見出し画像

脚本54「ノート」

《本当のところどうだかわからないよね、
歴史って》


○登場人物
リキッド・ハンター
ノブカツ・アンダーソン
リー・チャオシー


【1】アメリカ「山中」
 森の中を逃げている中国人スパイをアメリカ国防総省の二人が追っている。

●リキッド走って入り。無線を入れる。

リキッド「ノブカツ! そっちに行った」
ノブカツ「了解」

●リー入り。逃げている。それを追ってノブカツ入り。

リー「チィッ、あと3日だってのに!」
ノブカツ「動くな! 殺せなくても撃つことはできるぞ!」
リー(後ろ向きで両手をあげる)
ノブカツ「中国人がこんなところで何してる」
リー「いやぁ、山菜採りに来たら迷子になっちゃいました」
ノブカツ「スパイなら、もっとうまい嘘は付けないのか」

●リキッド入り。

リキッド「残念だなチャイニーズ。ここは崖に囲まれてるんだ」
リー「なに……」
ノブカツ「観念するんだな」
リキッド「U.S.の拷問は辛いと聞く」
ノブカツ「はははっ! 言ってやるなよリキッド」
リー「……くそっ!」

●リー崖に向かって走る。

リキッド「登るつもりか? いい的だぞ」
リー「ぐあっ!」

●リー消える。

ノブカツ「消えたぞ!」
リキッド「そんなはずは!」

●ノブカツ、リキッド追う。

ノブカツ「うおおおっ」
リキッド「ノブカっうおおおおお!」

●ノブカツ、リキッド消える。

【2】アメリカの山中「鋼鉄の洞窟」

 三人は崖の近くにある通路に落ち、薄暗い部屋に落ちる。部屋は鋼鉄で造られていて、中には机や紙、パソコンのような何かが散乱している。落ちた衝撃でリーは足を骨折しているようだ。

