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上書きされることのない記憶|#虹色創作部
夏休みになると
決まっていくのは
じいちゃんばあちゃん家
日本舞踊が得意だった
おばあちゃん
大事に丁寧に
着物を箪笥にしまう
時にはお琴を出してきて
弾けるように音色を奏でる
じゃがいものスープが
とても得意で狭い台所に
椅子を持ってきて
コトコトコトコト
手際よく仕上げる
電気屋の社員だった
おじいちゃん
いつもニコニコ
ご機嫌で洒落を言う
テレビの前の特等席から
一日中離れない
トイレに行くのが
散歩のひとつ
「今日も一日ありがとうございます」
この言葉をモットーに
あちこちに感謝を
撒き散らす
でもわたしはこの家に
窮屈さを感じていた
母はいつも
二人の前で泣いていた
父の愚痴を言いながら
泣く母を
いつも二人が慰める
その光景は孫にとって
言葉にし難く
わたしの感情は
抑圧される
今はもうなき
じいちゃんばあちゃん家
蝉の抜け殻
庭の向日葵
もう二度と
行くことのないあの家
もう二度と
記憶が上書きされることはない
今日は虹くりっぷさんの企画に初参加です。
創作の場がまたひとつ増えたこと、嬉しく思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
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