見出し画像

二十五話 宇宙いや銀河の如く転生じゃなくて乗っ取られて これは二重人格かな!

第二十五話 来ちゃった。
ロンドンに着いて、とんでもない感覚を覚えたの。

物価が驚くほど高いの。
大抵のものは日本の倍近い。

身近な世界でしか生きていないと、
こうも外の世界が違うなんて、知る由もなかったの。

空港でご飯食べて、少しお買い物して、びっくりして、タクシー乗ったら、タクシーって、文化なのね。
何回も細かい道を走っていって、びっくりしちゃった。
渋滞が激しいから小道を使わないと怒られるんだって。
道知らないとタクシードライバーになれないんだって。
ところ変わればね。

あと、カフェでも簡単なもの頼んだんだけど、
食べる順番とか提供するタイミングを見計らっていて、驚いちゃった。

朝食なんて、卵の調理の仕方を聞かれちゃって、
クレアはサニーサイダップとか言ってて、
サイダーでも頼んだのかと聞いたら、目玉焼きよって。
ああ、って納得して、両面焼いて欲しい時はターノーバーって言うらしい。
目玉焼きって、そんな種類があったんだっけって、

それに紅茶がポットで出てくるし、もう驚きの連続だったの。

そんな新しいことの連続な日だけど、もうこのあと、出演なのよね。

緊張している。ここにくるだけで緊張している。

飛行機乗って色々あって、疲れて寝れたけど、ドキドキが止まらない。

大丈夫なのかな。

ちゃんとあの人来るかな。

お昼が過ぎて、会場へ向かうときに、あの曲を聴いた。

タクシーで移動の中、クレアがずっと抱きしめてくれていたんだ。

なんの問題もなく、いつも通りにあの人は移ってきて、少し安心した。

「どうした、大丈夫か。いつもは感じない振動を感じるぞ」
「レミ、すっごい緊張しているのよね。」

「私のリズムの感覚でも整わないのか、会場入る前に歌っておいた方がよいな。」
「ビクトリア広場へ寄って行こう、あそこなら交通もあるし、普段から色々な人たちがいるから全然問題ない」
「そんなことできるの」
「心配するな、しっかり対処はしてきている」
「えっ!!」
「予想はしておいたのさ」
「少しだけ、心配は少ない方が良いだろ」
「はい!!ありがとうございます!!」

「クレア」
「うん」
「こんなことできるなんて、すごい人だった」
「まあ気にするなって」

なんだか歌う前に緊張がほぐれた気がして、一曲歌って、いつも通りに歌えて、気持ちがすっごく楽になった。

会場に到着して、コーディネーターの方々が
色々とインタビューするって言うので、
まあいつも見ているから、クレアが受け答えを用意してくれていて、
滞りなく進んでいった。

「クレア、いよいよ私たちの出番ね。」
「うん、レミ、いつも通り楽しみましょうね!」
「うん、クレア、よろしくね!」

観客がすごいのとスポットライトが明るすぎる。

こんな灯、見たことがなかった。

「今日はどこから来たのかな?」

いつもの質問からだ、そりゃそうよね。
私はほとんど英会話はできないので、クレアが応対するんだけど。
もう、すごかった。さすがクレアなの。

「日本からです。東京の近くの港町、横浜です。終戦の調印をした港街なんです。」
「おお、なんとなくイメージがついたよ。」
「今日は何をしに来たんだい?」
「レミと一緒に、歌を歌いにきました。」

「普段はどんなところで歌っているのかな?」
「放課後、カラオケボックスへ行ってます。」
「日本は放課後に行けるカラオケボックスがたくさんあるのかな?」
「はい、放課後は時間帯的にも利用者が少ないのと、学生割引で、タダ同然なんです。」
「はははっタダ同然とは。」
「実際にはドリンク飲み放題は一回注文しなきゃなので、ワンコインって感じです。」
「いや、それにしても確かに格安だね」

会場にもたくさん笑い声が響いてて、なんだか嬉しかった。

「と、言うことは、今は小学校に行っているのかな。」
「いえ、高校生です」
「ああ、そうだね。とっても若いエネルギーを感じるんだ、失礼。」
「いえ、お気になさらずに」

「それでは歌っていただこうか」
「はい!!」

「それでは聴いてください!!」

今回はアカペラでって、決めてきた!!