●リー、ノブカツ、リキッド倒れてる。

リキッド「い、て……」
ノブカツ「なんだ、ここ……」
リー「足が……」
ノブカツ「来い、チャイニーズ」
リキッド「基地、か? 全面鋼鉄で覆われてるぞ」
ノブカツ「核シェルターか?」
リキッド「誰の」
ノブカツ「大統領とか。いや、それはないか」
リキッド「ああ、それはホワイトハウスだ」
リー「み、見つけた」
ノブカツ「あ、おい!」
リキッド「ほっとけ、足が折れてるんだ。どうにでもなる」
リー「これだ……。これだ!」
ノブカツ「ノートか? ボロボロだな」
リキッド「こっちにもあるぞ。これは新しいな」
リー「ノートがあった! じゃあ、ここが!」
ノブカツ「おい、チャイニーズ、そのノートはなんなんだ」
リキッド「ここのことも知ってるようだな」
リー「はははっ! さぁな」
リキッド「反対の足を撃て」
リー「あうあぁぁ……」
ノブカツ「答えるんだ!」
リー「はぁ、はぁ、読んでみろよ……」
ノブカツ「よこせ」
リー「読めばわかるさ。っうく、いってぇ……」
リキッド「何が書いてあるんだ」
ノブカツ「お、おい、リキッド……、これは……」
リキッド「読んでくれ」
ノブカツ「……あぁ。851年、アルフォンス・マッケベン」
リキッド「851年?」
ノブカツ「あぁ。アルフォンス・マッケベン。『私の知る限り、このメモは1ページ目だ。本当の歴史は隠された。次の者に橋渡しをする』」
リキッド「どういうことだ、おい、なにか知ってるんだろう」
リー「書いてあるままさ。それは851年に書かれた文字だ」
ノブカツ「メモは多いぞ。928年……いや、このあたりは紙が古すぎて読めない」
リー「なんだと、管理が悪かったのか?」
リキッド「読めるのはどこだ」
ノブカツ「1100年代や1200年代もある。なんなんだこのノートは……。1206年、ルドルフ・ヴォーヴェライト。『フリードリヒ・……』いや、読めないな。だが、人名のようだ」
リー「フリードリヒ……」
リキッド「読めるページはないのか!」
ノブカツ「あった、このあたりは読みやすいな。1560年、フリードリヒ・クロイツ」
リキッド「フリードリヒ、さっきの人名か?」
ノブカツ「いや、300年以上間がある。別人だろう。よくある名前だ」
リキッド「あ、ああ、そうだな」
リー「想像以上に昔のことだ」
リキッド「おまえも全て知っているわけではないようだな」
ノブカツ「リキッド、続きを読むぞ。フリードリヒ・クロイツ。『1ページ目。ここに私の存在を証明する』」
リキッド「一ページ目?」
ノブカツ「そう書いてある。次だ。1563年、フリードリヒ・クロイツ。『ヘルマン・ゲーリングを見つけた。私はここで生きていく』」
リキッド「ヘルマン・ゲーリング……その名前どこかで……」
ノブカツ「あぁ、思い出した。ヘルマン・ゲーリング……」
リキッド「誰だ」
ノブカツ「1925年7月4日、アドルフ・ヒトラー」
リキッド「ヒトラー!? このノートはヒトラーのものか! なぜアメリカに!」
ノブカツ「驚きだ。それにこのヘルマン・ゲーリングという名……」
リー「ナチの総統代行。ヒトラーの後継者だ」
ノブカツ「ああ、それと同じ名だ」
リキッド「内容は」
ノブカツ「アドルフ・ヒトラー。『私の前に神が現れた。やはり我々は優れた民族なのである。すぐに優秀な部下を集め、志願兵が一人。彼の名はフリードリヒ・クロイツ。彼を讃えよう』」
リキッド「神が現れた? はは、ナチは宗教団体か?」
リー「フ……フリードリヒ……クロイツ……」
リキッド「お、おいノブカツ!」
ノブカツ「ああ! 1560年フリードリヒ・クロイツ!」
リー「そうだったのか……」
リキッド「偶然にしちゃあ……」
ノブカツ「出来過ぎてるな」
リー「文章は! 文章はなんと書いてあった」
ノブカツ「『1ページ目。ここに私の存在を証明する』」
リキッド「おまえは全部知ってたんじゃないのか?」
リー「私が知っているのは全てじゃない。だから読めばわかると言ったんだ」
ノブカツ「1925年、アドルフ・ヒトラー。『志願兵フリードリヒ・クロイツ。ここに彼を追悼する』」
リキッド「まさかとは思うが、このフリードリヒという人物」
リー「あぁ、同一人物だろうな」
リキッド「ありえない」
ノブカツ「1945年4月30日、アドルフ・ヒトラー。『ドイツ人は私の運動に値しないことを自ら証明した。今ではないのだ』」
リー「その日付はヒトラーの最後の日だ」
ノブカツ「1946年10月15日、ヘルマン・ゲーリング。『総統は生きておられた。私はこの地で変わらぬ総統と再開する』」
リー「それはヘルマン・ゲーリングの最後」
