【2026 F1日本GP観戦記】カメラマンエリアで切り取った熱狂と、鈴鹿が直面する「キャパオーバー」
2026年のF1日本グランプリ。今年も聖地・鈴鹿サーキットへ行ってきました。 モータースポーツを愛する一人として、そして一台のカメラを携えたフォトグラファーとして、金曜から3日間、全身でその空気を吸い込んできました。
今回の観戦は、楽しさと共に「これからの鈴鹿」を考えさせられる、非常に重いテーマが残るものとなりました。
今回の相棒:α7CR + TAMRON 150-500mm (A057)
今回の撮影機材は、機動力と描写力を両立させるためにこのセットを選びました。
ボディ: Sony α7CR
レンズ: TAMRON 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)
鈴鹿までの移動、サーキット内の移動、と非常に歩く距離が長いため、この軽量な組み合わせは大きな武器になります。
500mmという超望遠を確保しつつ、α7CRの高画素を活かしたクロップ耐性があれば、どのエリアからでも狙い通りの構図でマシンを切り取ることができます。
フォトグラファーの特等席「カメラマンエリア」での金曜日
私は毎年、迷わず「カメラマンエリアチケット」を購入しています。 少し値は張りますが、それに見合うだけの価値がここにはあります。
撮影に最適な視界: 視界を遮るものがなく、マシンの挙動をダイレクトに追える。
自由なフットワーク: 座席が固定されていないため、光の向きや角度に合わせて自由に移動できる。
観戦の満足度: サーキットビジョンが良く見え、立ち上がっての観戦もOK。撮影抜きにしても、レースを深く楽しみたい人には最高の選択肢です。
今回は金曜日のFP1・FP2に全ての撮影を集中させ、土日以降は純粋な「観戦」に徹しました。
【D5席:逆バンク】





【D1席:2コーナー〜S字】



変わりゆくレギュレーションと「ドライビング」の行方
これまで鈴鹿は、世界中のドライバーから「世界一チャレンジングなサーキット」と絶賛されてきました。しかし、今年のレギュレーション変更の影響か、ドライバーたちから不満の声が続出しているのは非常に残念でした。
決勝レースでも多くのオーバーテイクが見られましたが、その多くは純粋なドライビングの競い合いというより、「バッテリーマネジメントの結果」に見えてしまいました。「モータースポーツ、モーターレーシングの本質とは何なのか?」 最新のテクノロジーが、ドライバーの技術を凌駕しすぎてはいないか。改めてそんなことを考えさせられました。
歓喜の裏側にある「大混乱」とマナーの低下
今年の鈴鹿は、円安によるインバウンド効果もあり、観客数が凄まじいことになっていました。昨年より10〜25%ほど増加していたようです。

盛況なのは喜ばしいことですが、現地はまさにキャパオーバーの状態でした。残念ながらマナーの低下も顕著に感じました。
平気で横入りをする人。
通路の流れを完全に堰き止めてしまう人。
立ち入り禁止エリアに侵入する人。
スタッフの方々も懸命に動いておられましたが、人手不足なのか、全てをコントロールしきれていない印象を受けました。インバウンドが進むと、日本の観光地はどこもこうなってしまうのでしょうか。
限界を迎えたアクセスとホスピタリティ
深刻だったのは、サーキットへのアクセスです。
最寄駅のパンク: 鈴鹿サーキット稲生駅は開催前からキャパオーバーを懸念して「使わないように」とSNSで呼びかける異例の事態。
シャトルバスの絶望: 白子駅のシャトルバス待ちは60分から最大150分。「駅まで80分歩いた方が早い」というアナウンスが流れるほどでした。
根っからのレース好きなら「毎年のこと」と笑い飛ばせるかもしれません。しかし、新しくファンになって初めて訪れた方が、来年もまた来たいと思える環境だったかと言えば、疑問が残ります。
鈴鹿への提言、そして総評
レース後のアンケートにも正直に回答しましたが、今、鈴鹿サーキットや三重県・鈴鹿市にはアプローチの転換が求められていると感じます。
「数」を追うのも重要ですが、訪れた観客の満足度向上(観客数を絞ってでもホスピタリティを確保する等)を強く意識してほしいと思います。
大阪などの日本国内だけでなく、他のアジア諸国も虎視眈々とF1誘致を狙っています。
ドライバーからも、ファンからも「世界一」と言われ続ける場所であってほしいからこそ、今の状況には危機感を抱かざるを得ません。
今回の観戦総評
撮影の楽しさ:100点(カメラマンエリアは最高です)
レース観戦:80点(バッテリーマネジメント以外でのオーバーテイクがあれば最高)
アクセス・ホスピタリティ:40点(もはや限界点)
総合:70点
撮影は楽しく、マシンは美しかった。けれど、課題も山積み。 来年は、より「心地よい熱狂」の中でシャッターを切れることを切に願っています。
