Zoom・Teams インフォーマルでいこう: オンラインでつながるからこそ、ローカルさを大切に
リモートワークと孤独感
自宅におけるリモートワークは個々人にとって孤独感をもちやすいという面があります。それゆえ思いやりの文化を尊重し、ZoomやTeams での井戸端会議のようなインフォーマルな社交を設けることが重要です。本記事ではその点についてちょっと書きます。
先日、以下の記事を書きました。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界各国で外出禁止、自粛の要請、都市封鎖(ロックダウン)が行われました(4月現在)。そのような行動を抑制されている中でも、音楽は、我々を結びつけてくれて孤独ではないということを教えてくれています。孤独ではないと感じることはとても大事です。現在、外出の抑制、自宅での隔離等により、多くの企業において社員のリモートワークが施行されています。その中でも孤独に対して、どれだけ配慮できるか。思いやることができるかはポイントになってきます。
リモートワークをやって見えてきた課題
リモートワークでも様々な業務がきちんと回るためには、そもそも拠点の分散を前提としたプロセスや、各チームへの責任分担の明確化、個々人一人ひとりへの業務の生産性を高めるための権限移譲、等など大事な点がいくつもあります。また、機密情報をリモートワークで扱うためのセキュリティポリシーやテクノロジー的な手当てが必要ですし、VPNを用いたケースで、VPNが全社員のリモートワーク移行時のアクセス負荷に耐えられるか等の考慮点もあります。
単に、ネットワークでつながっている現代だからリモートワークを全社規模で効果的に展開できるかというとやはりそうではなく、組織、プロセス、テクノロジーを含めたアプローチが求められます。それら点を包括的にどう取り組むべきかについてはまた別途の記事として書いていこうと思ってますが、とはいえ、そのような組織・システム論から離れてリモートワークを実際にやってみた際の個々人の観点から眺めた場合に、様々なよい気づきもありますし、課題もあります。
リモートワークは通勤という制約から解放されるため、時間が節約される、家族との時間も増えるというメリットがよく喧伝されます。実際にその便益を実感できることも少なくないわけですが、働いている時間・空間とプライベートの時間・空間の境界が曖昧となるという特徴ゆえに、気をつけないと心身のの調子を狂わせてしまうこともあります。
例えば、頑張ろうと思ったら延々と働いてしまうことができるケースがあります。Zoom、Teams での打ち合わせを始めると、朝から晩まで効率的に打ち合わせで埋め尽くしてしまうこともでき、気づくと休憩時間をほとんどとらないで、運動もしないで、一日を過ごし、一週間を過ごしてしまうことになります。疲労も溜まりやすいです。
逆に、居住環境や現在の学校閉鎖の影響で小中高の休校と重なっている方の場合、仕事と家庭の区分けがうまくいかずに、カオスな状況に陥らざるを得なくなったりします。仕事が忙しい時に限って子供は泣いたり、遊ぼうよと言ったり、ボールを投げて騒音を立てたり、自分のケースですが3歳の息子が「パパとワークしたい!」とテレビ会議に映ろうとあの手この手で侵入してきたり。ペットがいる方もまた度重なる乱入と奮闘することもあるかと思います。
このどちらの課題においても共通しているのが、この大変さを上司や同僚と共有するのが意外と難しいというコミュニケーション上のポイントです。リモートワークはネットワーク的につながっていますが、もちろん物理的には分断していて、何気なく共有できた空気や雰囲気、それがあるからこそ言えた雑談や冗談、そのようなものがなくなっているために、言語化するには向かない感情の機微やつらさを共有して発散するすべがないのです。
代わりにそれらの行き場のない感情を覆っていくのが寂しさです。リモートワークで集中したり、あるいは苦心しながら働いていき、その傍らに積もっていく気持ちの澱をふと見つめて不意に孤独を感じたりする。リモートーワークを常態化させていくにあたってこのような感情と我々は戦うことになります。
ローカルに心を配る思いやりの文化の醸成
そのため、組織としては、ネットワーキングにおける課題やまた課題によってもたらされるそのような気持ちに配慮する思いやりの文化を作ってメンバーを支えていくことが大切になってきます。
思いやりの文化を作るとは、言うなれば、参加者の一人ひとりの状況(それぞれのローカル)に心を配り、
「リモートワークをするのに不利な環境や負担がないかに気をかける」
「リモートワークで心身のバランスを崩していないか気をつける」
「気を配っているよということを一人ひとりにきっちりと伝える」
等を共通の価値観、共通の基本態度として組織が体現することです。
具体的な心がけとしては、例えば、育児・介護と両立させなければいけないメンバーがいる場合には、そのことを配慮して、時としてそのメンバーがオンラインの会議が離脱することを許容したり、部屋や状況を映したくないためカメラをオフにすることも認める、そもそもリモートでの会議ができない・レスポンスが遅くなるような時間帯があることを理解する、等があります。一人ひとりの事情があることを前提において、コミュニケーションは繰り返し伝えたり、簡潔で住むように心がけたり、「いいよ」「OK」という受容の言葉を多く使うようにしたり、ジェスチャーを大げさにとることで相手にきちんと聞いていることを伝えること等で思いやりの空気を作っていくことが肝要かと思います。
