音楽雑記―こんなに人の痛みが分かる人がダメ天使なはずはない
皆さんはナナヲアカリさんをご存知でしょうか?
少し前ではありますが、「眠くなったら寝る」のダンスで話題になりましたね。
彼女の軽快に私達のダメな部分を許してくれる優しさ、良いですよね。
なのに、私の友人は件の曲を聴いて、「なんで寝るために誰かの許しを得る必要があるの?」と心底不思議そうに聞いてきました。
率直に言って、とても悲しくなりました。その気持ちはわかる。わかるけど、頑張らないとという気持ちのあまり、寝ることができなくなる人だっているんだ。それを救おうとする優しさが、彼には伝わらない…。
このもどかしさを、どうすればいいんだ!
そうだ。書けば良い。今ここで。
そういうわけで、私のナナヲアカリさんに対する想いを見ていってはくれないでしょうか?
天使が舞い降りた日
ナナヲアカリさんを最初に知ったのは、youtubeでなんとなく押したMAD動画を再生した時のことでした。およそ6年ほど前のことでしょうか。
その動画は「ダダダダ天使」というアップテンポでキャッチーなメロディーの曲に合わせて、スーパーマリオの効果音を鳴らすというものでした。
私はこういうネットミームに興味を惹かれてしまう人間でして、このとき動画を再生したのも、まあ脊髄反射のような感じでした。そういうときは大抵が、ひとしきり笑ったあとは時間の経過とともに忘れていくものです。
ですがこのとき、なにか強烈に引力を感じたのを覚えています。
動画はBメロの以下の歌詞から始まりました。
天使のリングの点滅は きれかけてるけど
見方を変えればこれも アイデンティティさ
なんて強がりさ 本当は曖昧な愛の感情も
あなたと探したいの
作詞:ナユタン星人
ポエトリー:ナナヲアカリ
なんて健気なのでしょうか。
頼りない姿をポジティブに受け止める姿勢はありますが、強がりであることを隠さない潔さも持っています。
そして誠実です。感情が曖昧であることは素直に認めつつ、その意味が分かるまで一緒に探そうとしてくれています。
この僅かなフレーズだけで、心の機微に敏感であることは察することが出来ます。
もはや、さっきまで欲していたクスっとしたい感情は忘れていました。
一刻も早くこの人のことが知りたい。私は直ぐさま「ダダダダ天使」を検索し、何度も聴きこみました。明るく振舞いたいけど繊細な内面も持つ、その魅力に私は虜になっていきました。
小さな勇気。だけど壮絶な自己変革―私の魂を支える歌
実は、今回紹介したい曲がもう一つあります。
もちろん「ダダダダ天使」も何度も聴いてしまう素晴らしい曲です。
しかし、今から紹介する曲は、よりナナヲアカリさんの繊細さ、誠実さが美しく出ていると考えています。
曲の名前は、「イエスマンイズデッド」と言います。
この曲とは5年ほどの付き合いでしょうか。正確には分かりませんが、私の心の傍らにはいつも存在していました。
「イエスマンイズデッド」は一見して物悲しい曲です。
都会の生活に必死に順応しようとして苦しみ、そこから抜け出す術を知らず、誰の助けも期待できない。あまりにも精神的に過酷な状況が語られます。
サビでは「イエスマンは死んだ」と繰り返し歌われ、それはまるで語り手の精神が摩耗の末に死んでしまったかのようです。
私も、自分自身が「イエスマン」だという自覚があります。かつてIT企業で貢献したい気持ちで働きましたが、自分自身を大切にすることを忘れて、擦り減っていきました。
だから歌詞に書かれたことは、他人のことのようには思えませんでした。
さて、曲の終盤になると、私にとって最も印象的なフレーズが登場します。
「イエスマンは死なない」僕が殺さなきゃ
「イエスマンは死なない」僕は変われない
作詞:ナナヲアカリ
なんということでしょう。「イエスマン」は追い詰められた人を象徴する言葉です。それを殺さなきゃと、とても思い切った言葉が使われています。いったいどういうことでしょうか?
ここでいう「イエスマン」とは、「環境に過剰に適応しようとしている無意識」だと思っています。
人の和を守ることは確かに大事なことだけど、そのために自らの精神が死んでしまっては本末転倒です。
だから勇気を持って自分らしくあろう――そんな決意を、「僕が殺さなきゃ僕は変われない」という言葉で力強く表現したのではないでしょうか。
「イエスマンは死んだ」
明日に少しだけ
勇気を出す僕を僕が見ていよう
作詞:ナナヲアカリ
歌は最後、このように締めくくられます。
勇気はほんの少ししか無いかもしれない。見守ってくれる人もいないかもしれない。
でも、自分自身を大切に思えるなら、その想いはいつもそばにいてくれます。
人の痛みに寄り添って、慎重に言葉を選んで、そっと背中を押してくれる。
ナナヲアカリさんは私にとってはダメ天使ではありません。本当の天使なのです。
「イエスマンイズデッド」を皆さんも是非聴いてみてください
いいなと思ったら応援しよう!
チップをいただけると、私が活動を続けられます。
よろしければお願いいたします。