脚本3「指針はオレンジ、突き刺さりライド」
《読み終わったら、ジャズを聴きたくなった。》
●登場人物
◯フルーツ:メッセ・ミレオン
◯フューリー・フィレンツォ
◯スイーツ:ロン・ハンマーヘッド
◯軽井沢羽生(かるいざわ・はにゅう)
○バレンシア:アニー・コーネット
○エイピー・ガーファンクル
○アダムス・ユズタック
○クレオ
【1】裏切りの交差点
●フューリー歩いている。フルーツ入り。
フルーツ「歩きながら聞くんだ」
フューリー「なん」
フルーツ「振り向くな」
フューリー「設計図は渡したはずじゃないか」
フルーツ「あんたの裏切りが向こうにバレた」
フューリー「……そうか。覚悟はしてたよ」
フルーツ「あんたはコチラにとっても重要だ。身柄を拘束させてもらう」
フューリー「拘束だって?」
フルーツ「場所はこの紙に書いてある。そこに来い」
フューリー「なんだこれは」
フルーツ「おれは付けられている。ここで別れよう」
フューリー「なぜ私が行かねばならない?」
フルーツ「来なきゃ、殺されるぞ。急ぐんだ」
●フルーツ、紙を渡してハケに向かう。
フューリー「まて、私一人で行くのかっ」
フルーツ「幸運を祈る」
【2】軽井沢羽生
●フルーツ。中央で立ち尽くす。タバコに火をつけ、どこかハケ口へ向かう。
●フルーツ。ハケ口を覗き、台詞。
フルーツ「よ」
軽井沢「気配を消していたつもりでしたが。気づいておりましたか」
フルーツ「気配の数と見える数が違ったからな」
軽井沢「不思議な事を仰られる」
フルーツ「あんたも、なにか不思議な能力があるようだが?」
軽井沢「教える必要はございません」
フルーツ「後をつけられると困るんだ。帰ってくれないか」
軽井沢「軽井沢」
フルーツ「?」
軽井沢「軽井沢羽生。私の名です。以後お見知り置きを」
フルーツ「そっか」
軽井沢「通称フルーツ。ギャング「オレンジレター」の一員でしょう」
フルーツ「どこまで知っている」
軽井沢「フューリー・フィレンツォ警備室長の裏切り」
フルーツ「(タバコを吹かし、捨てる)このまま帰すわけにはいかなくなった」
軽井沢「へへ、どうするおつもりで?」
フルーツ「連れて帰る」
軽井沢「へへ、拷問でもするおつもりですか?」
●C.C「フルーツ」スポット
●軽井沢ハケ。フルーツは気づかない。
フルーツ「……どこだっ」
軽井沢「私には気配がありません。見つけられますか?」
●軽井沢がハケた逆のハケ口から吹き矢が覗く。
フルーツ「いてっ、なんだこれ、爪楊枝?」
●軽井沢、また違うハケ口から吹き矢。
フルーツ「くそっ、そこかっ?」
軽井沢「どうです? 捕まえてみますか?」
●軽井沢入り。
軽井沢「いくら人数がわかろうとも、見えなければ意味がありませんね」
フルーツ「ただの爪楊枝で。ふざけているのか」
軽井沢「私には殺意がないだけですよ」
フルーツ「逃がすかよっ!」
●フルーツ。軽井沢を捕まえる。
軽井沢「またお会いしましょう」
●軽井沢消える。
フルーツ「! きえた!?」
【3】BAR「ファジャス」カウンター
●ジャズの流れるバーカウンターでマスクをした男が座っている。
スイーツ「へい、バレンシア」
バレンシア「やめて。ここでは「コーネット」なの」
スイーツ「あぁすまないコーネット。ブラッドオレンジを頼む」
バレンシア「わかってるわよ。もう作ってます」
スイーツ「甘」
バレンシア「甘めでしょう。やってるわ」
スイーツ「ジュースだ」
バレンシア「え?」
スイーツ「甘めのブラッドオレンジ。ジュースで」
バレンシア「グッドよ。今ウォッカを入れるとこだったわ」
スイーツ「ベェースト~」
バレンシア「タイミング」
スイーツ「いただく」
バレンシア「マスク外したら?」
スイーツ「忘れてた」
バレンシア「風邪?」
スイーツ「まぁ、そんな感じだ」(飲む)
バレンシア「……」
スイーツ(飲み終わる)
バレンシア「ねぇ、それ美味しいの?」
