことを前提にします。最初から読む必要はありません。まずは一番面白いところに触れてみる。そこから気に入れば前に戻ればいいし、そのまま先へ進んでもいいです。今回は、80年代前半に連載が始まったジャンプ作品の中から、「ここから読めばいい」という入口を持つ作品を紹介します。
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①キン肉マン(ゆでたまご著)|1979年連載開始
第5巻から(超人オリンピック編・本格化)
ギャグ漫画として始まったこの作品は、途中で一気にバトル漫画へと変貌します。その転換点が「超人オリンピック編」です。ルール、ライバル、必殺技が揃い、キン肉マンという作品の型がここで完成します。特に大会が本格化してからは試合の密度も上がり、一気に読み進めてしまうはずです。
キン肉マンという作品の魅力は、強さだけではありません。友情、根性、仲間との絆。それがバトルの中に自然と組み込まれていく様子が、この編から始まります。最初から読まなくても、ここから入れば十分に熱さが伝わります。
読み進めるうちに、前に戻って序盤のギャグを確認したくなる。そういう読み方も含めて楽しめる作品です。
②北斗の拳(武論尊・原哲夫著)|1983年連載開始
第8巻から(聖帝サウザー編)
序盤は復讐劇として進む北斗の拳ですが、「サウザー編」から物語は一段深くなります。強敵との対峙だけでなく、信念や時代のうねりが前面に出てきます。サウザーというキャラクターの造形は、この作品の中でも特に完成度が高く、北斗の拳というスケールを感じるなら、このあたりから入るのが最もよいと思います。
ケンシロウの「お前はもう死んでいる」という台詞は有名ですが、その言葉が本当に重くなるのはこの時期からです。強さの裏にある哀しさ、敵もまた信念を持って生きているという構造が、物語を単純な勧善懲悪から引き上げます。
80年代を代表するバトル漫画として、今読んでも十分に通用する一冊です。
③キャプテン翼(高橋陽一著)|1981年連載開始
第13巻から(中学生編・全国大会)
小学生編を経て、「中学生編」から一気に競技としての完成度が上がります。全国大会という明確な舞台、個性的なライバルたち、必殺技の応酬。今も語られる"キャプ翼らしさ"は、この時期に集約されています。
翼、岬、日向、若林。キャラクターが出揃い、それぞれの個性とプレースタイルが確立されるのもこの編です。サッカーというスポーツをここまでドラマチックに描いた漫画は、当時ほかにありませんでした。世界中のサッカー選手に影響を与えた作品として知られていますが、その理由がこの時期を読むとよくわかります。
ここから読めば、熱さと興奮は十分に伝わります。気に入ったら小学生編に戻るのも、楽しい読み方です。
④Dr.スランプ(鳥山明著)|1980年連載開始
第5巻から(中盤・ペンギン村の日常が完成)
初期の短編的な試行錯誤を経て、中盤からペンギン村の世界が完成します。キャラクターが出揃い、テンポと画力が安定し、作品のリズムが確立される時期です。アラレちゃんのキャラクターが完全に立ち上がり、毎回の話が安定して面白くなっていきます。
鳥山明の絵の面白さは、ギャグのテンポとセットになっています。コマの配置、効果音、キャラクターの表情。どれをとっても独特で、読んでいると自然と笑ってしまいます。後のドラゴンボールへとつながる鳥山明の世界観が、このペンギン村に凝縮されています。
どこから読んでも楽しめる作品ですが、まずはこの完成期から入るのが心地よいです。
⑤ハイスクール!奇面組(新沢基栄著)|1980年連載開始(※『3年奇面組』から改題)
『ハイスクール!奇面組』第1巻から(高校編)
前身である『3年奇面組』から続くシリーズですが、高校編に入ることで舞台と関係性が整理されます。キャラクターの掛け合いが安定し、作品の"型"がはっきりするのもこの時期です。
奇面組のメンバーと一堂、そして個性的なクラスメートたち。このキャラクターたちが織りなすギャグのテンポは、80年代ジャンプの中でも独特の存在感がありました。恋愛要素とギャグが自然に混ざり合い、読みやすさと笑いのバランスが取れています。
シリーズの入口としては、高校編の第1巻が最も分かりやすいです。前作を知らなくても、ここから入れば十分楽しめます。
おわりに
長い漫画ほど、最初から読む必要はありません。
いちばん面白いところから触れて、その作品のリズムを掴む。そこから前に戻るか、そのまま先へ進むかは、読んでから決めればいいです。今回の5作品は、どれも「ここから入れば十分」という地点があります。まずは一冊、手に取ってみてください。
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