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定期預金0.7%、個人向け国債1.95%!19年ぶりに売れているワケと現金キャンペーンのカラクリ

現在、主な銀行の5年もの定期預金は、
0.7%程度。

一方、
2026年7月募集分の個人向け国債「固定5年」は、
1.95%です。

いずれも税引前ですが、かなり差がありますよね?

そして、
個人向け国債の2025年度の発行額は6兆円を超え
19年ぶりの高水準になりました。

なぜ、いま個人向け国債が売れているのか。

理由はシンプルで、
金利が上がってきたからです。

ただし、個人向け国債は、
どんなお金で買ってもよい商品ではありません。

結論から言うと、
重要なのは、
「国債を買うかどうか」ではなく、
「どんなお金で買うか」です。

今回は、
個人向け国債の仕組み選び方
そして、
現金プレゼントキャンペーンのカラクリまで、
読み解いていきます。

※記事内の金利は2026年7月募集分(年率・税引前)です。適用金利は募集月ごとに変わりますので、購入時は財務省サイトで最新の条件をご確認ください。

個人向け国債発行、高水準
19年ぶり、新規投信相次ぐ 金利上昇で選択肢に

日本経済新聞(2026年7月17日朝刊)

この記事によると、
家計が保有する国債・財投債の残高も約20兆円と、
約12年ぶりの高い水準になっているようです。

ちょっと前まで、個人向け国債の金利は、
最低保証金利である0.05%に何年も張り付いていました。

それが今では、固定5年で2%に迫る水準

個人向け国債の発行が始まってから、
かれこれ20年以上、見守ってきた筆者からすると、
隔世の感があります(涙)。

このニュースの読み解き!
💡 3つのポイント

1.金利上昇で、個人向け国債の優位性が増してきた

大手銀行の5年定期0.7%に対して、固定5年は1.95%。
「定期預金に置くらいなら」と預け替える価値が高まってきた。

2.個人向け国債には「1年たてば国が額面で買い取る」独特の仕組みがある

普通の国債と違って、値動きによる元本割れの可能性がありません。
ここが大きな特徴です。

3.現金キャンペーンは利用してOK。でも、それを買う理由にするのはオススメできない

現金プレゼントの裏には、
新規顧客と新規資金の獲得という販売側の狙いがあります。
後半で「お金の流れ」をタネ明かしします。

個人向け国債とは?

そもそも国債とは、
簡単に言うと、
私たち投資家が日本の国にお金を貸して、
その見返りとして半年ごとに利子を受け取り、
満期時にお金を返してもらう「債券」の一種
です。

普通の国債は5万円単位ですが、
個人向け国債は1万円単位で購入できます。

商品は、「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類です。

変動10年

満期は10年で、
適用金利が半年ごとに見直されます

適用金利は、
10年満期の普通の国債の利回りを元に計算される基準金利に、
0.66を掛けて決まります。

購入後、市場の金利水準が上がっていけば、
受け取れる利子も増える可能性がありますが、
逆に、金利が下がると利子も減っていく可能性があります。

固定5年・固定3年

購入時に決まった金利が、
5年後または3年後の満期まで変わりません

固定5年の適用金利は基準金利−0.05%
固定3年の適用金利は基準金利−0.03%となっています。
※基準金利はそれぞれの期間の普通国債の利回りを元に計算されます。

ちなみに、
2026年7月募集分の固定5年の適用金利は、
基準金利2.00%-0.05%=1.95%と決まっています。

そして3商品とも、
年0.05%の最低金利が保証されています。
市場の金利水準がどれだけ下がっても、
金利がゼロになることはありません。

【図表1:個人向け国債3商品の違い】

「10年」と書いてあっても、
10年間動かせないわけではない

「変動10年を買ったら、10年間お金を引き出せないの?」

と思う方もいるかもしれませんが、
実は、3商品とも、発行から1年がたてば中途換金できます

ここで大事なのが、普通の国債との違いです。

市場で売買される普通の国債は、
市場の金利が上がると価格が下がる、
市場の金利が下がると価格が上がる、
という特徴があります。
※債券の値動きは株式の値動きに比べると非常に小さいです。

