アームストロングの近未来予言概論2026-2032年。日本崩壊と再生の道標
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※本稿は、マーティン・アームストロング氏の理論を紹介・解説するものであり、投資助言やどうするべきかのマニュアルを目的としたものではない。実際の投資やその他の判断は、各自の責任において行っていただきたい。
はじめに
私たちは今、数百年に一度の巨大な転換点の入り口に立っている可能性がある。
このnoteをご覧の方々は、マーティン・アームストロング氏をご存知だろう。彼は1980年代から独自の経済予測モデル「ソクラテス」を開発し、1987年のブラックマンデー、1989年の日本バブル崩壊、1998年のロシア金融危機、2008年のリーマンショックなど、数々の経済的転換点を事前に予測してきたとされる人物である。
彼の理論の核心にあるのは、経済と政治には数学的に計算可能な「サイクル」が存在するという、私を含む80年周期説・240年周期説の提唱者などと近い考え方だ。そして彼のモデルによれば、2026年から2032年にかけて、私たちは文明レベルでの大転換を経験することになる。
本稿では、アームストロング氏の理論体系を整理し、彼が予測する今後数年間のシナリオ、そしてそれに対する具体的な備えについて詳述する。
第1章:アームストロング理論の基礎——サイクルという世界観
8.6年サイクルと経済信頼モデル(ECM)
アームストロング氏の理論の土台となるのが「経済信頼モデル(Economic Confidence Model, ECM)」である。これは約8.6年(正確には3,141日、つまりπ×1,000日)を一つの波として、経済における信頼の移動を追跡するモデルだ。
このサイクルは「公的セクター(パブリック)」と「私的セクター(プライベート)」の間で、資本と信頼がどちらに向かっているかを示す。公的セクターとは政府、中央銀行、国債といった「お上」の領域であり、私的セクターとは民間企業、実物資産、個人の創造性といった領域を指す。
歴史を振り返ると、人々が政府を信頼する時代には国債が買われ、公共事業が拡大し、規制が強化される。逆に政府への信頼が崩壊する時代には、資本は実物資産や民間投資へと逃避する。この振り子運動が8.6年周期で繰り返されるというのがECMの基本的な考え方である。
複数サイクルの重層構造
しかし、8.6年サイクルは最も短い波に過ぎない。アームストロング氏のモデルでは、複数のサイクルが入れ子構造になっている。
・8.6年サイクル:ビジネスサイクルの基本単位
・51.6年サイクル(8.6年×6):一つの経済パラダイムの寿命
・309.6年サイクル(51.6年×6):文明・政治体制の大波
そして彼によれば、2032年はこれらの複数のサイクルが同時に終点を迎える極めて稀な年となる。8.6年サイクル、51.6年サイクル、そして309.6年サイクルが一点に収束する。彼はこれを「Grand Vortex(巨大な渦)」と呼び、既存の政治・経済システムが完全にリセットされる歴史的転換点だと位置づけている。
224年周期:革命のサイクル
もう一つ重要なのが「224年周期の政治・革命サイクル」である。
1700年代後半、アメリカ独立戦争(1776年)やフランス革命(1789年)といった大規模な政治変革が相次いだ。アームストロング氏によれば、それから約224年後、つまり2020年代後半から2030年代にかけて、同様の革命的エネルギーが世界を覆うことになる。
現代の民主主義や共和制といった統治形態は、この224年サイクルの終わりとともに機能不全に陥り、新しい形の統治へと移行せざるを得なくなる。それが彼の予測である。
第2章:なぜ欧州が先に崩壊するのか
日本より欧州が危険な理由
客観的なデータを見れば、日本の債務対GDP比は世界最悪水準であり、「日本が最初に破綻するのでは」と考える人も多いだろう。しかしアームストロング氏は、崩壊は日本ではなく欧州から始まると断言している。その理由は構造的な欠陥の差にある。
第一に、統一された債券市場の欠如である。
