「ワールドカップ」と「WBC」は4年「ごと」? 「おき」?
今年は世界規模のスポーツイヤー
2026年の今年は、サッカーのワールドカップイヤー。さらには野球ではワールド・ベースボール・クラシックが開催されます。ワールドカップが前回開催されたのは2022年、カタール大会でした。日本がドイツ、スペインを撃破し、ベスト16へコマを進めたその快進撃は、記憶に新しいですね。一方のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)はというと、こちらは2023年開催。日本が、大谷選手の大活躍などで優勝を果たした大会です。実はこちらは、新型コロナの影響で2021年予定が2023年に延期されたものです。基本はワールド・ベースボール・クラシックも、サッカー・ワールドカップ同様4年周期が基本です。
要するに、どちらの大会も「4年ごと」に開催される、というわけです。オリンピックと同様ですから、世界規模のスポーツ大会はこの4年ごとがスタンダード。少し間隔が長く空いている気もしますが、このくらいのほうがきっと特別感は出るのでしょう。やっぱり、ワールドカップにせよワールド・ベースボール・クラシックにせよ「待ってました!」と思いますものね。
「4年ごと」、「4年おき」は同じ意味?
ちなみにこの「4年ごと」、「4年おき」と言ったらどうでしょう? 「ごと」と「おき」って基本同じ言葉ですよね?
「ウチの近所の駅では、電車が5分ごとに来る」
「ウチの近所の駅では、電車が5分おきに来る」
まるで同じです。12時に来て、12時5分に来て、10分に来て。日本の交通機関は時間をしっかりと守ります。「ごと」でも「おき」も問題ありません。では次の例文はどうでしょう。
「ワン・パブリッシングの雑誌は1か月ごとに発売されます」
「ワン・パブリッシングの雑誌は1か月おきに発売されます」
あれ。前者は「月刊」、すなわち毎月発売されるということを説明しています。一方後者の「おき」はどうでしょう。どうも、「2か月に1回発売される隔月刊誌」を指していませんでしょうか。電車では同じだったのに、雑誌ではその意味が異なる? そんなことありますでしょうか。
「時間の長さ」によって意味が変わるのだが…
実はこの「おき」と「ごと」、ある程度のスパンで分けて考える必要がある言葉。「秒・分・時間」など短時間の場合、「~ごとに/~おきに」は同じ意味になりがちですが、「日・週間・月・年」の場合、「~ごとに/~おきに」は違う意味になるのです。
「5分おきに/5分ごとに電車が来る」。これは同じ意味ですよね。「1か月おきに/1か月ごとに雑誌が出る」、これは、前者は「2カ月に1回」で、後者は「毎月」ととらえるのが自然です。そんな「時間の長さ」によって意味が変わる日本語があるなんて、驚きますよね。
では、どこでその間隔は切り替わるのでしょうか。「筋トレをする」という動詞で検証してみましょう。
「私は5分ごとに筋トレをする」
「私は5分おきに筋トレをする」
うん、確実に同じですね。
「私は30分ごとに筋トレをする」
「私は30分おきに筋トレをする」
まだ同じように感じます。
「私は1時間ごとに筋トレをする」
「私は1時間おきに筋トレをする」
うーん。ちょっと微妙になってきましたが、まだ同じでしょう。
「私は1日ごとに筋トレをする」
「私は1日おきに筋トレをする」
あれ! これは違います。後者は、ある日筋トレして、その次の日は休み、また次の日に行ってますよね! ちょっと巻き戻してみましょう。
「私は12時間ごとに筋トレをする」
「私は12時間おきに筋トレをする」
これは、同じですね! どちらの表現でも6時と18時に筋トレをしているように感じます。表現(単位)を変えてみましょう。
「私は半日ごとに筋トレをする」
「私は半日おきに筋トレをする」
あぁ、もうわかりません。はっきりいって、さっぱりわらない。特に後者は、どっちなんだろう。この案件、正直、どこでバチっと切り替わる類のものではなさそうです。国語学者の金田一秀穂先生曰く「個人差があって答えがない」とのこと。そんなあいまいさを持つ日本語があるんですね。
ワールドカップは何年おき?
さて、翻ってワールドカップはいかがでしょう。
「ワールドカップは4年ごとに開催されます」
「ワールドカップは4年おきに開催されます」
前者は2018、2018、2022、2026年の開催を示しています。一方で後者は「4年を間に置く」わけですから、2018、2023、2028年の開催となってしまうわけです。すなわちどうしても「おき」を使いたい場合は「3年おき」が正解となります。。いやーでも正直しっくりきませんね。やはり「4」というパワーナンバーの引力は、いくら「おき」を正しく利用しても適いません。
辞書でさえも、「『1か月おきに病院に行く』は、毎月病院に行く(1月、2月、3月…)と、隔月で病院に行く(1月、3月、5月…)の、2つの意味がある」と解説しているものもあるのです。ごとは「毎」、おきは「置き」と漢字にしてみれば、少しだけ体感的にわかりやすくなるかもしれません。でも、ま、長さによって同じ意味になったり違う意味になったりする説明にはなりませんけどね。
私としては、この日本語のあいまいさを楽しみたい。そう思っています。「1時間ごと」「1時間おき」を英語にしてみると 「Every hour:1時間ごとに(毎時)」 「Every two hours / Every other hour:1時間おきに(1時間の間隔を空けて)」となるそう。正直、わかりやすい。迷う余地なし。このズバっと言い切る感じが欧米文化っぽいですよね。
このnoteの記事の更新頻度ですか? 「1日おき」を目指しています!(「ごと」よりも、自分の首を絞めない表現にしてみました)。

いいなと思ったら応援しよう!
なんだかしょうもない日常の雑文ですが、そんなものでも読んでいただけて嬉しい! ネガティブなことを書かず、なんだか安心するようなものをお届けしたいです。