【読書録188】優れた人物をつくるのは、能力の差ではなく『物事の捉え方』~致知2026年8月号「時務を識る者は俊傑に在り」感想~
今日は、致知8月号の感想。「時務を識る者は俊傑に在り」、いま、この時に、ここで何を成すべきかを識っている人こそ優れた人物だという意味だという。
本号の記事を読んで、「何を成すべきか識っている」ということの意味するところは、どんな状況でもそれを否定的に捉えず、自分を成長させる良い機会と捉えるなどの物事への挑み方、態度ではないかと考えた。
記事では取り上げなかったが、94歳で洋装店のオーナーを務める、小澤美登利さんの「常に前向きであること、機嫌よくあること」などは、その良い例だろう。
優れた人物とは、能力の差ではなく、物事の捉え方の違いがもたらすように感じた。
総リード 時務を識る者は俊傑に在り
この言葉は、「十八史略」の中にある言葉で、いま、この時に、ここで何を成すべきかを識っている人こそ優れた人物だという意味であるという。
そのような人物として、聖徳太子、北条時宗、山岡鉄舟らをあげてそのエピソードを挙げる。
時務を識る上で大事なこととして、知識・見識・胆識だとしている。
最後に禅の高僧・趙州の有名な門答が紹介される。
「人生で大困難がきたら、その時、どう対処すればいいでしょうか」という問いに、趙州は、答えた。
「恰好ーよし来た」
時務を識る者になくてはならない覚悟というべきだろう。
「困難」に良い、悪いという評価はない。それをどう捉えどう向き合うかでその人が変わってくる。「よし来た」という姿勢は、困難をチャンスと捉える考え方で、自分を成長させるには大切な向き合い方ではないだろうか。
かくして日本発の新薬は誕生した
画期的なアトピー性皮膚炎治療薬を開発した京都大学大学院教授の椛島健治さんへのインタビュー記事である。その考え方、生き方は、研究者という枠を超えて人間としての正しさを感じさせるものが多い。
まずは、京都大学大学院生時代の指導教官の成宮教授の教えについて。
とにかく働いて、自分で考えて、行動に移す。それがうまくいくこともあれば、失敗することもあって、失敗からも学ぶことはある。ずっと繰り返さないと自然の本質は見えない。だから、評論家になってああだこうだ言っているだけでは話にならない
インタビュアーはこの発言を受けて「行動と検証を繰り返すことによって原理原則を掴むことができる」としているが、評論家にならず実践家たれという教えである。
次に、アメリカ留学から、京都大学に戻るのではなく、北九州市にある産業医科大学に赴任した経験について。
地方に行って自棄になる人もいると思うんですよ。こんなところで研究できないって。でも環境のせいにする人、話をすると言い訳をする人は成長しにくいと思います。与えられた案きょうの中で何を学び、どう次に繋げるか。環境に制約があっても、そこでしか学べないことを見出す姿勢が重要だと思います。そうすると必ずチャンスが訪れるんです。「置かれた場所で花を咲かせる生き方」が大切ではないでしょうか。
椛島さんは、地方の大学病院に行くことで、臨床の現場に身を置き、患者さんの辛さを見ていたことが、モチベーションにつながっている。
経験や環境に良い悪いという評価はないのではないか?その経験や環境を良いものにするか悪いものにするかは、その人の捉え方次第ではないか。
それこそ、置かれた場所で花を咲かせる生き方であると思う。
最後に、椛島さんの成功の三条件「運鈍根」の捉え方がとても参考になる。
運は、後からついてくるものだと思っているので、順番的には鈍根運なのかなと。まず鈍が重要で、これは計算高くならないってことだと解釈しています。役に立つか立たないかといいった打算が入ってしまうと、自分の感性が汚れてしまう。稲盛さんも「動機善なりや私心なかりしか」とおっしゃっているように純粋な思いからスタートしていることが大前提です。その上で根性や根気が要るわけですよね。鈍根を築き上げた結果として、最後に運が巡ってくる。やっぱり失敗の経験が多ければ多いほど、運の確率は上がっていくと思います。
愚直に自分が信じる道を貫いてやっていく。
この姿勢は特に見習いたい。
ブランドは細部に宿る
ブランドプロヂューサーとして渋谷ヒカリエ、グランツリー武蔵小杉を手掛けた柴田陽子さんへのインタビュー記事。彼女の仕事に対する姿勢に共感を持った。
自分の仕事を振り返り、「よくも悪くも受け身だった」と言い、以下のように語る。
目の前のことに一生懸命打ち込むうちに他者に認められ、次々と扉は開けるものだと思います。大事なのは、いただいたチャンスを勝負所と受け止め、行動できるかどうか。私は「準備が八割」とよく言いますけれど、人としての準備を徹底した人だけが、チャンスを掴めるのです。
自分を振り返ると、最近、経験を積み重ね、一つ一つの仕事に対する準備が、なあなあになっていないかと反省する。ぶっつけ本番で何とかするのではなく、準備をしっかり行う。それが自分の評判をつくっていくのだ。
経営者として大切にしていることとして以下のように語る。
働くことは生きることであり、問題は伸びしろ。一つひとつの問題から目を逸らさず、深く深く考え抜くことが、個人としても、会社としても重要だと思います。
もう一つ、リーダーは変化が激しい時代の中でも本質を見抜き、自分の頭で考え、決断ができるほどの信念を持たなければいけません。
柴田さんの場合、「ブランドは細部に宿る」ということを信念にしているという。
そして、本質を捉えたブランドを形にするために、変化の中に自らの身を置きつつ、その流れの中で本質とは何かを常に意識するという。
本質というのは、机上ではなく、現場で、現実世界でつかむもの。自らの身をそこに置く事というのは、ブランドのみならず、どんな仕事にも当てはまる仕事の本質ではないかと考えた。
