一条工務店「ダンジュ」のスマートロックを救いたい
DANJU(ダンジュ)は、一条工務店の家で採用可能な超高断熱玄関ドアです。
「性能の一条」というだけあって、断熱面ではかなり魅力的なドアと言えます。

一方で、スマートホーム沼の住人にとっては、どうしてもモヤモヤするポイントがあります。
それが、スマートロックが固定されていることです。
ダンジュには「SADIOT LOCK2」という、スマートロックが標準搭載されています。一般販売されているSADIOT LOCK2とは異なり、常時給電の特別仕様になっており、電池交換は不要です。
なんだか便利そう!と思ってしまいそうになりますが、選べないスマートロック、これがくせ者です。
玄関ドアとしては魅力的。ただ、スマートロックは選びたいのに固定されている。今回はそんなダンジュを救う方法を模索します。
1. SADIOT LOCK2のここが惜しい
最初に言っておくと、SADIOT LOCK2は、スマホ操作やハンズフリー解錠などが揃っていて、製品としてはちゃんとしたものです。

公式HPにもミネベアミツミグループの技術・知見の結晶と紹介されています。
SADIOT LOCKは、世界を支える日本の技術で、
快適さと安全性どちらもこだわり抜いたスマートロック。
精密部品、半導体、電子制御デバイスをはじめとする先端技術をグローバルに提供し、IoT時代に貢献する「ミネベアミツミ」と、100年以上暮らしの安全を守り続けているカギのスペシャリスト、「ミネベアショウワ」の技術・知見の結晶です。
ただ、残念ながら、最近のスマートロックの主流になっている、ICや指紋認証、顔認証や静脈認証のような、鍵やスマホを出さないで可能な認証をサポートしておらず、物足りなく感じる人が多いのも事実です。
私は普段、セサミを使い、静脈認証やスマートウォッチのタッチで解錠しているため、それが使えなくなるのはかなりストレスになると思います。
加えて、反応速度についても「遅い!」という口コミも多く見受けられます。
比較的救いになりやすいのがハンズフリー解錠ですが、距離や状況によって意図しない解錠に繋がる可能性もあり、普段の運用には向き不向きがあるのが正直なところです。
以上、検索して出てくる話だけでは説得力がありません。
しかし私はまだ設計中でダンジュの運用はしばらく先。
なので先回りしてSADIOT LOCK2を購入して検証してみました。(Matter対応のHub2Mも購入しました。)
以下は、セサミ5 ProとSADIOT LOCK2を、同時に(むしろSADIOTを先に)解錠した時の動きの比較です。
セサミ5 Pro ← →SADIOT LOCK2
・・・・
ダンジュを救うことはできるのでしょうか。
2. ダンジュ救済作戦
ここでは、一条施主コミュニティでも紹介されている手法も含め、ダンジュ(SADIOT LOCK2)への対応方法をご紹介します。
1) 他社スマートロックを被せる
最近急増中の手法です。
使えないなら、上から便利なスマートロックを被せてしまえ!という訳です。
今回の目的はダンジュを救うこと。SADIOT LOCK2を救う必要はありません。
現状、サイズ的に合わせやすいセサミ5 Proを被せる運用がよく見られます。
セサミ on サディオロック
— ざわざわ森の平社員@一条グラスマ平屋1年生 (@hira_grandsmart) October 14, 2025
やーれーばできる!!
顔、指紋、手のひら静脈、スマホタッチなどで解錠可能!
反応速度がサディオロックとは桁違いですな!
サディオロックも生きてるので、セサミのアプリに何かあってもカバー可能。
物理的な問題とかは詰みなので物理キーは手放せずw pic.twitter.com/MLOcIpFd3e
メリット
反応速度が劇的に改善
豊富な認証デバイスが利用できる
デメリット
見た目がゴツくなる
セサミ5 Proでも高さがギリギリ足りず、土台(スペーサー)が必要
セサミ用のマグネットを使うとピッタリらしい
被せたスマートロックの電池交換が必要
SADIOT LOCK2側が常時給電で動いているため、被せたスマートロックの電池が切れても、SADIOT LOCK2で解錠できることがバックアップになるのは安心材料になりますね。
2) SADIOT LOCK2をもぎ取る
次は見た目重視の方法。
SADIOT LOCK2を外して他社スマートロックへ置き換えます。
今回の目的はダンジュを救うこと。(2回目)
以下の記事では、SwitchBotロックへ置き換えている事例が紹介されています。
もちろん、セサミに置き換えている方もいらっしゃいます。
メリット(被せる方法に加えて)
見た目はスッキリ(多少穴は見えるから隠す必要あり)
高さを気にせずスマートロックを自由に選べる
デメリット
ダンジュ自体の保証・施工への影響が読めないため完全に自己責任
スマートロックを接続するために対応アダプターが必要
セサミなら、CANDY HOUSEに依頼すれば作ってもらえるそうです
置き換えたスマートロックの電池交換が必要
一番の課題は、ダンジュ自体の保証への影響でしょう。この点は完全に自己責任の領域となります。
この方法で夢があるのは、SADIOT LOCK2に接続されていた常時給電の配線を、後付けしたスマートロックに再利用できるかも?という点です。
これが実現できると後付けの課題である電池交換が不要になるため、かなりメリットになります。(試すなら、電圧が問題ないか等慎重に)
3) SADIOT LOCK2の認証だけは強化する(本記事のメイン)
最後はSADIOT LOCK2側を救う方法です。
少なくとも、認証方法が不十分な点はどうにかできます。
つまり
玄関前の認証はセサミの認証デバイス(指紋/ICなど)
解錠はSADIOT LOCK2
という構成をHome Assistant(HA)を使って実現します。

