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「ITニュース」|AIモデルの価格競争、実は中国製が勝っている——Vercelの実利用データが示す地殻変動

はじめに

2026年8月11日、Vercelは自社サービス「AI Gateway」の実利用ログをまとめた「AI Gateway Production Index」の2026年7月分を公開しました。それによると、DeepSeekがゲートウェイ経由のトークン量でGoogleを逆転して2位に浮上した一方、Anthropicはトークン量が全体の30%にとどまるにもかかわらず支出の65%以上を占め、価格プレミアムがさらに拡大しています。全体のトークン単価は7月に13.6%下落しました。

この記事では、①データの中身、②なぜこのような構図になっているのか、③実務でのモデル選定にどう活かせるかを整理します。

※ 本稿のデータはVercel AI Gateway経由の利用に限定されたサンプルであり、業界全体のシェアを正確に反映するとは限りません。


この記事での用語




1. 何が起きたのか(結論)

  • Vercel AI Gatewayの2026年7月データによると、DeepSeekのトークンシェアは25%(Googleの2倍超)に達し2位へ浮上し、Googleは11%(4位)に後退しました。

  • Anthropicのトークン量は30%にとどまる一方、支出シェアは65.1%を占め、価格プレミアムは他ラボ平均の4.4倍に拡大しました。コーディング領域ではAnthropicが支出の80%以上を占めています。

  • 全体のトークン単価は7月に13.6%下落しました。トークン消費量は59%増、支出は37%増と、消費量の伸びが支出の伸びを上回っており、実質的な値下がり局面にあります。

  • オープンウェイトモデルの支出シェアは4〜6月の4セント未満/ドルから、7月は約9セント/ドルへ倍増し、過去最高となりました。

忙しい方向けに一言でいうと、
「トークン量ではDeepSeek系の低価格モデルが急伸する一方、Anthropicは高単価のまま支出シェアを維持しており、モデル選定は"精度優先"から"単価×用途"の使い分けへと移りつつある」——というのがこのデータの要点です。


2. なぜDeepSeekが急伸したのか

DeepSeekのシェア急伸の背景には、7月に投入された「V4 Flash」の価格競争力がある可能性が高いと見られます。DeepSeek公式の価格表によれば、V4 Flashは出力トークン1Mあたり0.28ドルで、他社の主力モデルの出力価格と比べて大幅に安いという試算もあります。ただし、これはVercel側が明言している原因ではなく推測にとどまる点には注意が必要です。V4 Flashだけで全体トークンの約5分の1を占めており、影響の大きさがうかがえます。

一方、Anthropicは高単価を維持しながらコーディングなど高付加価値タスクでの支出シェアを保っており、「量より質」の戦略を取っているとも読めます。4月時点ではGoogleが約40%のトークンシェアを占め、DeepSeekは1%未満だったことを踏まえると、わずか3か月での逆転は急激な変化と言えます。

3. 実務でのモデル選定への示唆

開発者・プロダクト担当にとっては、モデル選定を「精度優先」だけでなく「単価×用途」で再評価する好機です。低コストタスクはDeepSeek系、高難度タスクはAnthropic系という使い分けが、今回の実データによって裏付けられつつあります。経営・コスト管理層にとっては、「トークン単価は下がっているが消費量増で総支出は増える」という構造を理解し、単純な値下げ待ちではなく利用量のガバナンスも必要になってくる局面です。


4. 短期・中期・長期の整理

時間軸定義:

  • 短期: 0〜3か月

  • 中期: 3か月〜1年

  • 長期: 1年以上

4-1. 短期(0〜3か月)

  • 予想される動き: 開発者コミュニティでDeepSeek系モデルへのトラフィック移行がさらに進む可能性があります。Anthropicは高付加価値タスクでの高単価戦略を維持すると見られます。

  • 不確実性: Vercel AI Gatewayの利用者層(Vercel/Next.js中心の開発者コミュニティ)に偏りがあり、業界全体のシェアを正確に反映しているとは限りません。

  • 効果が出ない条件: 大手企業の調達がセキュリティ・データガバナンス上の理由で中国系モデルを敬遠する場合、シェア逆転は開発者個人利用にとどまり企業導入には波及しない可能性があります。

4-2. 中期(3か月〜1年)

  • 予想される動き: 低価格帯モデル(DeepSeek、オープンウェイト系)のシェア拡大が続けば、大手ベンダも低価格帯モデルのラインナップ強化・値下げ圧力に直面する可能性があります。オープンウェイトモデルの支出シェア倍増が定着するかが焦点です。

  • 不確実性: 為替・地政学リスク(中国製AIモデルへの規制強化等)により、DeepSeek系の採用ペースが変動しうる状況です。

  • 効果が出ない条件: 各社が高付加価値タスク(エージェント実行・コーディング)でのモデル差別化を強め、単価競争が低付加価値タスクに限定される場合、大手の収益構造への影響は限定的にとどまります。

4-3. 長期(1年以上)

  • 予想される動き: LLM API市場が「高単価・高精度」と「低単価・汎用」の二極化構造に向かう可能性があります。

  • 不確実性: 現時点でVercel1社のゲートウェイデータのみが根拠であり、他のゲートウェイ事業者の同種データでの裏付けはまだ取れていません。

  • 効果が出ない条件: フロンティアモデルの性能差が縮小し価格が唯一の差別化要因でなくなるシナリオでは、逆に高付加価値モデルの単価下落が先行し、二極化が解消される可能性もあります。


5. 混同しやすい点


まとめ

Vercel AI Gatewayの実利用データは、AIモデルの価格競争において低価格帯モデルが急速にシェアを伸ばしている一方、高付加価値タスクでは高単価モデルが支出シェアを維持しているという二極化の兆しを示しています。モデル選定の際は、精度だけでなくタスクごとの単価対効果を意識し、単一ベンダに依存しない使い分けを検討する価値があります。


主な参照


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免責

本データはVercel AI Gateway経由の利用に限定されたサンプルであり、業界全体のLLM市場シェアを代表するものではない可能性があります。投資判断の根拠とする場合は、一次データや複数ソースでの裏付けをおすすめします。


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