「ITニュース」|2年越しの Siri AI — AFM 3 と EU で止まる DMA
はじめに
2026年6月8日、Apple は WWDC26(Worldwide Developers Conference)のキーノートで、Siri AI と Apple Intelligence の次世代を Newsroom で発表しました。あわせて 第3世代 Apple Foundation Models(AFM 3) の技術概要を Apple Machine Learning Research(6/8) で公開しています。
2024年6月の WWDC で約束した「賢い Siri」の多くが遅れたあと、Apple は Google 協力の独自モデルと 端末/クラウド上のプライバシー処理で追いつき型の体験を提示しました。一方、同日の別リリースでは EU の iPhone/iPad では Siri AI を提供できないと 明言しています。中国でも 規制対応が終わるまで未提供です。
読みどころは次の2点です。
「Gemini が Siri になった」わけではない — AFM 3 と Private Cloud Compute の読み分け
機能は出たが、地域で乗れない席がある — DMA と プラットフォーム別の提供差
前提稿: 3月の Apple AI 戦略整理 が Extensions・Siri 独立アプリ・Gemini 利用の報道ベース前史。本稿は 6/8 公式発表を一次に据えます。
※本記事は Apple・Google の公開情報と、株価等を伝える報道をもとにした一般的な整理です。投資・法務の助言ではありません。 Apple への取材は行っていません。Siri AI は英語ベータから、iOS 27 は秋の無償アップデート想定 — 執筆時点の 日本語 Siri AI の日程は未公表です。
この記事での用語

1. 何が起きたのか(結論)
先に結論です。
2026-06-08 — Siri AI を発表。Dynamic Island からの起動、画面内容の理解、メール・写真等の個人文脈、Web 検索による最新情報、専用 Siri アプリ(会話履歴は iCloud で端末間同期)
AFM 3 — 端末(Core 3B/Core Advanced 20B sparse)と サーバー(Cloud/Cloud Image/Cloud Pro)の 5モデル族
OS — iOS 27、iPadOS 27、macOS 27 等(Newsroom 表記)。開発者ベータは 6/8 から、一般向け 秋の無償アップデート
Siri AI 提供 — 英語ベータから、多言語は quickly expand(一次の表現。日本語の確定日は未記載)
提供除外 — EU:iOS/iPadOS では Siri AI なし(Mac/visionOS では提供予定)。中国:規制対応まで未提供
市場反応(報道) — CNBC 等は キーノート中に株価が下落、The Straits Times は 終値で約1.9%下落と伝える(二次。Apple 一次ではない)
忙しい方向けに一言でいうと、
「2年遅れた Siri が Siri AI として公式化された日 — ただし EU の iPhone ユーザーは載れない」 です。
2. なぜ今か — 時系列で読む

公開情報から読み取れる動機として、Apple は 2024年約束の製品化、Android/独立チャットアプリとの競合、CEO 交代前の AI 信用回復を同時に扱っている、と整理できます。規制(DMA) は 機能とセットで narrative を出す意図が Apple 一次から読み取れます。
3. AFM 3 と「Gemini が Siri」問題
ここが 最も誤読されやすい論点です。
3-1. 1月の共同声明が言っていること
Google 共同声明(2026-01-12) は、次世代 Apple Foundation Models が Gemini モデルと Google クラウド技術を基盤にすると述べます。Apple Intelligence は Apple 端末と Private Cloud Compute 上で動き、プライバシー基準は維持、とも書かれています。
3-2. 6/8 ML Research が言っていること
AFM 3 投稿(2026-06-08) は、Google と co-build した5モデル族で、ユーザー操作時に Gemini エージェントが応答する構図ではない、と読めます。

