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夏休み企画、裁判の傍聴へ行く

職場の同期と「何か新しいことをしよう」ということで、夏季の午後休暇を使って裁判の傍聴へ行った。私もかねてから行ってみたいと思っていたし、同期もそう思っていたそうだ。

同期と腹いっぱいインドカレーを食べてから、大阪地裁のある北浜に向かう。北浜という駅は知っていたが、北浜で降りるのは初めてだ。中之島の川を見ながら10分弱歩くと大阪地裁は現れた。もちろん、善良真っ当に生きてきたため、大阪地裁に来るのも初めてだ。大阪地裁は仰々しくて独特の外観をしている。

建物内に入ると空港みたいな手荷物検査場に少しドキッとする。ここを通らないと中に入れない。危険物は何も持っていないが、ドキドキしながらなんとか通過する。その日に行われている裁判はすべて傍聴でき、その日の裁判の一覧が載ったファイルが置かれているので、それで内容と時間と場所を確認して、時間までにそこに行くというスタイルだ。

まずは売店ファミリーマートに行く。店舗は狭いのにお菓子コーナーが広めだったのは印象的だった。裁判官や法曹関係の人はお菓子を多く欲するのだろうか。次にめちゃくちゃ小さな書店に行った。当たり前だが法に関する書籍ばかり売っていた。雰囲気は大学の生協の書籍売り場みたいな感じだった。

【住居侵入と強盗致傷の裁判員裁判】

そうこうしていると時間になったので、傍聴する法廷に向かう。まず傍聴する事件は「住居侵入と強盗致傷」の裁判員裁判の判決だった。法廷前に着くとすでに30人くらい並んでいた。緊張感が漂う。予定時間の5分くらい前になると皆がゾロゾロと傍聴席に入っていた。訳もわからずそれに続く。

中に入ると被告人や弁護団、検察がスタンバイしていた。黒い法服を着た女性が何やら慌ただしそう傍聴席のスタッフに指示を出している。「この女性がこの裁判を担当する人なのかな」と私は思った。傍聴席に人が入り終えると、これでもかというくらい緊張感に満ちた静寂が訪れる。先ほどの法服を来た女性も、傍聴席の人も、検察側も皆がじっと前を見つめている。その中で被告側と弁護団たちはヒソヒソと何かを時折打合せしていた。

その時、法廷の上段左奥から法服を着た男性たちと私服の人たちがゾロゾロと入って来た。その瞬間、法廷内の人たちが一気に立ち上がる。私と同期もコンマ数秒の遅れをとりながらそれに続いて起立する。なるほど、この後に入って来た人たちが裁判官と裁判員の人たちなのだ。そして、裁判官が入って来た時は起立するのだ。先ほどの法服を着た女性は書記?のような感じだろう。

裁判官の指示で被告人は法廷中央の椅子に案内される。どうやら二人組のようで、20代前半〜半ばとみられるスーツを着た被告人二人が椅子に着席した。裁判官は二人の名前などを確認した後、「主文〜」という決まり文句から被告人Aに懲役4年、Bに懲役3年という実刑判決を下した。その後で、いつどこでどういう犯行を行なったか、AとBの役割の違いや今後の支援者に期待できることなどを鑑みての判決であることが裁判官から述べられた。ざっくり言うと「二人組は民家に押し入って催涙スプレーをまいて強盗しようとしたが、何も盗れなかった」という感じのようだ。判決の中では「指示役」というキーワードも出ていたので、闇バイトなのかもしれない。

最後に裁判官から控訴するならば14日以内に申し出てくださいという案内があり、10分足らずで裁判は終了した。傍聴席ではすぐに出て行く人もいれば、残って様子を見ている人もいた。傍聴席の最前列にいた被告人の家族は泣いていた。被告人の一人は家族に近づいて言葉を交わした後、ずっと家族に手を振りながら裏に消えていった。皆が慌ただしく帰る準備や会話をしている中、判決を下した裁判官だけはずっと法廷全体を見ていた。この時、裁判官は何を思っていたのだろうか。


【覚醒剤の使用・所持】

次に「覚醒剤の所持・使用」の裁判も見にいった。こちらは傍聴している人も10人くらいで法廷も小さめだった。さっきの裁判の傍聴をしていた人もいた。検察も一人で、被告人と弁護士がそれぞれ一人ずつ、裁判官も一人だった。やはり裁判員裁判は注目度が高いということなのだろうか。

被告人は大阪で覚醒剤の所持と使用をしていたということで、検察側がその情報を述べて、証拠の書類一式を提出していた。ここから裁判所がわで証拠を確認して8月下旬か9月ごろに判決?になるという打合せがなされていた。けっこう時間がかかるんだなと思った。こちらも10分程度で終了。


【自分について】

個人的な話になるが、昔は法律・法学・法曹にまったく興味がなかった。ずっと「法律なんてしょせん人間が考えだしたルールの集合体であって、それを自分たちであれこれ解釈したり、議論するなんてつまらない」と強く思っていた。特に高校生〜大学生〜20代前半の時に。なので、大学選びでも法学部は絶対に選ばなかったし、法学部の奴らは何をやっているだろうと思っていた。

しかし、人間の興味、関心、趣向とは不思議なもので変化することが十分にありうる。苦手だったビールが飲めるようになったり、苦いだけだったゴーヤが好きになったりするように、私も徐々に法律に関心が出て来た。それにはおそらく色んな要因があって、仕事で法律の名前が出て来たり、友人が法科大学院に行ったり、裁判官になったり、はたまた国民審査で信任・不信任を迫られたりしたからだろう。

大人になるにつれて実感するのは、当たり前の話だが、世の中のたいていのことは法律によって決められている。私が日頃から恐怖感を感じたり、不利益を被らないのは法律によって守られているからである。また、仕事においてもプライベートにおいても法律に詳しい方が何かと有利になる。絶対的に個人で善悪の判断をせずとも、法律に基づいた判断をすれば、少なくともその法律を受け入れている社会においては、ルール違反にはならない。そうわかった時に、法律の重要性に気づく。また、条文だけではまかなえない事象に対して、最高裁の判決や解釈を参考にするという意味が身に染みてわかる。

大学生の時に友人に誘われて履修した「法社会学」と、楽に単位が取れると履修した「会社法」と「日本国憲法」、もっとちゃんと勉強しとけばよかったなぁ。

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