ユーロ圏は通貨を統一しながら、国債(借金)はバラバラのままだ。ドイツ、フランス、イタリアがそれぞれ個別に国債を発行している。ユーロ圏全体を支える「ユーロ共同債」が存在しないため、市場がイタリアを危険と判断して売り浴びせると、イタリアの金利だけが急騰する。ECB(欧州中央銀行)は特定の国だけを救うことが政治的に難しく、危機対応が後手に回らざるを得ない。
一方、日本には「日本国債(JGB)」という単一の市場しかない。日本銀行という「唯一の買い手」が政府と実質的に一体となって動けるため、他国からの政治的干渉を受けずに金利をコントロールし続けることが(実際できるかどうかはともかく)理論上は可能だ。
第二に、「最後の貸し手」の不在である。
欧州の銀行は自国の国債を大量に保有している。国債の価値が下がると銀行の経営が悪化し、銀行を救うために政府が借金を増やすとさらに国債の価値が下がる——この「死のループ(Doom Loop)」に欧州は陥りやすい構造を持っている。
ECBは「物価の安定」を唯一の使命としており、特定の国の借金を肩代わりし続けることに対して、ドイツなどの北欧諸国から常に法的・政治的な猛反対を受ける。この「政治的なバラバラ感」が、危機に際して致命傷になるとアームストロング氏は見ている。
第三に、誰が借金を持っているかの差である。
日本の国債は約9割以上を日本銀行や国内の金融機関、個人といった「身内」が保有している。日本人が「円」を信じている限り、外部からの攻撃で突然デフォルトに追い込まれるリスクは低い。
対して欧州の国債は国際的な投資家によって広く保有されている。彼らは「危ない」と判断すれば一瞬で資本を国外へ逃がす。この「キャピタル・フライト(資本逃避)」のスピードが、欧州では圧倒的に速いのである。
日本の「延命」とその終わり
アームストロング氏の視点では、日本は欧州よりも「延命」し、沈没の順番が後回しになる。しかしそれは日本が安全だという意味ではなく、「沈没する順番が最後の方だ」ということに過ぎない。
2026年に欧州で崩壊が始まると、逃げ出した資本の一部は「消去法的な避難先」として日本に流れ込む。これにより日本は一時的な円高や株高という「偽りの安定」を経験する。しかし、それは「死の直前の最後の輝き」であり、日銀による延命の魔法が解ける時、抑え込まれていたエネルギーが一気に噴出し、衝撃は「凝縮」された形で日本を襲うことになる。
第3章:2026年——パニック・サイクルの幕開け
2026年5月〜7月:最初の衝撃
アームストロング氏のモデルにおいて、2026年は「パニック・サイクル」の年である。特に2026年5月下旬から7月2日(2026.5)にかけてが、最初の巨大なターニングポイントとなる。
この時期に予測されている事象は大きく分けて三つある。
第一に、欧州発のソブリン債危機である。
欧州の国債市場で売りが止まらなくなるパニックが発生する。利回りが垂直に急騰し、ECBがそれを抑え込む能力を失ったことが市場に露呈する。ユーロという通貨制度そのものへの不信が頂点に達し、欧州から莫大な資本が逃げ出す。この資本の大移動が、金・銀、そしてドルや円への急激な資金流入を引き起こし、世界中の市場を乱高下させる。
第二に、戦争サイクルの「熱」の急上昇である。
アームストロング氏は2026年5月を「戦争のエネルギー」が物理的な衝突へと変換されやすい時期だと警告している。台湾海峡、南シナ海、あるいは朝鮮半島での緊張が、外交的非難のレベルを超え、軍事的な挑発や小規模な衝突へとエスカレートする可能性がある。
第三に、資本規制の開始である。
欧州を皮切りに、資本の国外逃避を防ぐための「資本規制(Capital Controls)」が検討、あるいは一部実施される。海外送金の禁止、銀行窓口での現金引き出し制限、デジタル通貨(CBDC)への強制移行の準備加速などが、パニックを鎮めるという名目で行われる。
人々は「もう逃げられなくなる」と直感し、規制が始まる直前に殺到する。これが5月下旬から6月にかけての金・銀価格の垂直上昇の直接的なトリガーとなる。
2026年の日本:偽りの安寧
2026年の日本にとって、世界的なパニックは「対岸の火事」のように見えるかもしれない。欧州から逃げ出した資本が流入し、円や日本株は「相対的にマシ」に見える。しかしこれは「タイタニック号の甲板で、まだ浸水していない場所へ移動しているだけ」である。
この時期、日本で注視すべきは以下の三点だ。
・金・銀の国内価格:円建てでの最高値更新が続く。政府による貴金属取引の監視や課税強化の動きに注意が必要となる。
