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脚本49「真夜中のおやつ-パーキングエリア‐」

《奇妙な空間と夢の境界線って難しい》


●登場人物
◯久留米望月
◯王様→元王様佐藤
◯先客→現王様→元王様先客
○尾踊京市→王様
○先客②


 高速道路を制限速度で走っている久留米望月。

望月「ふんふんふん。おいらは喉~が渇いたぞーっとなぁ」

 目に入ったパーキングエリアに立ち寄る。

望月「お、少ないな。珍しい」
先客「ようこそ」

 車を停めた望月の元に一人の男が寄ってきた。

先客「ようこそ」
望月「あ、ああ」

 とても怪しみながら軽く返事をする。

先客「こちらへどうぞ」
望月「いや飲み物を買いたいだけなんだけど」
先客「買いたいのなら、どうぞ」
望月「お、おい、引っ張るなって」
先客「しかし、並んでいただかないと」
望月「並ぶ? 何に?」
先客「王様の列にだよ」
望月「何を言ってるんだ?」
先客「さ、まずは僕の番だよ」
望月「ったく、なんなんだよ。飲み物買ってくるからな」
先客「戻ってきなよー」
王様「さいしょは、グウ」
先客「う、うわ負けた!」
王様「ぱんぱかぱーん。おめでとう、今日から君がこのエリアの王様だよ」
先客「僕が王様……」
王様「僕は佐藤に戻るね。じゃあ、がんばって」
現王様「はい、僕が王様です。お疲れ様です佐藤さん!」
望月「付き合ってらんないよ」

 車に戻る望月の肩をたたく元王様佐藤。

佐藤「やぁ、よろしく。がんばってね」
望月「あんた、王様とかいう」
佐藤「元王様の佐藤です。僕は佐藤なんだー。ふふふ、佐藤なんだ」
望月「気色悪いな」
佐藤「うわわ、ホコリがすっごいな僕の車。……五ヶ月か」

 望月は佐藤を無視してエンジンをかける。

望月「変なパーキングだな」

 出口からでた望月はパーキングエリアの入り口からパーキングエリアに入ってきた。

望月「……?」
佐藤「やぁ、早く並んだほうがいいよ。さっき一台増えたから」
望月「元王様の佐藤さん?」
佐藤「ええ。それでは、さようなら」

 元王様の佐藤は車を走らせ出口から出ていった。
さっき入ってきたという一台の車に男が話しかけているのが目に入った。

京市「なんですか、あなた」
先客②「まぁまぁ、こちらに並んで」

 それを見ながらまた出口へ走らす望月は、またパーキングエリアの入り口から入ってきた。

望月「……」
先客②「勝った……勝ってしまったよ京市さん」
京市「残念です、しかしこれはなんですか」
先客②「いいからジャンケンだよジャンケン」
現王様「さいしょは、グウ」
京市「あ、負けた。あんたパーばっかりだな」
現王様「ぱんぱかぱーん、わずか十分の王政であった」
先客②「おめでとう、君は運が良いね! 私なんてもう一年だよ」
京市「は、え? なんのこと」
現王様「今から君がここの王様だ! 私は帰るぞぉ、まってろよ嫁と娘ー」
京市「は? 王様ってなんだよ」
先客「では元王様よりおめでとうの拍手を捧げる」
王様「やってらんないな、おれは帰るぞ」
先客「無理だよ」

 急に冷たい口調で言われた。瞳に光がない。

望月「……王様って、なんなんだよ」

王様京市は車を走らせてパーキングエリアからでると、入り口から入ってきた。

王様「……は?」
先客「無理だよ。さよなら」

 先客は車を走らせてパーキングエリアを出ていった。

先客②「さぁ、私とジャンケンをしよう」
王様「さいしょは、グウ……」
先客②「あー勝ってしまった。さ、次は君だ」
望月「え、ああ……」
王様「さいしょは、グウ」

おしまい


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