歌い出しから、バッチリ2人の声が重なって、
オクターブもしっかり重なって、歌っていて2人とも鳥肌が立ってて、
歓声も凄くって、いつも以上に声が出てて、
自分でも何が起きているのかわからないうちに歌い終わったの。

すっごい拍手に賞賛の声!

これがこの番組の特徴!

今まで知らなかった、何かが開く音を、歌いながら、
これだよねって納得しちゃってた。

「レミっ」

クレアもとっても驚いてて、
歌い終わってからずっとぎゅって抱きしめてくれてて。

「クレア、何か違ったのかな」
「うん、今までにないすっごい歌声」
「あそこまでオクターブが上がっても、しっかり厚みのある歌声」
「合わせている私の声が包み込まれて、今までに聴いたことのない歌声になってて、歌いながら鳥肌が立っちゃって、とってもビックリしちゃって、ずっと顔を見合わせながら歌っちゃった」

「なんでかよくわからないけど、歌声が、いつも以上にオクターブが出ているなって感じて、曲に、リズムにのれていたの、とっても気持ちよかったの」

「どう言うことなのかな」
「なんだろうね」

「レミ、歌うの、これからずっと歌うのよ、ねっ、一緒に続けて行こっ」
「クレアっ、どうしたの、うん、私はクレアと一緒に歌を歌っていきたい」
「よかった。それじゃあ、レミが歌うことに目覚めたのかな。いつもと同じ状態だと、どうなのかな」

「あっクレア、それなんだけどね」
「うん、レミ、どうしたの」

「…」

2人で話している間、
ずっとナレーターから話しかけられていたことに気がついて、
クレアが気を取り直して、
今、レミの歌声に変化が起こったことは偶然のことで隠していたわけではないことを話してくれた。

「…」

「この場で更なる才能の開花が、役に立ってとっても嬉しいよ」
「この歌声、もう世界の歌姫だ。おめでとう」

会場全体から歓声がすごく、スタンディングオベーションも鳴り止まない。

とっても気持ちいい。

まだまだ短い人生なんだけど、今までで、最高に幸せで感激した瞬間だったの。

そんな中に、自分の中のある変化を歌っている途中で自覚した、
と言うのか、気づいたこと。

今、歓声の中で、ふと、落ち着きを取り戻したので、クレアに打ち明けた。

「クレア、さっき言いかけたことなんだけどね」
「あっ、うん、レミ、何かあったの」
「あのね、クレア」
「私の中に、もう、あの人はいないの」
「えっ、どうして、なにが、いつ、レミ、それなのに、あんなにしっかり歌えたの?」
「うん、今はモールス信号で会話もできないし、歌っている時に何かが起こったのかな」

「ここまで、レミを導いてくれた大切な人」
「その役割が終わったのかな」
「どうなんだろね」

「今が私なのかな」
「えっ、だって、私をクレアだって認識して会話しているよね」
「でも、結構一緒にいたし、何か2人しか知らないことなんてあるかな」

「…」

「難しいね。あったとしても、レミの中にいる時に、知られちゃっていたりして」
「いや、あの人とだったら、こんな会話しないよね。」

「そうだよね!!」
「うれしい、クレアと一緒に歌を歌っていけるなんて」

「クレア、ここまで連れてきてくれて、ありがとう」
「レミ、こちらこそ、レミのおかげでここまで来れたんだよ、ありがとうね」

2人で泣きながら抱き合って、
コーディネーターの人たちが、そろそろステージから降りる頃だからって、
声をかけられて、その場にいた人たちと、ぎゅっと抱きあって、泣き続けながら退場したんだ。

次に向けて、ステップ

いいなと思ったら応援しよう!

mas@_hero 役に立ったと思われた時に押していただけると大変嬉しいです。