・税制の変更:徴税強化(走行距離課税や新たな環境税など)が強行される。これは政府の「末期症状」のサインである。
・エネルギー自給:供給網の混乱に備え、家庭単位での「エネルギーと食料の自立」が必須の防衛策となる。
・またアームストロング氏によれば、この一時的なが円高が円から逃げ出す最後のチャンスになる可能性があるという。
第4章:2027年——戦争サイクルのピーク
東アジアの火薬庫
2027年は世界的な「戦争サイクル(War Cycle)」の極大期である。2026年まで「消去法的な避難先」だった日本は、この年、逃げ場のない「当事者」へと引きずり込まれる可能性がある。
アームストロング氏は、2027年(特にその半ば)を台湾情勢や朝鮮半島情勢が「臨界点」に達する時期と予測している(台湾有事の発生?)。日本が物理的に紛争に巻き込まれる、あるいは後方支援を強制されるフェーズに入る。戦時体制を名目に、政府による私権の制限が強化される——生活物資の統制、移動の制限、デジタル監視の強化などが含まれる。
スリングショットの発動
2026年に日本市場を支えていた「海外からの避難資金」が、戦争リスクの激化とともに一斉に逃げ出す。「有事の円買い」は完全に過去のものとなり(すでにそうなっているように見えるが)、「有事の円売り」が常態化する。
日銀は金利を上げて円を守ろうとするが、それは同時に天文学的な政府債務の利払いを急増させ、国家財政の「死」を早めることになる。これまで無理やり抑え込んでいた金利の「蓋」が外れ、長期金利は数%ではなく、垂直に近い角度で跳ね上がる。
輸入依存度の高い日本にとって、戦争サイクルは「兵器」以上に「供給網(サプライチェーン)の切断」が致命傷となる。シーレーン(海上交通路)が紛争で脅かされることで、食料価格が数倍に跳ね上がる事態が現実味を帯びてくる。
第5章:2028年——革命の年
224年周期の発動
2028年は、アームストロング氏が提唱する「224年周期の政治・革命サイクル」が歴史的なピークを迎える年である。この年、社会のエネルギーは「国vs国(戦争)」から「国民vs政府(内乱・革命)」へと劇的にシフトする。
2026年からの混乱、2027年の戦争を経て、各国政府は膨大な戦費と債務を抱え、もはや国民を養う能力を失う。年金、健康保険、生活保護といった「政府による保障」が物理的に維持不可能になる。借金を返すためにさらなる増税を強行する政府に対し、世界中の主要都市で「納税拒否」や「政府機関への実力行使」が多発する。
日銀の敗北
日本においては、この年に日銀のイールドカーブ・コントロールが物理的に崩壊する。他国の金利がインフレで二桁に達する中、日銀がついに国債の買い支えを断念する。これまで無理やり抑え込んでいた金利の「蓋」が外れ、長期金利は垂直に近い角度で跳ね上がる。
金利急騰と同時に円の価値が急落し、輸入品の価格が1年で数倍になるような「凝縮されたインフレ」が日本を襲う。それまで「円」を貯め込んできた高齢者層の富が、文字通り一晩で半分以下になるような衝撃が走る。
年金支給額の大幅カット、あるいは支給停止が現実味を帯び、健康保険制度が機能不全に陥る。これまで政府に従順だった日本国民が、ついに「生存の危機」を感じて街に出る。戦後最大規模の反政府デモや納税拒否運動が発生する。
CBDCとの戦い
政府は生き残りをかけ、2028年頃までに中央銀行デジタル通貨(CBDC)を強制し、個人の資産を完全に把握しようとする。全ての取引を政府に監視されることへの拒絶反応から、政府の目が届かない「私的セクター」——現物の金・銀、匿名性の高い手段、物々交換——による巨大な地下経済(パラレル・エコノミー)が形成される。
政府の配給に依存する層と、自らのスキルと現物資産で生き抜く層に、社会が完全に分断される。
第6章:2029年——物理的供給の崩壊
お金があってもモノが買えない
2028年の政治的・財政的革命を経て、2029年は「物理的な生存」という最も過酷な現実に直面する年となる。この年は世界的に「供給ショック(Supply Shock)」の極大期であり、資源の乏しい日本にとっては「文明維持の限界点」として現れる。
日本は食料自給率(カロリーベース)が低く、その多くを輸入に頼っている。アームストロング氏が警告する「グランド・ソーラー・ミニマム(GSM)」——太陽活動の低下がもたらす寒冷化——による世界的な不作と、戦争サイクルによるシーレーンの寸断が重なる。
