【美術展2025#28】オープニング展@UESHIMA MUSEUM
会期:2024年6月1日(土)〜2025年4月19日(土)
2024年6月1日より、UESHIMA MUSEUMが一般公開となります。
当美術館では、「同時代性」をテーマに国内外の幅広いアーティストの現代アート作品のコレクションを行うUESHIMA MUSEUM COLLECTIONの650点を超える作品の中から、様々なテーマに沿って選び抜いた作品がご覧いただけます。
領域を自在に横断し、多様で、パーソナルで、社会的でもある美術表現は、人々の想像を超える多くの可能性を生み出してきました。美術を考えることは、私たちの過去、現在、そして未来を考えることでもあります。美術を介して、真に自由な想像力と、独創的な発想力を培うこと、アーティストが彼らの作品を通じて投げかける視点や課題を次世代へ伝えていくことは、美術作品を収集していくことの意義であり、使命であると考えます。
アーティストへの支援機会の創出、教育機関との連携なども含めた幅広い活動によって、アートシーンの活性化に寄与し、社会と関わりながら生きる「同時代性」を当美術館は目指します。
行こう行こうと思っていたが、なかなかタイミングが合わなかったUESHIMA MUSEUM。
昨年末までだったオープニング展の会期は延長されたものの、いよいよそれも終了間際ということで意を決して行ってきた。
渋谷のこの辺りを歩くなんて何年ぶりだろう。
最近はこの辺りに来ても車で通り過ぎるだけだったが、10代の頃は渋谷原宿間の明治通りをよく歩いたものだ。
宮下公園跡地に建つビルを見て改めて隔世の感を覚える。
インターネット前夜、ヤフオクもメルカリも無かった1990年代、代々木公園でのフリーマーケットとともに東急文化会館屋上や明治公園、そして宮下公園でのフリーマーケットにもよく行っていた。
いつの間にか代々木公園以外はどれも無くなってしまった。
今思うとなかなかカオスだった90年代の渋谷原宿界隈。
あの頃の空気感好きだったなあ。
スクラップ&ビルドの激しい渋谷だが、PINK DORAGONとかがまだあったのには懐かしすぎて涙が出そうになった。
キャットストリートを歩く。
渋谷教育学園には15年前くらいに青年海外協力隊経験を話す講演会に講師として訪れたことがあったがそれ以来だ。懐かしい。
その学校敷地内にオープンしたUESHIMA MUSEUM。
敷地内に美術館がある美術大学は多いが、敷地内に美術館(学校所有ではないが)がある高校はまずないのでは。
しかもそこには現代美術の最前線の作品が並ぶ。
これは高校生にとって美術系進学希望でなくとも刺激になるだろうなあ。
実に羨ましい。
開館時点で680点強の所有作品数とのことだったが、驚くべきはそのコレクションを2022年から個人で始めて2年ほどでその数に達しているということだ。
そしてコレクションはきっと現在も増え続けていることだろう。

入ってすぐの名和作品。

《PixCell -Deer #40》2015

そのすぐ傍にネコ!


もちろん作り物なのだがお腹に機械が仕込まれていて息をするように上下しているもんでまるで本当にそこで寝ているかのようなリアルな雰囲気。
解説文を読むとめちゃコンセプチュアルなのだが初見でそれを読み解くのはなかなかハードルが高い。
数年前のオペラシティでの展覧会もなかなかヤバかった。
1階を先へ進む。
館内ではスマホに届いたQRコードを用いて各部屋の開錠を行う。
セキュリティは万全だが少々まどろっこしい。
目につく場所に監視員がいないので違和感を覚える。
もちろん監視カメラは多数あるのでどこかで見られている感はある。
岡崎乾二郎の小部屋。
何点かは東京都現代美術館へ出張中。

各階の階段踊り場には杉本博司の写真が掛けられていた。


各階の延床面積はそれほど広くないため、美術館というよりは各階にギャラリーが入ったギャラリーコンプレックスといった雰囲気。


再び名和作品登場。

《PixCell-Sharpe's grysbok》2023
2階には、ゲルハルト・リヒター、ライアン・ガンダー、トーマス・ルフ、ピエール・ユイグ、ルイーズ・ブルジョワ、オラファー・エリアソン、シアスター・ゲイツ、村上隆、塩田千春、池田亮司等のビッグネームが並ぶ。
オラファー・エリアソンの色が無くなる部屋。