SADIOT LOCK2は2025年にMatter対応のハブ(Hub2M)が出ており、スマートホーム連携が柔軟にできるようになりました。(本当はMatterでローカル接続するならBLE接続待ちのタイムラグも無くしてほしかった)

Matterで操作できるなら、HAとも連携が可能なため、HAからSADIOT LOCK2の施錠・解錠ができます。
ただし、セサミの認証デバイスのイベントはそのままではHAに連携することができません。
認証デバイスは自社のロックに直結する設計がほとんどで、外部連携の口は普通は用意されていないのです。
そこで esphome-sesame_server を使って、Bluetoothプロキシでも使ったESPHomeデバイス(例:M5Stack Atom Lite)でセサミ認証イベントのブリッジを準備し、認証イベントを受けてHAへ通知できるようにします。
3. SADIOT LOCK2とセサミフェイスを連携する
3-0. 全体の流れ

セサミ認証デバイス(セサミフェイス等)
セサミ認証イベントブリッジ(ESPHome)でイベント受信
HAのアクションを実行
Matter経由でSADIOT LOCK2解錠
3-1. セサミ認証イベントブリッジの準備
M5Stack Atom Lite等、ESP32系デバイスを用意します
HAのESPHome Builder等を使用して、esphome-sesame_server をビルドします
起動したら、セサミアプリで「セサミ 5」として認識するので追加します(名称はわかりやすいものに変更しましょう)
※ ESPHomeデバイスが仮想的なセサミ5として振る舞い、フェイスからの信号を傍受する仕組みのため、セサミ5として追加します認証デバイス側に追加した「セサミ 5」を紐付けます
認証デバイスでロック解除等を実施しながら、ESPHome Builderでログをチェックします
ログに記録されているアドレス情報を使ってYAMLを編集し、再度ビルドすればOKです
以下、YAMLのサンプルです(esphome-sesame_serverのREADMEを参照の上、各自の環境に合わせて作成が必要です)
esphome:
name: sesame-bridge
friendly_name: Sesame Bridge
platformio_options:
build_flags:
- -Wall -Wextra
- -DUSE_FRAMEWORK_MBEDTLS_CMAC
external_components:
- source:
type: git
url: https://github.com/homy-newfs8/esphome-sesame_server
ref: v0.9.0
components: [sesame_server]
esp32:
board: m5stack-atom
framework:
type: arduino
sdkconfig_options:
CONFIG_BT_ENABLED: y
CONFIG_BT_NIMBLE_ENABLED: y
CONFIG_BT_NIMBLE_MAX_CONNECTIONS: "4"
CONFIG_BT_NIMBLE_CRYPTO_STACK_MBEDTLS: y
ota:
- platform: esphome
wifi:
ssid: !secret wifi_ssid
password: !secret wifi_password
captive_portal:
logger:
level: INFO
api:
button:
- platform: template
name: "Reset Sesame Server"
on_press:
- lambda: |-
id(sesame_server_1).reset();
sesame_server:
id: sesame_server_1
uuid: "xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx"
# 以下はアドレスが分かってから設定する
triggers:
- name: "sesame_face"
address: "xxxxxxxxxxxxxxxxxx"
on_event:
then:
# unlock を受けたら SADIOT 解錠
- if:
condition:
lambda: 'return event_type == "unlock";'
then:
- homeassistant.service:
service: lock.unlock
data:
entity_id: lock.sadiotlock01
# lock を受けたら SADIOT 施錠
- if:
condition:
lambda: 'return event_type == "lock";'
then:
- homeassistant.service:
service: lock.lock
data:
entity_id: lock.sadiotlock013-2. HAと統合する
Hub2Mを使って、Matter経由でSADIOT LOCK2を連携しておきます
連携したエンティティIDを使用して、YAMLに施錠/解錠の処理を追加します(上記YAML例の最後の方の部分)
ESPHomeの統合の設定メニューから、「デバイスが Home Assistant アクションを実行できるようにします。」のチェックを入れておきましょう
3-3. 動かしてみる
以下の動画は、セサミフェイスをトリガーに、HA経由でSADIOT LOCK2を解錠する様子です。
隣に比較のために同時連携しているセサミも置いてます。
※ このセサミ5 ProもあえてESPHomeからのHA経由にしていますので、迂回経路の遅延はほとんどないことが分かります。
セサミ5 Pro ← →SADIOT LOCK2
4. 結果
SADIOT LOCK2をあきらめる方向は既に実績もあり、ダンジュを救う方法としては非常に有効だと思います。
SADIOT LOCK2自体を救うことは、
認証の拡張:できた
反応速度:今後に期待
個人的には、反応速度の問題が大きすぎるので、SADIOT LOCK2はあきらめるのかなと予想しています😅
ただ「外付けは抵抗がある」「交換は怖い」人にとっては、認証だけ改善するのは現実的な落とし所として良いのではないでしょうか!