訓練データ — 公開情報・ライセンス・合成データ等。ユーザーの private personal data や interactions は学習に使わない、と一次に明記。
3-3. 3月の報道叙事との接続
前提稿 の 「AI を自前で作らず配る」 は 報道ベース。6/8 の一次は co-build した AFM + (将来)Extensions で第三者 AI という ハイブリッドに近い。「Gemini=Siri の応答エンジン」 と 一行で書かないのが安全です。
4. Siri AI — 一次が示す機能と制約
4-1. ユーザー向け
マルチターン会話、画面(on-screen)文脈、Messages/Photos 等の横断検索
Web からの最新情報(broad world knowledge)
専用 Siri アプリ — 過去会話の再開・新規開始。iCloud で履歴同期
Dynamic Island スワイプ、サイドボタン、Hey Siri 等 従来の起動も継続(Newsroom・The Verge 6/8)
4-2. 対応端末(Availability より抜粋)
Apple Intelligence/Siri AI の対象例 — iPhone 16 以降、iPhone 15 Pro/Pro Max、M1 以降 iPad/Mac、Apple Vision Pro 等(詳細は Newsroom の Availability を正本)。
一部の高度なオンデバイス AI は iPhone Air/iPhone 17 Pro、M4 iPad(12GB RAM 以上)、M3 Mac(12GB RAM 以上) 等に限定、と The Verge(6/8) が伝える(二次。端末名は Apple 発表と照合推奨)。
4-3. Extensions API(要・一次追加確認)
3月の前提稿 が想定した Claude/ChatGPT/Gemini を Siri バックエンドに は、6/8 Newsroom 本文では未詳。DEV Community の WWDC 要約 等 二次のみ。執筆時点では「報道・開発者向けセッション依存」 — developer.apple.com の WWDC26 資料で要確認。
SiriKit「正式 deprecated」 も 6/8 一次プレスでは未確認。Apple Tech Talk 10168 は カスタム Intent の App Intents 移行を推奨しつつ ドメイン系 SiriKit は継続。二次の「SiriKit 終了」見出しは過大解釈のリスクあり。
5. EU と中国 — プラットフォーム別の提供差
5-1. EU(DMA)
Apple Newsroom — Due to DMA(2026-06-08) の要点:
iOS 27/iPadOS 27 リリース時、EU ユーザーは Siri AI 不可 — 専用アプリ、Visual Intelligence 拡張、Camera の Siri mode 等 含む
watchOS 27 も ペア iPhone に Siri AI が無いため EU では不可
macOS 27/visionOS 27 では EU でも Siri AI 提供予定
EU 在住開発者は iPhone/iPad/watch 向け Siri AI をベータテスト不可
Apple 提案 Trusted System Agent と 18か月段階ロールアウト — European Commission は不承認(Apple 一次の主張。Commission 側声明は本稿では未照合)
現時点で iOS/iPadOS の EU 提供 timeline なし
5-2. 中国
Newsroom Availability — 規制要件をクリアするまで Siri AI と新 Apple Intelligence 機能は中国で未提供。
5-3. 日本ユーザー
英語ベータから。日本語 Siri AI の時期は一次未記載。EU/中国ほど 全面禁止ではないが、6/8 時点で日本向け確定情報は限定的。
6. 混同しやすい点

7. 短期・中期・長期の整理
時間軸: 短期 0〜3か月/中期 3か月〜1年/長期 1年以上(2026-06-09 執筆時点)。
7-1. 短期(0〜3か月)
予想される効果: 開発者ベータで Siri AI の品質・幻覚・レイテンシが評価される。英語限定のため 日本ユーザーは体感変化が小さい可能性。EU 向け DMA 論争(Trusted System Agent 等)が メディアで継続。
不確実性: Extensions の 公式ドキュメント整備。ベータ品質は ML Research「beta period 中も改善」 — 数値は 夏のレポート待ち。
効果が出ない条件: ベータが 2024年デモと同等と評価され続ける。6/8 株価下落(報道)が 「出尽くし」 と読まれる。
7-2. 中期(3か月〜1年)
予想される効果: 秋の iOS 27 GA と iPhone 17 で Siri AI 一般提供(英語→多言語拡大)。App Intents 採用アプリが Siri から操作できる差別化に。
不確実性: EU iOS/iPadOS — timeline なし(一次)。中国規制未解決。Gemini ライセンス約 $1B/年(Bloomberg 等の二次・Apple 未開示)の マージン影響。
効果が出ない条件: EU が Apple 案を全面拒否のまま 欧州 iPhone が AI OS 世代で二級待遇。Extensions が 審査・手数料で停滞。
7-3. 長期(1年以上)
予想される効果: AFM co-build と 「AI を配る」叙事(報道)の ハイブリッドが定着。Neo/Apple Silicon で オンデバイス AI を ハードウェアサイクルに結びつける可能性。
不確実性: フロンティアモデルは OpenAI/Google/Anthropic が先行。Extensions 依存が強まると プラットフォーム税・データ流が再論争化。
効果が出ない条件: エージェント権限拡大と プライバシー叙事の トレードオフで セキュリティ事件(Microsoft 6/8 — AI ブランドフィッシング は 別製品の脅威だが ブランド巻き込みはありうる)。
8. まとめ
2026-06-08、Apple は Siri AI と AFM 3 を WWDC26 で公式化しました。2年越しの 文脈理解・アプリ横断・専用アプリは Newsroom 一次で確認できます。Gemini が Siri をそのまま動かすわけではなく、Google 協力の AFM と PCC が中核です。
一方 EU(iPhone/iPad)と中国 では Siri AI 初期未提供。Mac/visionOS の EU 提供など プラットフォーム別の差を、利用者・開発者は 地域ごとに期待値を切り分ける必要があります。
個人ユーザーは 対応端末・RAM を Newsroom Availability で確認。日本語は未確定 — 英語ベータの評価を 二次報道で追う程度が無難です。開発者は App Intents 監査と EU 在住者は iPhone 向け Siri AI ベータ不可(一次)を押さえる。情シスは PCC・端末処理の説明を 社内 AI 利用ポリシーと並べ、プロンプト注入・エージェント権限を Android 事例と同列で見直す — そこまで含めて、今回は 「追いつき型 Siri の公式化と規制による席分け」 として読むのがよさそうです。
主な参照
Apple Newsroom — Due to DMA, Siri AI delayed in EU(2026-06-08)
Apple Developer — Migrate custom intents to App Intents(Tech Talk 10168)
免責
本記事は公開情報をもとにした一般的な整理です。投資(AAPL 等)、法務、製品購入の助言ではありません。DMA の是非は Apple プレスと EU Commission の双方を併読してください。Extensions・SiriKit deprecated は 6/8 一次未確認の部分があり、WWDC 開発者資料で更新してください。
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