これからの自治体のあり方を考える~合併か広域連携か~
常陸太田市議会、常陸大宮市市議会の選挙が告示されました。この2市は約20年前、2004年(平成16年)後半の平成の大合併でほぼ同時に合併し、市議会議員の数が60名超えと多数になっていたことから解散をしたため、両市とも同日の選挙になった経緯があります。
常陸太田市(2004年12月1日 合併)
常陸太田市・金砂郷町・水府村・里美村
常陸大宮市(2004年10月16日 合併)
大宮町・山方町・美和村・緒川村・御前山村
この2市は阿武隈山系の南端に位置し、久慈川が市内を流れるなど地理的な共通点の他、自治体の面積が広く(常陸太田市約372 ㎢、常陸大宮市約348 ㎢。2市だけで茨城県の総面積の10%以上を占める)、人口減少が著しく特に旧村部において高齢化と過疎化が進むなどの共通した課題が存在しています。他にも、道の駅やJR水郡線など共通した点も多いだけに同日の市議会選挙でどのような争点が挙げられているのか注目されるところです。今回は合併から20年が経過し、想定を上回るスピードでの人口減少、東日本大震災やコロナ禍などを経た現在、合併による効果などを再度考えていきたいと思います。
市町村合併とは、2つ以上の市町村が一つに統合されることです。統合の方式には、対等な立場で新しい市町村を作る「新設合併」と、既存の市町村に他の地域が吸収される「編入合併」があります。これにより、自治体は行財政基盤の強化や、少子高齢化・人口減少に対応した広域的な行政サービスの提供が可能になります。日本の市町村合併の歴史は、明治22年の「明治の大合併」に始まり、昭和の合併、そして記憶に新しい「平成の大合併」が中心となり自治体の再編が進んできました。一般的に合併によるメリットとデメリットは以下の通りとなっています。
メリット: 役場の統廃合や議員定数の削減による人件費の抑制、インフラ整備や福祉事業における効率化、広域的なまちづくり。
デメリット: 中心部から離れた地域の行政サービス低下、住民の一体感の希薄化、地域の歴史ある名称や伝統の喪失。
常陸太田市や常陸大宮市も庁舎や主要な商業・医療機能が中心エリアに集約されたため、周辺部の住民から「旧村部が置き去りにされている」という不満から、市への距離感が生じやすくなり、人口流出の歯止めがかからないなどの問題点が挙げられています。
これまで、市町村合併が進められてきた最大の背景には、少子高齢化による税収の減少と、社会保障費などの行政需要の増大があります。日本の総人口は20年前に想定したよりも速いスピードで進んでおり、特に人口が少ない小規模な自治体では、単独で必要な行政サービスを維持することが困難になりつつあります。そのため、今また合併によって行政の規模を拡大し課題を解決していくといったことが考えれています。
合併により行政基盤が強化されることによる具体的なメリットには「行財政基盤の強化」重複する公共施設の削減や人件費・議会経費の圧縮を通じ、財政の健全化。「行政サービスの専門化・広域化」 専門職員(保健師、土木技術者、IT人材など)を集約し、子育て支援や福祉、DX(デジタルトランスフォーメーション)といった高度な行政ニーズに対応。「インフラ整備や防災力の向上」 広域的な道路網の整備や、消防・防災体制の一体化。の3点だ代表的なものとして考えられます。
一方で先述した通り、合併によるデメリットが存在することも忘れてはいけません。市町村合併は、単なる「経費削減の手段」ではなく、「持続可能な地域づくりに向けた再構築のプロセス」として考え、必ずしも境界をなくす「合併」にこだわらず、隣接自治体同士が連携協約を結んで特定の事業を共同で行う定住自立圏構想などの広域連携という選択肢も含め、地域の実情に応じた最適な形を模索し、その中で合併という選択肢を選ぶやり方にしなければならないのかもしれません。
さて、来月は城里町長選挙。過疎地域自立促進特別措置法によって一部過疎地域に指定されている城里町。人口減少率が高く、財政力指数も0.37(令和6年度)と厳しい自治体運営を迫られている町。今後は持続可能な地域としてどのように町政を進めていくのかに注目して町長選挙を見てみようかと思います。
