秘密結社こんぺいとう
少し前、
息子の小学校で保護者会があった時の話だ。
3学期も終わりに近づき、1年間お世話になった担任の先生に感謝の気持ちを伝える妻。
「5年4組は本当に良いクラスでしたね。」
妻も先生もしみじみと1年を振り返る。
僕より少し若い男の先生で、
息子からの印象は優しい先生。
6年生になっても先生がいいな、と言っていた。
5年生になってからは、それまで通室していた特別クラスにも行かなくなり、
学童も行かなくなった。
見守ってくれる場所が少なくなった分、親としては不安も多かった。
「あ、でもこんぺいとうがあったわね。」
妻のその言葉にピクリと反応する先生。
「こんぺいとうって、あの噂の秘密結社のことですよね?」
声のトーンが半音上がっている。
昨日こんぺいとうだったから、なんだか眠くて〜
こんぺいとう楽しかったね〜〜
また行きたいね、こんぺいとう〜〜〜
なにやらクラスメイトたちの間で話題になっているらしい。
「で、結局のところなんなんですか??
こんぺいとうって。」
ついに明かされるであろう秘密の前に、先生の両目は見開かれていた。

甘くて美味しい こんぺいとう
サードプレイス。
家と学校。家と職場。
日々その場所を往復するだけじゃあ、息が詰まる、こともある。
そんなストレスから解放されるための第3の場所。
息子がお世話になった学童の先生が、離職後
少しでも子供達と関わり続けたいとの想いから、
2年程前に地域の異世代交流の場所を立ち上げた。
それが、みんなのクラブ⭐︎こんぺいとう。
未就学児から小中高大学生、現役学童の先生たちやシニア世代まで。
様々な参加者が皆で制作や遊び、歌やダンスの発表、お菓子やパン、うどん作り等々、
レクリエーションを通じて共に楽しむ交流の場だ。
形も色も様々な、こんぺいとうのような集まり。
うちの息子と娘も毎回参加して、準備から片付けまでの時間を過ごしている。
地域センターのイベントスペースを借りて、月1、2回の開催なのだが
いつも40人くらいは集まる。
僕は最初そこで日々の感謝の気持ちを込めて、コーヒーを振る舞った。
僕の焙煎した豆でこんぺいとうオリジナルブレンドを作ってみた(ショコラピーベリーというブラジルの小さくて丸っこい豆をベースにしている)。
その場で息子が手引きミルで挽いて父がハンドドリップ。役割を途中で交代しながら。親子の淹れたてコーヒーは皆に好評だった。

けっこうさまになってる
それから1年半ほど経ち、今はすっかりクッキングスタッフとして活動している。
子ども食堂的な側面もある集まりなので、ご近所の農家さんから野菜のお裾分けを頂けたりする。土の付いたままの、形も様々な野菜たち。子供たちと一緒に下ごしらえ。

初めての包丁やコンロの火に緊張の面持ちの子もいれば、慣れた手つきでタンタカ作業するお兄さんお姉さんもいる。皆で協力し合って作ったご飯を皆で共に食す時間。
美味しさも倍増するのだ。


好きな具材を入れて
もちろん、その日の気分や、その子の特性やらでレクリエーションとか積極的に参加出来なかったり、したくなかったりする子だっている(特にうちの子)。
そんな時は無理に参加しなくたっていいんだ。見てるだけだっていいし、本を読んだり、勉強してたっていい。ただ同じ空間で時間を共有してほしいと思っている。
自分にとって居心地のいい場所を見つけて欲しいんだ。
だけど、ごはんは一緒に食べようねって伝えている。だって、ホントに美味しいんだから。
3月は今年中学校に上がる6年生たちを応援する会をした。
1番メインで活躍してきた子たち。
ビスケットの上に感謝の気持ちをチョコペンで書いてみた。

そして食べた
1年生の頃から見守ってきた子達が、もう中学生になるなんて。
〇〇ちゃん(こんぺいとうを立ち上げた学童の先生)は
目をウルウルとさせて感極まっていた。
そうだよな、うちの息子だって6年生だ。
そして娘は新1年生になった。
桜咲く中での入学式。雨風の寒い日々が続いたおかげだ。
ランドセルを背負った君に舞い散る花びら。
今日から新しい生活が始まるんだな。
クラス替えの発表もあった。
息子の好きな先生は異動になってしまったらしい。
でも、さほどがっかりした様子も無く。
仲良し友だちが一緒で喜んでいた。
娘も保育園の友だちと同じクラスでホッとしていた。

たまらなく 愛おしい
毎日を楽しんでほしいな。
親としては、そう願うばかりだ。
学校が楽しい、ってのが理想だけど。
辛いことがあっても、ホッとできる場所があると良いよね。
こんぺいとう、もそのひとつだと思って
これからも続けようと思う。
僕が小学生だった頃は、なんだか気持ちが落ち着かない時
よく図書室に行ったっけ。
学校の中だけど、学校とは違う、そんな場所だった。
大人になった今は、よくあの場所へ行くんだ。
景色がひらけた、風を感じるあの場所。

多摩川の流れはいつだって優しい。
また行きたいな。
コーヒーを淹れる道具をバッグに詰め込んで。
いいなと思ったら応援しよう!
美味しいコーヒー焙煎のため
かわいい豆っ子たちへの投資に
使わせていただきます!