通貨「円」に購買力がないため、国際市場で買い負け、エネルギーや穀物を積んだ船が日本に寄らなくなる。「お金があっても食料が市場に並ばない」という事態が全国レベルで常態化する。
インフラの腐朽
政府が機能停止しているため、維持費の莫大な都市インフラが物理的に壊れ始める。電気、ガス、水道の供給が極めて不安定になり、特に電力不足は深刻となる。夜間の消灯や製造業の停止を余儀なくされる「暗い島国」となるリスクがある。
物理的な生存が困難になった大都市から、食料と燃料がある「地方(サンクチュアリ)」への人口移動が本格化する。これは「中央集権的な都市文明の解体」の始まりである。
銀の「通貨化」
政府発行の紙幣が信用を失い、2029年には実物資産が直接的な交換手段となる。小口の銀貨や、特定の地域で信頼されている「現物裏付けのトークン」などが、日々の食料調達において「円」以上に価値を持つようになる。ちなみにアームストロング氏はBTCの存在も完全否定はしていないようだが、金銀に比べれば格落ちする、と考えているらしい。
スキルや労働、あるいは現物の備蓄を交換し合う、政府の手が届かない「地下経済」が日本の実質的な経済基盤となる。
第7章:2030年〜2031年——公的統治の死
国債市場の消滅
2030年、多くの国際機関が「アジェンダ2030」などの目標期限に設定している年だが、アームストロング氏の予測では、それらの中央集権的な計画が「資金不足と民衆の拒絶」によって完全に破綻する。
2026年から始まったソブリン債危機がついに終着駅に到達する。政府がいくら高い金利を提示しても、もはや誰も国債を買わなくなる。中央銀行による買い支えも、ハイパーインフレを加速させるだけとなり機能しなくなる。
欧州から始まったデフォルトの波が、米国、そして日本を飲み込む。これは単なる「支払いの延期」ではなく、「戦後から続いた債務ベースの通貨システム全体の死」を意味する。
新・幕藩体制
中央政府が地方を支える資金を失うため、国家という単位が維持できなくなる。霞が関の命令が地方に届かなくなり、各地方自治体や地域連合が、自らの食料、エネルギー、治安を独自に管理し始める。
日本は「東京一極集中の官僚国家」から、「令和の幕藩体制」とも呼べる分散型社会へと移行を始める。巨大な帝国が崩壊し、より小さな、顔の見える範囲での統治へと社会が再編される「過渡期の混乱」がピークに達する。
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2031年:ゼロ地点
2031年は、1945年から続いてきた「中央集権・官僚主導・対米追従」という日本の古いOSが、物理的・財政的・精神的に完全に機能を停止する年となる。
政府の財政が完全に破綻しているため、公務員や警察、自衛隊への給与支払いが滞り、組織としての統制が失われる。年金、医療保険、教育といった公的サービスは名目上のみ存在し、実態としては完全な私的サービスへと移行する。
しかし同時に、2026年頃から準備を進めてきた人々による「新しい日本」が形を成し始める。中央政府の通貨に代わり、現物の金・銀、あるいは地域ごとに発行される私的通貨が実質的な経済を回す主役となる。
第8章:2032年——Grand Vortex(巨大な渦)と新世界の誕生
サイクルの収束点
2032年、アームストロング氏のモデルにおいて複数の巨大なサイクルが一点に収束する。具体的には2032.95(12月13日〜15日頃)が、309.6年続く政治・文明サイクルの最終的なターニングポイントとなる。
8.6年サイクル、51.6年サイクル、309.6年サイクルが同時に終点を迎える。2026年から始まった債務崩壊と混乱のエネルギーがこの日、完全に「出し切られる」。古い負債、古い統治、古い通貨制度というすべてが焼き尽くされ、社会のシステムが物理的にリセットされる。
日本にとって、2032年は1989年末のバブル絶頂期(1989.95)からちょうど43年(8.6年×5サイクル)という重要な節目でもある。40年以上苦しんできた「失われた時代」が、この日をもって数学的に終了する。
新しい日本の姿
「巨大な渦」が過ぎ去った後に現れるのは、これまでとは正反対の「私的セクター」が主導する世界である。