満期まで持てば額面で戻ってくるのですが、
途中で売ると、
「値上がり」または「値下がり」していることがある
わけです。

日経の記事にもある国債で運用されている投資信託や国債ETFも同じで、
基準価額や市場価格が日々値動きしています。

一方、個人向け国債は、
市場価格で売却する商品ではありません。

発行から1年たてば、国が額面で買い取ってくれます
つまり、値動きによる損は発生しません。

ただし、中途換金時には、
直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685
が手数料として差し引かれます。

分かりやすく言えば、
元本はちゃんと戻るけれど、
直近1年分の税引き後の利子を返す必要がある
というイメージです。

「1年たてばノーペナルティで自由に解約できる」
わけではありません。

そして、
最初の1年間は原則として換金できません

ですから、
基本は「しばらく使う予定のないお金」で買うのが無難です。

日々の生活費。
急な出費に備える緊急予備資金。
そして、
近い将来の住宅購入の頭金や、
近いうちに必要になる子どもの学費など。

こういったお金は、
すぐに引き出せる預貯金に残しておきましょう。

【図表2:「個人向け国債」と「国債に投資する投信」は同じではない】

変動10年と固定5年、どちらを選ぶ?

今後も金利が上がると思うなら、
変動10年がよいでしょう。

半年ごとに金利が見直されるため、
金利上昇についていけます。

「10年」と聞くと長く感じますが、
1年たてば換金できるので、
縛りは見た目ほどきつくありません。

一方、
「2%近くまで上がってきた。今後どんどん上がるとは考えにくい」
「今の1.95%を5年間確保できれば十分」
と考えるなら、固定5年も十分ありです。

今後、金利が下がれば「固定しておいてよかった」となりますし、
さらに上がれば「変動にしておけばよかった」となるかもしれません。
でも、
将来の金利を正確に予測することはプロでも困難です。

ちなみに、固定3年は、
正直なところ、満期が5年とあまり変わらないので、
同じ固定を選ぶなら、
金利が少しでも高い5年でよいと私は思います。

迷ったら、
半分を変動10年、
半分を固定5年に分ける方法もあります。

また、
個人向け国債は毎月発行されていて、
1万円単位で買えますから、
積立投資のように、毎月少しずつ買っていくのも一つの方法です。

定期預金より個人向け国債のほうが安全?

今回のテーマについて、Voicyでは、
定期預金に置いておくくらいなら、
個人向け国債のほうが安全面でも利回り面でも有利
だと話しました。

ここでは、
もう少し丁寧に整理しておきます。

銀行の定期預金には、万一の銀行が破綻した際、
預金者を守る「預金保険制度」があります。

利息のつく普通預金や定期預金は、1つの金融機関につき、
預金者1人当たり元本1,000万円までとその利息が保護されます。

ですから「銀行が破綻したら預金がすべてなくなる」わけではありません。

また、ネット銀行のキャンペーン定期などでは、
個人向け国債より高い金利がつく場合もあります。
個人向け国債が、いつでも必ず一番有利とは限りません。

しかし、個人向け国債は、
日本の国がなくならない限り、
元本と利子は“1000万円を超えていても”確実に戻ってきますし、
利回りは定期預金よりも高いことが多いです。

