人間学辞典 #012 時間
定義
時間とは、過去から未来へ流れていくものではなく、
人間が変化を理解するためにつくり出した尺度である。
昨日があり、今日があり、明日が来る。
私たちはそう考えて生きている。
しかし、実際に人間が経験できるのは、いつも「今」だけである。
過去を思い出しているときも、今。
未来を想像しているときも、今。
人間は一度たりとも、「今」以外を生きたことがない。
人間学の視点
人は、過去を背負い、未来を心配する。
「あのとき、こうしていればよかった」
「これから、どうなるのだろう」
しかし、過去はすでに記憶の中にしかなく、
未来はまだ想像の中にしかない。
それでも人は、存在しない過去に苦しみ、
まだ訪れていない未来に不安を抱く。
では、時間とは本当に外側を流れているものなのだろうか。
あるいは、記憶と予測によって、
人間の思考がつくり出しているものなのだろうか。
世界を一枚の映画フィルムのように捉えるなら、
私たちはその一場面一場面を「時間の流れ」として経験しているのかもしれない。
しかし、そのすべてを認識している意識は、
いつも同じ「今」にいる。
なぜ重要か
人は時間に追われているようで、
実は思考に追われていることが多い。
過去への後悔。
未来への期待。
将来への不安。
それらから少し離れたとき、
そこに残るのは「今、この瞬間」だけである。
永遠とは、果てしなく続く長い時間ではないのかもしれない。
時間の長さを超えたところにある、
終わることのない「今」
それを知識として理解するのではなく、
自分の意識として感じることができたとき、
人は時間から少し自由になる。
人生とは、過去から未来へ進んでいく物語であると同時に、
永遠に続く「今」を経験し続けることなのかもしれない。
最後の問い
あなたが生きているのは、
過去でも未来でもない。
では、
「今」しか存在しないと知ったとき、 あなたは今日をどう生きるだろうか。