霞が関の命令系統が消滅した跡地に、それぞれの地方(サンクチュアリ)が自立し、互いに協力し合う「緩やかな連邦制」に近い形が定着する。代表制民主主義が崩壊したことで、個々のコミュニティが自分たちの意思でルールを決める、より直接的で透明な統治が始まる。
借金(国債)を刷って経済を回す「虚構」が消え、日本は本来の強みである「職人芸(クラフトマンシップ)」と「技術革新」に回帰する。重税と規制という重荷が消えたことで、個人の起業家精神が爆発する。
アームストロング氏はこれを「黄金時代」の幕開けと呼ぶ。過去の重荷がリセットされたことで、次の240〜300年にわたる新しい成長の波がスタートするのである。
第9章:通貨・貴金属の変遷予測
決済手段の主役交代
アームストロング氏の理論では、貴金属価格の上昇は「価値の上昇」ではなく「通貨(ドルや円)の崩壊」を意味する。以下は彼のモデルに基づく通貨・貴金属の変遷予測である。
2026年
・主な決済手段:円・ドル(限界)
・金想定価格(1オンス):4,300〜6,500ドル
・銀想定価格(1オンス):55〜150ドル
2027年
・主な決済手段:ドル・実物資産
・金想定価格(1オンス):7,000〜9,000ドル
・銀想定価格(1オンス):200〜300ドル
2028年
・主な決済手段:銀・地域通貨
・金想定価格(1オンス):10,000〜15,000ドル
・銀想定価格(1オンス):450〜700ドル
2029年
・主な決済手段:現物・物々交換
・金想定価格(1オンス):20,000ドル以上
・銀想定価格(1オンス):1,000ドル以上
2030年〜2031年
・主な決済手段:物理資産
・スキル ・金想定価格:計測不能
・銀想定価格:計測不能
2032年
・主な決済手段:新制度の私的通貨
・金銀価格:新基準で再定義
「計測不能」とは、通貨価値が崩壊し、ドル建てでの価格表記が意味をなさなくなる状態を指す。
金銀比率の劇的変化
アームストロング氏は、パニックの最終段階では「金銀比率(Gold/Silver Ratio)」の劇的な縮小が起きると主張している。
平時において金銀比率は80対1程度(2026年初頭の段階では約60対1)だが、通貨制度が崩壊し、銀が「小銭(決済通貨)」としての需要を爆発させる混乱期には、歴史的に15対1前後まで縮小する。2028〜2029年には、金が数倍になるのに対し、銀が数十倍の伸びを見せる可能性がある。
第10章:サバイバル戦略——何をいつまでに準備すべきか
行動指針の年表
アームストロング氏の主張に基づく、具体的な準備のタイムラインを整理する。
2026年前半まで
・「公的システム」からの最終脱出。銀行預金や国債、円建て資産を最小限にし、私的資産へ移動させる
・現物の金・銀を確保する
・資本規制が始まる前に、資産を「持ち運び可能な形」に整える
2027年まで
・物理的防衛の完成。戦争サイクルのピークに備え、都市部の脆弱性から距離を置く ・「聖域(サンクチュアリ)」——自給自足が可能な土地、独立したエネルギー源——を確保する
2028年まで
・地下経済への参入準備。政府のデジxタル通貨(CBDC)に依存しない、私的な取引ネットワークを構築する
・物々交換のスキル、信頼できるコミュニティの構築
2029年まで
・自給自足体制の本格運用。外部からの供給が完全に途絶えることを前提に準備する
・1〜2年分の食料備蓄、種子、浄水器、医療キット
2030年〜2031年
・富の保存と静観。古いシステムが完全に解体されるのを待ち、政府の救済策には乗らない
2032年
・新世界への再投資。リセットされた世界で、新しいインフラや技術、土地へ資本を再投入する
銀の必要量
アームストロング氏は、銀の必要量について「何キログラム」という絶対的な数字ではなく、「資産に対する比率」と「混乱期の生活を維持するための期間」という視点から基準を示している。
◯資産全体に対する比率
・実物資産(貴金属)を全体の20〜30%程度 ・そのうち金が70〜80%、銀が20〜30%
◯生存期間から逆算する量
・最低でも1年〜2年分の「生活の潤滑油」としての銀を確保
・1ヶ月あたり5〜10オンス(155g〜311g)程度があれば、極めて有利に物資を調達できる
