「褒め方」を変えただけで、子供の自己肯定感と成績が同時に上がる理由
「すごいね!天才じゃない?」
「100点なんて、頭がいいね!」
お子さんがテストで良い結果を出した時、ついついこんな言葉をかけていませんか?
親としては、めいっぱい褒めて自信をつけさせてあげたいという一心ですよね。
でも、心理学の研究、特に行動心理学の世界では、この「能力を褒める」ことが、逆に子供のやる気や成績を下げてしまう危険性が指摘されています。
今回は、スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授による有名な研究をもとに、子供の才能を伸ばす「正しい褒め方」についてお話しします。
「頭がいい」と褒められた子供が、挑戦を怖がる理由
ドゥエック教授は、数百人の子供たちを対象にある実験を行いました。
まず全員に、比較的簡単なパターンの問題を解かせます。その後、子供たちを2つのグループに分け、それぞれ違う言葉で褒めました。
グループA(能力を褒める):「すごいね、君は頭がいいんだね!」
グループB(プロセスを褒める):「すごいね、一生懸命頑張ったんだね!」
その後、子供たちに「次に解く問題を選んでいいよ」と伝えます。ひとつは「今までと同じような簡単な問題」、もうひとつは「難しいけれど、新しいことが学べる問題」です。
結果、どうなったと思いますか?
「頭がいい」と能力を褒められたグループAの子供たちの多くは、簡単な問題を選びました。
一方で、「頑張ったね」と努力を褒められたグループBの子供たちのほとんどは、難しい問題に挑戦することを選んだのです。
なぜ「能力」を褒めると、子供は守りに入るのか
「頭がいい」と褒められたグループAの子たちは、こう考えるようになります。
「いい結果を出さないと、頭がいいと思ってもらえない」
「間違えたら、頭が悪いと思われてしまう」
彼らにとって、失敗は「自分の能力が低いことの証明」になってしまいます。
だから、自分のラベルを傷つけないように、確実に解ける簡単な問題ばかりを選ぶようになるんです。
これが続くと、新しいことに挑戦する意欲がどんどん失われていきます。
逆に、努力を褒められたグループBの子たちにとって、失敗は「まだ努力が足りないだけ」あるいは「やり方を変えればいいだけ」という健全な情報になります。
だからこそ、失敗を恐れずに高い壁に挑み続けることができるわけです。
今夜から使える「プロセス称賛」の3つのポイント
では、具体的にどんな風に声をかければいいのでしょうか。「プロセス(過程)」を褒めるためのヒントを3つご紹介します。
1. 具体的な「行動」を実況中継する
「すごいね」と抽象的に言うのではなく、「今日は30分も机に向かってたね」「わからない問題を自分で調べて解決してたね」と、目に見える行動をそのまま言葉にします。親が見てくれているという安心感と、自分のどの行動が正解だったのかを理解することにつながります。
2. 「変化」と「成長」に注目する
「前はここで間違えてたけど、今回は正解してたね」というように、過去の本人との比較を伝えます。他人との比較ではない「自分の成長」を実感できると、自己肯定感が無理なく育ちます。
3. 結果が出なかった時こそ「戦略」を褒める
点数が悪かった時、「残念だったね」で終わらせず、「この解き方を試したところまでは、すごくいいアプローチだったよ」と、試行錯誤の過程を認めます。すると、次はもっと別の方法を試してみようという、主体的なエネルギーが生まれます。
「信じて見守る」ことが最大の報酬
親ができる最大のサポートは、子供の「今」の能力を評価することではなく、子供の「これから」の変化を信じて見守ることです。
「失敗しても大丈夫、あなたの価値は変わらない。でも、そこから学ぼうとする姿勢は素晴らしい」
そんなメッセージを日々の言葉の中に込めるだけで、子供は驚くほど自由に、伸びやかに学び始めます。
もっと深く知りたい人へ
今回ご紹介した心理学の考え方をベースに、家庭の中で「子供が勝手に勉強し始める環境」をどう作るか、について、より深く掘り下げたコンテンツを自分でも書いています。
「勉強嫌いが嘘のように消える。才能に頼らない完全自律学習の極意」というタイトルで、親の声かけ変換リストや、子供のやる気を引き出すマインドセットの作り方を体系的にまとめています。
「褒めているのに、なぜか子供が消極的になってしまう」と悩んでいる方は、ぜひ一度読んでみてください。きっと、明日からの接し方が変わるはずです。