他にも、「オンラインでの会議を始める前にローカルの状況を気にかける」「ローカルでの新しい知らせやよい知らせがあるかを確認したりする」等で、場の雰囲気を和ませるという Tip もあります。(これは、自分の声のトーンや相手への声の伝わり方の確認にもなります。)参加者それぞれの住んでいる場所の天候に関心を持って天気はどうですかと聞いてみるとか、近所の様子はどうですかとか、今日の調子はどうですか、何かいい発見とかありましたかと聞いてみるとか、そのような些細なコミュニケーションの積み重ねが少しずつ思いやりの文化を育んでいきます。
インフォーマルな社交と、それぞれのローカルの共有
フォーマルなオンラインでの会議だけでは、何気なく共有できた空気や雰囲気がなくなってしまいます。そこで、インフォーマルな社交として、Zoom、Teams で懇談や井戸端会議の時間やチャンネルを持ってみたり、チャットツールで雑談専用のグループを作ったりして、何気ない息抜き話をする場を作るというのも大切なアクションです。
また最近広がりを見せていますが、Zoom や Teams でのオンラインでのランチ、ディナー、飲み会などを開催してコミュニケーションの機会を持つのも一体感の共有に効果的でしょう。
ここで、インフォーマルな社交に関して私自身の以前の体験からのTipsを。私は前職で、世界各国の研究所の運営を行っていましたが、日本の拠点でもメンバーの8割以上が外国籍というグローバライズされた組織でした。国籍の数は30をこえ、とても多彩なメンバーが働いていました。日本語が喋れないメンバーも多いため、意識的に懇談等のインフォーマルなコミュニケーション機会をもつことが重要でした。
そこでよく任意参加の食事会・飲み会をやっていました。居酒屋での飲み会ではなく、夕方に会議室に集まり、メンバーが料理やお酒(ワインや地酒)、釣った魚を持ち寄って行います。それによりそれぞれの出身地やバックグラウンドの話、各自のローカルの話が自然に盛り上がるようにしてました。
それだけだと雑談が得意なメンバーや、普段から喋っている人物同士が会話して終わってしまうのですが、加えてやっていたのは、Google Map を使った自分の馴染みのあるスポットの紹介です。本人が紹介したい場所の中で、例えば、自分の出身地や実家の周り、大学時代に住んだ場所や、前職で働いたことがある場所等、馴染みのあるところを、Google Map をプロジェクターに映して観光案内のように紹介していきます。
これが意外と面白くトークに花が咲きます。地図を眺めるだけでもそれぞれの場所の独自の特徴に気付かされます。また自分がよく知っている都市でも地図で眺めると全然違った印象があります。それゆえ、それがきっかけとなり、自然と質問があがり、普段会話をしていない人達同士でもQ&Aが弾んだり、あ、この場所行ったことあるよ! 親戚が住んでる! 等予想外なつながりを発見したりします。更にGoogle Street Map で実際の町並みを映して概観を見ると更に驚きや気付きがあって楽しいです。研究所のとあるメンバーは出身地が北欧だったのですが、育った町の家々の壁や屋根が非常にカラフルな、おとぎ話のようなエリアでみんなの感嘆を誘いました。別のメンバーは大学時代のキャンパスを映し、普段はあまり話さない人だったのですが、事細かに、この建物にはこんな思い出がある、この自動販売機ではこんなことが、この木の下で彼女と出会った、等と解説をしてくれました。それを聞いた我々が、今度、みんなでそこへ行って一つ一つ確認しよう!と盛り上がったのは想像に難くないかなと思います。
メンバーたちのバックグラウンドを形成しているそれらローカルな情報に触れることで、今までの業務でのコミュニケーションの中だけでは見ることのなかった違った面を見ることができ、親近感が高まります。ZoomやTeams でのオンラインのランチや飲み会等の懇談会も、この Google Map を使ったなじみの場所紹介は使えるかと思います。そもそも参加者の方も様々な場所から接続してきていると思いますので、このような参加者のローカルな情報を大事にして取り上げていくと色々な感情が共有できるカルチャーの土台ができてくるでしょう。
●
コロナウイルスの脅威はまだ去っておらず、新しい様式での生活に我々は移行しています。また、今後も世界各国で外出禁止、自粛の要請、都市封鎖(ロックダウン)が行われる可能性は高く、多くの人々が今後も自宅で過ごし、リモートワークに従事していくことでしょう。リモートワークは組織のプロセスを見直し、デジタル化を推し進める機会として前向きに評価できることもありますが、それは個々人へのエンパワーメントと配慮があってこそです。インフォーマルな社交も行いながら、思いやりの文化を作り、このような苦しいときでもつながりあい、支え合って難局を乗り越えていければと思います。
おまけ
リモートワークに関連する内容として、在宅からの Webinar や Webconference を意識した、プレゼンテーションの Tips 記事を Medium に書きました。英語の記事になりますが、こちらもご参考までに。