・合計120〜240オンス(約3.7kg〜7.5kg)程度の現物銀が目安。なおこれは家族4人分だそうで、独身者ならひとつき3オンス程度でも十分だという。
◯形状の重要性
・大きなインゴットよりも小口のコイン(1オンス貨やジャンクシルバー)を推奨
・混乱期には1kgの銀バーでパンを買おうとしても「お釣り」が出ない
・1オンス以下の小分けにされた形状が最も機動力を発揮する
銀が高騰しすぎた場合の対策
銀が1オンス数万円〜数十万円の価値を持つようになると、日常の些細な買い物にお釣りが出せなくなる。この「小銭不足問題」への対策として、以下が考えられる。
銅(ベースメタル)への格下げ
銀が高価になりすぎた時、市場は「銅」を選択する。日本の10円玉は銅が約95%含まれており、銀が決済に使えなくなるほどのハイパーインフレ下では、この「銅の重さ」が実質的な小銭として機能し始める。
10円玉(できれば昭和〜平成初期の銅含有が安定しているもの)を棒金単位で数万円分確保しておくことで、銀が高騰した後の「真の小銭」として活用できる。
地域コミュニティ通貨
信頼できる地域コミュニティ内において、現物裏付け型の「引換券」を発行する方法もある。「この紙は銀0.1g相当といつでも交換できる」という証明書であり、重い金属を持ち歩くリスクを避けつつ、銀よりもさらに細かい単位での決済を可能にする。
隠匿と分散
混乱期における最大の敵は、暴徒以上に「窮地に追い込まれた政府」である。政府は資金繰りに行き詰まると、歴史的に預金封鎖や貴金属の没収を繰り返してきた。
対政府防衛の原則
・銀行の貸金庫は利用しない(危機時に真っ先に封鎖される)
・資産を3〜5箇所に物理的に分散して隠匿する
・捕捉ラインを下回る小口の購入を繰り返し、「政府のリストに載らない」
対強盗・暴徒防衛
・「持っていないように見せる」(グレイマン戦略)
・備蓄や金銀を持っていることを、近隣住民や親戚にさえ教えない
・万が一の強盗に備え、「差し出すための少額の資産(デコイ)」を目立つ場所に置き、本命は別の場所に隠す
第11章:グランド・ソーラー・ミニマムと気候変動
「温暖化」ではなく「寒冷化」への警戒
アームストロング氏は、現在の「地球温暖化」という言説に対して極めて懐疑的であり、真の脅威は「急激な寒冷化」であると主張している。
太陽は約11年周期で活動を繰り返しているが、2030年代に太陽活動が著しく低下する「グランド・ソーラー・ミニマム(GSM)」が到来する可能性がある。一部の研究者は、太陽活動が現在の60%ほど低下し、17世紀のマウンダー極小期のような状態に入ると予測している。
農業への影響
GSMがもたらす最も深刻な影響は農業である。ロシア、カナダ、米国北部、中国北部などの「世界のパン籠」で、成長期が短縮される。晩霜や初雪による収穫不能が常態化するリスクがある。
平均気温がわずか1度下がるだけで、高緯度地域の農業は壊滅的な打撃を受ける。特に成長期の異常低温や晩霜は、収穫量を激減させ、食料価格の高騰を招く。
食料ナショナリズム
自国の食料確保のため、主要輸出国が輸出制限(禁輸)を頻発させる。食料自給率の低い日本のような国は、金があっても食料が買えない「物理的な遮断」に直面することになる。
結びに代えて
アームストロング氏の予測が完全に的中するかどうかは、誰にも分からない。しかし、彼の理論が指し示す方向性——政府債務の限界、通貨制度の脆弱性、地政学的リスクの高まり——は、すでに現実の兆候として現れ始めている。
2026年1月現在、欧州の国債市場は不安定化し、各国の政治は分断を深め、金価格は史上最高値圏で推移している。これらは偶然の一致かもしれないし、アームストロング氏が言う「パニック・サイクル」の前兆かもしれない。
確実に言えることは、「今まで通り」が永遠に続く保証はどこにもないということだ。戦後80年間、日本は「お上」を信頼し、円を貯め、政府の保障に依存してきた。しかし、もしその前提が崩れるならば、自らの手で「出口」を確保しておくことは、決して杞憂ではない。
アームストロング氏は言う。「自由とは、政府の許可なしに取引ができる能力のことである」と。
2032年の向こう側に光があるかどうかは分からない。しかし、そこへ辿り着くために、今から足元を固めておくことの価値は、確かに存在する。
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