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人間学辞典 #013 無常

定義

無常とは、すべてのものは変化し続け、同じ状態にとどまるものは何一つないということである。

人も、身体も、感情も、思考も、人間関係も、社会も、自然も、絶えず移り変わっている。

私たちは、昨日と同じ自分が今日も存在しているように感じている。
しかし実際には、身体の細胞も、心の状態も、周囲の環境も、一瞬一瞬変化している。

変わらないように見えるものも、長い時間軸で見れば必ず変わっていく。

変化こそが、この世界の常態なのである。


人間学の視点

人は、変わらないものを求める。

健康であり続けたい。
大切な人とずっと一緒にいたい。
今の立場を失いたくない。
幸福な状態が続いてほしい。

しかし、現実はその願いどおりにはならない。

老いる。
別れる。
失う。
環境が変わる。
自分自身さえ変わっていく。

そして、人は「変化そのもの」に苦しむのではなく、
変化してほしくないという心によって苦しむ。

無常を理解するとは、人生を悲観することではない。

むしろ逆である。

すべてが変わるからこそ、苦しみも永遠には続かない。
失敗も、悲しみも、絶望も、そのままではいない。

そして、今ここにある喜びも、人との出会いも、この瞬間も、二度と同じ形では訪れない。

だからこそ、今が尊い。


なぜ重要か

無常を受け入れると、人は少しずつ「しがみつくこと」から自由になる。

過去に執着する必要もなくなる。
未来を必要以上に恐れる必要もなくなる。

変化を止めようとするのではなく、
変化の中を生きることができるようになる。

人生とは、完成された何かを所有することではない。

刻々と変化する世界の中で、
その瞬間、その瞬間を経験していくことである。

花が美しいのは、永遠に咲いているからではない。
やがて散るからこそ、その一瞬の美しさが際立つ。

人の命も同じなのかもしれない。

無常とは、失われていく世界の教えではない。
絶えず新しく生まれ続けている世界の姿なのである。


問い

あなたが今、
「変わってほしくない」と握りしめているものは何だろう。

そして、それがいつか変わることを受け入れたとき、

あなたは今日という一日を、どのように生きるだろうか。

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