見出し画像

【美術展2025#58】技 -WAZA- 人間国宝展@MOA美術館

会期:2025年6月13日(金)〜7月22日(火)

豊かな自然を背景に、高度な技術を惜しみなく注がれて発展してきた伝統工芸は、現在も私たちの日常生活をより豊かに彩ってくれます。なかでも人間国宝(重要無形文化財保持者)の作品は、伝統を踏まえた確かな技術と格調高い芸術性を有し、わが国の文化を牽引する存在です。本展では、伝統工芸において各分野を代表する人間国宝の方々を取り上げ、その作品を展観します。陶芸、染織、漆芸、竹工芸など、自然の素材を活かした魅力あふれる優品の数々を是非お楽しみください。

MOA美術館


昨年の光琳展ぶりのMOA美術館。
光琳展は「紅白梅図屏風」と「風神雷神図屏風」が39年ぶりに並ぶという貴重な機会だった。



今回は人間国宝展ということでやってきた。
MOA美術館へはいつも車で行くのでこちらから入場している。

ミース・ファン・デル・ローエ感
神殿感
重厚な門扉


メインエントランスドアは人間国宝の室瀬和美氏制作の漆塗りの扉。

赤と黒の強烈な色使いは、杉本博司氏の提案によるものだそう。

室瀬和美氏のサイン


杉本博司氏のベンチの向こうに熱海の海を望む。

初島へ向かう高速船


メインロビーには杉本氏の《海景》が掛けられているが、いつも思うのだがガラス部分の反射がきつすぎて作品が見づらいのよね。
無反射ガラスにするか、反射するものがないような場所に移動するかしたほうがいいと思う。

《海景》


唐招提寺や東大寺などの修復をしている奈良の瓦職人に発注したというタイル。
小さな窯で焼くので焼成された色味がそれぞれ微妙に異なり人の温もりを感じる。


人間国宝展と謳っておきながら上階は館所蔵のコレクション品が並ぶ。
展示されているものは上質な品が多いとはいえなんだか肩透かし感もあるっちゃある。

《釈迦三尊》
狩野芳崖
部分拡大



《蒔絵八角菓子器》1911
白山松哉
超絶技巧



諸々の掛け軸





不動の国宝部屋。

国宝《色絵藤花文茶壺》17世紀 
野々村仁清


なんだかんだ言ってもやはり良いものをたくさん持っている。


下階からようやく特別展が始まる。


漆芸の室瀬氏は前述の通りここMOA美術館のメインエントランスドアを手がけている。
他にも昨年夏にここで行われた「ポケモン×工芸展」にも出品していた名前も見受けられる。

が、今回展示室内は写真撮影不可

そして解説も説明もなくただ作家名のキャプションがあるだけだった。

実にもったいない。
せっかく日本の伝統工芸の最高峰の方々の作品を集めているのに。

作品はもちろんどれも素晴らしかったが、残念ながら美術史上のビッグネームほど集客力があるわけではないのだから、撮影可にして写真をSNSで拡散させたりしたほうが広報・集客的には良いと思うのだが。

技法的な部分でも、なんの解説もないと素人目には「すごいなあ」「綺麗だなあ」みたいな表面的な感想しか出てこないはず。
現代美術作品とは違うのだから手取り足取りの詳細な解説があっても良いのでは、と思った。
そもそもの「人間国宝」とは何ぞやというところから始めて、それぞれのジャンルや、そこで用いられている技法や技術の何がすごいのかをわかりやすくしっかりと解説したり、作家のストーリーを大々的に紹介したりしたほうが伝統工芸や地域への理解や学びが深まるはず。
特にここは熱海という観光地にある美術館なので、美術にそれほど造詣が深いわけでもない一見さんや外国人旅行者も多く訪れる。
そのような方々への日本の素晴らしい伝統工芸をアピールするせっかくの場にもなるのに、それも含めて実にもったいないなあというのが正直な感想だ。



以前撮影可だった室瀬和美氏の蒔絵螺鈿ハープ。

《西遊》2004
室瀬和美


能楽堂


今回、展覧会としては何だかもやもやが残る腑に落ちない印象だったが、出品されていた作品自体は素晴らしいものだった。

なお、MOA美術館はコレクションやロケーションだけでなく、名作椅子のコレクションも素晴らしいのだ。



【美術館の名作椅子】 ↓


【美術展2025】まとめマガジン ↓


いいなと思ったら応援しよう!

mata ありがとうございます。励みになります。

この記事が参加している募集