リキッド「ま、まて! ヒトラーは生きているだと?」
リー「そういうことか」
ノブカツ「おいおい、嘘だろ。おい、違うよな?」
リー「いいや、あんたの思っているとおりさ」
ノブカツ「……タイム、マシン……」
リキッド「おいおいおいおい! ノブカツ! それは言っちゃいけねぇ! そんなもん存在するわけがねぇ!」
リー「あるとしたら?」
ノブカツ「中国人、おまえは知ってるようだな」
リキッド「やめてくれ……」
リー「ああ。タイムマシンはあるんだろうな」
ノブカツ「このノートは本物か?」
リー「本物だ、それは確かだ。だからこそ、あるんだ」
リキッド「……信じるかよ……」
リー「ナチはタイムマシンを手に入れていた」
ノブカツ「なんのために……」
リー「大体想像はつくが、続きを読んでみろ」
ノブカツ「続き……。1980年、アルフォンス・マッケベン。『1980年10月5日、現在、最大の未来である。あぁ30年以上も経ってしまった。しかし、あの方にとっては一瞬の出来事なのだろう。そろそろお向かいにいかねばならない』」
リー「次の文章はそれか?」
ノブカツ「ああ」
リキッド「足りないのか?」
リー「俺が聞いている情報がある」
リキッド「喋るのか?」
リー「……ああ、おそらく俺はこのノートを持ち帰ったところで殺されるだろう」
ノブカツ「それほどのノートか」
リー「ヒトラーは死んだ。これは事実だ。しかし、ヒトラーの自殺は偽装されたものであったと聞く」
リキッド「偽装?」
リー「タイムマシンが存在すると考えると、タイムパラドックスを起こさないためだろうな。ヒトラーのその後の行方も知らない」
リキッド「まさか、ヒトラーが死んだことをなかったことにするために……」
リー「おそらくは、そのマッケベンの策略だろう」
ノブカツ「1999年、ティム・トーン。『ナチの意思は生きている。ドクター・マッケベンが過去へ渡り20年が経つ。紙は読めなくなっていたため歴史の変化を知ることはできていない。失敗か』」
リー「過去へ行ったことが記されているか」
リキッド「タイムスリップ……そう考えることになるか……」
ノブカツ「2005年、ティム・トーン。『最大の未来はいつまで続くのか』」
リキッド「最大の未来……?」
リー「おそらく、そのタイムマシンは未来にはいけないのかもしれない」
ノブカツ「そうか、このマッケベンやティムは未来をチャージする役割を担っていたのか!」
リキッド「ヒトラーの思想が途切れるまで……やつは永遠に現れる可能性があるということか……」
リー「そういうことになる」
ノブカツ「もしかして中国は、これを奪おうと?」
リー「おそらく。ヒトラーの死後、一部ナチの残党が中国に流れていたからな」
リキッド「タイムマシンが政治に使われたら、世界は大変なことになるぞ」
ノブカツ「中国は支配者になる」
リー「……処分すべきだ。ノートも。ここも」
リキッド「賛成だ」
ノブカツ「……リキッド、そっちのノートには何も書いてないのか?」
リキッド「え」
ノブカツ「こっちはもう書かれていない」
リキッド「……2015年、11月1日……ティム・トーン。『私も先は長くない。現時点で最大の未来となる2015年11月1日、お迎えに行く。久しくドクター・マッケベンにも会っていない』」
リー「5日前……?」
リキッド「……ああ。まずいぞまだあった! 2015年11月5日! アドルフ・ヒトラー!」
ノブカツ「き、昨日……」
リキッド「これは、大変だ! 『ふむ。良い未来だ。この時代に我々ナチを再建する。まずはヘルマン・ゲーリングを連れ戻す』」
ノブカツ「マシンがない!」
リー「戻ってくるぞ!」

 ●目が開かない程の光が部屋を埋め尽くす。男入り。


【マガジン】松之介の脚本集

最後まで読んで頂きありがとうございます。
「いいね」「フォロー」「コメント」
で応援してもらえると、これからの創作の糧になります!
めちゃくちゃ嬉しいです。

毎月ジャンル混合クリエイター交流企画を開催してるので、
是非参加してみてください!
企画に参加頂いた作品をまとめたマガジンもお立ち寄りください。

🌏サイトマップ(全作品リンク)
🌕【マガジン】クリエイター交流企画(毎月開催)
🌏プロフィール(随時更新)


いいなと思ったら応援しよう!

まつのすけ🌏noteの遊園地 僕の記事が『楽しめた』『参考になった』と思いましたら是非サポートをお願いします❗ 謎解きや物語など、投稿作品はご自由に使用して頂いて大丈夫ですが、評判が良かったらサポートもして頂けますと嬉しいです😁 今後も楽しめるものを頑張って作ります💪