●美術館の名作椅子#23●ベネッセハウス ミュージアム
ベネッセハウス ミュージアム
設計:安藤 忠雄
開館:1992年
・A-Chair

デザイナー:安藤 忠雄
発表:1988年
メーカー:IXC
価格:¥363,000(2025年現在)
このミュージアムのみならず直島全域における最重要建築家である安藤忠雄(Ando)の「A」を冠した椅子。
元々は《水の教会》のためにデザインされた。
デザインソースはもちろんマッキントッシュの《ヒルハウス》だが、そこから更にストイックに要素が削られた佇まいは安藤建築そのもの。
ちなみに磯崎新も《ヒルハウス》をオマージュした椅子をデザインしているが、《ヒルハウス》には建築家の琴線に響くエッセンスが詰まっているに違いない。
温故知新、名作の遺伝子は連鎖していく。
・Cab_C 413 Chair

デザイナー:マリオ・ベリーニ
発表:1977年(限定モデルは2012年)
メーカー:Cassina
価格:¥506,000(※通常モデル)(2025年現在)
アームなしの412とともにMoMAにも収蔵されている名作椅子。
東京国立近代美術館や東京国立博物館法隆寺宝物館でも採用されている。
ここに導入されているモデルはCab35周年を記念した2012年限定シボ革仕様のCab_Cだった。
通常のヌメ革モデルはよく目にするがシボ革仕様は1年のみの限定生産のため、なかなかお目にかかることがないレアモデルだ。

我が家のダイニングでもこのCab413とアーム無しの412を愛用している。
美しさ、佇まい、座り心地、机との相性など全てお気に入りの逸品。
我が家のものも限定シボ革仕様のCab_C。
このシボ革は汚れや傷に強いのでデイリーユースにとても良いが、ノーマルタイプのヌメ革に比べ柔らかく若干伸びやすいのが玉に瑕。

・BREAK Chair

デザイナー:マリオ・ベリーニ
発表:1976年
メーカー:Cassina
価格:¥550,000〜(※革張り仕様)(2025年現在)
こちらの椅子もCab同様にイタリアの巨匠マリオ・ベリーニが手がけた。
薄いパネルをジッパーで組み上げるという製法を用いており、場所を取らない控えめでシンプルなデザインだが、確固たる存在感をしっかりと放っている。
・GOTEBORG Chair

デザイナー:エリック・グンナール・アスプルンド
発表:1988年
メーカー:Cassina
価格:¥473,000〜(※革張り仕様)(2025年現在)
スウェーデンのヨーテボリにある裁判所のためにデザインされた。
形状はトーネットの曲木椅子を意識したのだろうが、構造や製法は全く異なっていて、こちらは曲げたスチールパイプを軸として木製の後脚に接合している。

洗練されたデザインは、クラシックでありながらモダンでもある。
・03 Chair

デザイナー:マールテン・ヴァン・セーヴェレン
発表:1998年
メーカー:Vitra
価格:¥89,100(2025年現在)
横浜美術館や神奈川県立近代美術館葉山館、大阪中之島美術館などでも監視員用椅子として使用されている。
背もたれから座面の素材は程よく弾力があって気持ち良い。
歴史に残る名作椅子というタイプの椅子ではないが、名バイプレーヤーといったところだろうか。
・PRINCE AHA Stool

デザイナー:フィリップ・スタルク
発表:1996年
メーカー:Kartell
価格:¥20,800(2025年現在)
アフリカの太鼓のような形状。
座面を外して中に小物や雑貨を収納することができるというギミックも備えている。
このようなシンプルなスツールは多くの種類があるが比較的安価で何かと使い勝手が良い。
我が家でもプリンス・アハ含めて数種のスツールを愛用している。

・RIGA Chair

デザイナー:Pocci+Dondoli
発表:2008年
メーカー:DESALTO(Cassina.IXC扱い)
価格:¥52,800(2025年現在)
屋内外どちらの使用も想定されている椅子だが、ここでは屋内のカフェに置かれている。
目立つ存在ではないが、国内ではCassina.IXCで取り扱われているだけあって、やはりシンプルながらも細部までしっかりとデザインされている。
・まとめ
ベネッセが威信をかけて設立した美術館だけあって、そこで採用されている椅子はやはり名作揃いだった。
特にA-Chairは安藤忠雄建築に置かれるからこそ、その真価を発揮する。
ところで美術館の竣工当初から置かれていたであろう椅子と、その発表年からして明らかに後日追加採用されたモデルとが混在しているのが気になった。
A-Chairを置くことを起点として考えてみると、IXCの文脈からCassinaの名作椅子(BREAK Chair、GOTEBORG Chair)は竣工時から導入されていたのだろうと思うが、その他の椅子たちはどうだったのだろう。
特にCab Chairは通常モデルであれば年代的に竣工時から置かれていてもおかしくないのだが、ここに置かれているCab_C 413 Chairは販売年が2012年と限定されているため、それ以降に導入されたのは確定している。
カフェの椅子も開館当初とは替わっているようだ。
それらがどのような経緯で導入されることになったのかが知りたくなった。
今回は美術館内だけだが、インターネットを見ていると宿泊者しか入ることができない宿泊エリアにもCassinaやフリッツ・ハンセン等の名作椅子を見ることができるので、いつか宿泊してそれらの椅子も愛でてみたい。
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