なんとなく預金に置きっぱなしのお金があるなら、
一度比較してみる価値は十分にあるでしょう。

個人向け国債はNISAで買えない

現在、
個人向け国債そのものはNISAの対象外です。

NISAの対象に加えようという提案は出ていますが、
現時点では正式に決まっていません。
利子には20.315%の税金がかかります。

ややこしいのは、
日経記事に登場する国債で運用する投資信託や国債ETFの中には、
NISAの成長投資枠で買える商品もあることです。

ただし、
「NISAで買える国内債券型投信」=「個人向け国債と同じ安全性」
ではありません。

投信やETFには価格変動があり、運用コストもかかります。

預金の代わりとして安全性を最重要視するなら、
個人向け国債のほうがよいでしょう。

国債を買うと、なぜ現金がもらえるのか

ちなみに、
いま野村證券など複数の証券会社で、

「個人向け国債を1,000万円以上買うと、現金をプレゼント」

というキャンペーンが行われています。

1,000万円に対して1万円、2万円といった水準です。
※対象商品や金額などの条件は、各社・募集回ごとに異なります。

結論を先に言うと、注意点はありますが、
キャンペーンの利用自体は問題ありません

では、なぜ証券会社は現金を配れるのでしょうか。

タネ明かしをすると、
個人向け国債を販売した金融機関には、
財務省から手数料が支払われています

募集時の手数料は、
「変動10年:販売額の0.14%」
「固定5年:0.11%」
「固定3年:0.08%」
いずれも消費税相当額が別途加算されます。

このほか、保有期間中の管理手数料や、
中途換金時の事務取扱手数料もあります。

つまり、変動10年を1,000万円販売した場合、
募集時に金融機関へ入る手数料は、
税抜きで1万4,000円です。

ここで、以前の記事を思い出してください。

月1万円(年間12万円)の保険を1件売ると、
保険代理店に初年度およそ18万円の手数料が入るケースもある、
という話でした。

一方、個人向け国債は、
1,000万円売っても1万4,000円

単純比較できるものではありませんが、
商品単体で見ると、
個人向け国債は、金融機関にとってあまり儲からない商品なのです。

国債は「本命商品」ではなく、入口

では、なぜ金融機関は、
現金までプレゼントして個人向け国債を売るのでしょうか。

元証券マンとしては、
その気持ちはよく分かります(汗)。

金融機関にとって重要なのは、
1万4,000円の手数料ではありません。

1,000万円単位の新しい資金と、
新しいお客様を獲得できること
です。

個人向け国債を1,000万円も買える方は、
きっと他にも多くの預金や金融資産をお持ちです。

「国債だけでは、なかなか増えませんよ」
「投資信託も一緒にいかがですか」
「ファンドラップという仕組みもございます」

個人向け国債を入口に、
どんどん次の商品を提案して、取引を広げていく。

金融機関にとっては、合理的な営業戦略なのです。
これは、金融機関や担当者が悪い、という話ではありません。

そうした営業を促しやすい収益構造になっている
つまり仕組みの問題です。

私たちは、
その構造を知ったうえで利用すればよいのです。

【図表3:保険18万円 vs 国債1万4,000円】

今日の正直ポイント

個人向け国債は、
大きくお金を増やすための商品ではありません。

しばらく使わないお金を、
安全性を重視しながら置いておくための商品です。

これからも金利が上がると思うなら、変動10年を多めに。
今の2%前後を確保しておきたいなら、固定5年。

ただし、いちばん大切なのは、これです。
「国債を買うかどうか」ではなく、
「どんなお金で買うか」です。

すぐ使うお金や緊急予備資金は、預貯金。
1年以上使う予定がなく、安全性を重視するお金は、個人向け国債。
10年先、20年先に向けて増やすお金は、
NISAなどで長期・積立・分散投資。

お金の置き場所を目的別に分ける。
「アセットロケーション」という考え方ですが、
これが何より大事です。

そして、
キャンペーンの現金はもらっても構いません。
ただし、
現金プレゼントはもらっても、
その後の営業トークまで受け入れる必要はありません。

基本的に金融機関の担当者が勧めてくる商品は、
手数料が高めなものが多いので注意しましょう。

これを機会に、
少しずつ自分なりのお金の置き場所を整えていきましょう。

この内容は、Voicyでもお話ししています。
https://voicy.jp/channel/4318

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