《Eye see you》2006
シアスター・ゲイツ部屋。

昨年の森美術館での個展は本当に良かった。
村上隆とヴァージル・アブローのコラボ。
同デザインの版画も見たことがあるがやはり一点ものの作品は圧が違う。

《Bernini DOB: Carmine Pink and Black》2018
まだまだこれからという時に惜しまれつつ亡くなってしまったヴァージル・アブロー。
この作品と思われる作品がオークションにて48,300,000円で落札されていた。
フロアごとの面積はそれほど広くないため油断していたが、作品点数がそこそこある上に作品ごとの解説文が非常に詳細に書いてあり、ざっくり読むだけでもそれなりに時間がかかる。
しかも地下階から地上6階まであるもんでなかなかの熱量を帯びてくる。
6階へ。
杉本博司からの、

《bay of Sagami, Atami》1998
名和晃平。

《Mandarin duck》2018
…終わった。
途中から結構さくさく進んだつもりが、2時間に迫る滞在。
第一線で活躍する今をときめくアーティストたちの作品が一堂に見れて満足度は高い。
あえていくつか言わせていただくとすると、展示ラインナップが王道すぎるというか、拭いきれない「アドバイザーの助言通りに売れセン作家の作品を買い揃えて並べてみた感」。
いや、作品群は素晴らしいし物量も申し分ないのだけれど、なんというか、幕の内弁当のようにいいとこ取りのラインナップで植島氏の嗜好がいまいちもやっとして見えてこないのよ。
昨年の高橋龍太郎コレクション展も記憶に新しいが、あちらでは高橋氏の嗜好の変遷が手に取るように伝わってきた。
まあ今回はオープニング展ということで万人が楽しめるように数あるコレクションの中からあえて王道ラインナップを並べているのかもしれないが、せっかくのプライベートコレクションの私設美術館なのだからもっと植島氏の嗜好に全振りしてしまってもいいような気がした。
次に、展示空間。




おわかりいただけるだろうか。
全面的に改装は施されているとはいうものの、構造上排除できない扉や窓、コンセントなどの元々のビルの痕跡が各所に色濃く残り、それらの処理の甘さが作品の邪魔になってどうしても日常に引き戻されてしまう。

オフィス感漂うガラス壁やカーテンなども取っ払ってしまっていいのでは。
ホワイトキューブに寄せるのであればインフラをもっと整えた方が良いと思うし、逆にこれを個性にするのであればそれに適した展示方法を追求した方が良いと思う。
さらに元々普通のビルなので天井高が無いため、大きな作品を展示すると圧迫感がすごい。
ワタリウム美術館みたいに2フロアぶち抜きの部屋を作った方がいいと思うが、構造上難しいか。
そして、什器について。

1階にIXCの名作椅子「AIR FRAME」が置かれていて、お、さすがと思ったのもつかの間、2階には、


いや、いいのよコクヨ。
いい会社だしアクタスの親会社だし、なんなら私も株持ってるし。
だけどここにこの椅子はなんかちょっと色気がないというかストーリーが見えないというか。
そして後ろの窓も使わないなら潰して壁にしてしまったほうがすっきりするだろう。
壁面や什器にそこまでこだわっていないために、作品群ラインナップに対するこだわりにも疑問符が付いてしまった。
せっかくだから椅子や什器にもこだわりつつ建物全体を通して植島氏のストーリーを描き出してほしい。
とまあ好き勝手な意見を連ねたが、なんだかんだ言って十分楽しませていただいた。
いずれにせよコレクションしている作品は素晴らしいものが多いことは間違いないし、それを一般公開していただけるということにも感謝感激である。
現時点でも東京の新名所としてぜひ訪れるべき場所だと思うが、その存在をさらに不動のものとするために今後のハード面での更なるブラッシュアップと、ここでしかできない独自の企画展を期待する所存である。
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