プリンに「す」が入る失敗の9割はコレが原因|製菓の科学で解く『卵の凝固温度』の落とし穴
自信満々で作ったプリン。スプーンを入れた瞬間、「あれ?」となったことはありませんか。
表面はきれいなのに、中がスカスカの穴だらけ(す)
舌に残る、あのザラッとしたボソボソ食感
お店のプリンみたいなとろける口当たりにならない
「レシピ通りに作ったのに、なんで?」——この悔しさ、痛いほどわかります。私も駆け出しの頃、厨房で何十個とダメにしました。
でも安心してください。プリンに「す」が入る失敗、その原因の9割は、実はたった一つの現象に集約されます。それが今日の主役、**卵タンパクの「オーバーヒート(加熱しすぎ)」**です。
「す」の正体は、卵が沸騰した跡だった
まず結論からお伝えします。
プリンの「す」は、内部の水分が沸騰して気泡になり、固まった卵に閉じ込められた「穴」です。
なめらかに固めるはずのプリンが、実は内部でグツグツ沸いてしまっている。これが失敗の核心です。
なぜこんなことが起きるのか。カギは卵の凝固温度にあります。
卵は「58〜80℃」でゆっくり固まる
卵のタンパク質は、一気に固まるわけではありません。
58℃前後:卵白のタンパク質が動き始める
65〜70℃:全卵がやわらかくとろりと固まる(=プリンの理想ゾーン)
80℃以上:しっかり・かたく凝固。ここを超えると縮んで水分を吐き出す
プリンがいちばんなめらかになるのは、この65〜80℃のあいだで“ゆっくり”固めるときです。
ところが、加熱が強すぎると生地の温度が一気に上がり、水分が100℃で沸騰してしまう。固まりかけた卵の中で気泡がボコッと生まれ、それがそのまま穴=「す」として残るのです。
つまり「す」とは、卵の凝固より先に、水分の沸騰が起きてしまった証拠。ボソボソ食感も、80℃を超えて卵が縮み、水を吐き出した「離水」が原因です。
だから「沸騰させない蒸し焼き」なんです
レシピによく出てくる「湯せん」や「弱火の蒸し焼き」。あれは面倒くさがらせるための儀式ではありません。
生地の温度を、沸騰する100℃まで上げず、65〜80℃の“おいしいゾーン”でキープするための温度管理装置なんです。
ここまでが結論。原因さえわかれば、直し方は驚くほどシンプルです。ここから先は、実際にお店の厨房でやっている「す」を消す具体策を、温度の数字ごと丁寧にお話しします。
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