スイーツ「君が作ったんじゃないか」
バレンシア「あなたの注文に応えてるだけよ」
スイーツ「僕はね、コーネット」
バレンシア「うん」
スイーツ「すっぱいものが苦手なんだよ」
バレンシア「なんでオレンジばっかり飲むのよ」
スイーツ「ふふ。……ポリシーさ」
バレンシア「あっそ」
スイーツ「今何時だ」
バレンシア「19時10分。仕事?」
スイーツ「ああ。フルーツから連絡があった。護送任務だそうだ」
バレンシア「だからジュースなのね」
スイーツ「飲酒運転はもうやめた」
バレンシア「そうね……」
スイーツ「19時の予定だったんだがな。遅い」
バレンシア「このお店で待ち合わせなの?」
スイーツ「そう聞いている」
バレンシア「探しに行くわけにもいかないでしょ。一緒に待っててあげる」
スイーツ「そりゃ君の店だ、一緒に待つことになるだろうな」
バレンシア「つまらない人ね」
【4】BAR「ファジャス」二人掛けテーブル
エイピー「アァダムスゥゥてめぇイカサマしてやがんだろぉぉ……」
アダムス「してないよ。何度やっても同じさ」
エイピー「もぉぉぉう一回だぁぁぁ」
アダムス「飽きた、破産するよ」
エイピー「金ならまだっ……ぬぅっ」
アダムス「もうしてたかい?」
エイピー「むぅぅ……」
アダムス「この店の御代は払っといてあげるよ」
エイピー「むぅぅ……ぬぉぉぉ……」
アダムス「さ、そろそろ帰るよ」
エイピー「ぬふぅぅ……」
アダムス「立ってエイピー。そろそろ時間」
エイピー「なさけねぇぇぇぇぇ……」
アダムス「コーネットさん、御代、とこれエイピーが壊したテーブル代」
コーネット「あら、ありがとうアダムスさん」
アダムス「いつもはエイピーに直させてるけど、今日はちょっと無理なんだ。ごめんね」
コーネット「いいの?」
アダムス「もともとエイピーの金さ。自由にしてくれ」
コーネット「もう直し過ぎてボロボロだから、ちょうど買い換えようと思ってたの」
アダムス「新しいテーブル楽しみにしてますよ。エイピー、早く行こうかっ」
エイピー「わかったよ……」
アダムス「気合い入れるよー」
エイピー「おう」
●爆発音と共にエイピー、アダムス入口から店の奥に吹き飛ぶ。
エイピー「ぐぉおあっっ」
アダムス「いっててて……」
コーネット「な、なにっ」
スイーツ「バレンシアっ!」(バレンシアを庇いカウンターの中に隠れる)
●エイピー、カウンターの横に隠れる。アダムス、吹き飛んだテーブルに隠れる。
●クレオ入り。マシンガンをぶっ放しながら叫ぶ。客数人に当り死傷。
クレオ「アダムス・ユズタック!! この店にいることは分かってる!! おとなしく出てくるんだ!! 出てきたところでブチ殺すがなぁぁあひゃっあひゃっあひゃっ!!」
エイピー「誰だ!」
クレオ「だれだぁ、お前こそ誰だ! おれが探しているのはアダムス・ユズタックだ!!」
アダムス「君が探しているやつは確かにこの店にいる! だが君は何者だ!」
クレオ「アダムスぅぅ。確かにアダムスの声だぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁっっ」
アダムス「僕は君を知らないぞ」
クレオ「あんだとぅお~~?」
アダムス「すまない、僕は君に何をしたんだろうか!」
クレオ「クレオだ! クレオ! クレオ! クレオだっつってんだよ!! アダムスぅあぁぁぁ!」(乱射)
アダムス「エイピー! 知ってるか!?」
エイピー「知らぬ!」
クレオ「殺す殺す殺す殺すぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
アダムス「話が出来そうな奴じゃあない」
エイピー「やるぞアダムス」
クレオ「顔だせぇぇやぁぁぁぁあああああぁぁっっ!!」(乱射)
アダムス「無理だ! 見境が無いっ」
エイピー「ぬぅぅ……ついてない」
●瓶の割れる音が複数。火の上がる音。
クレオ「うがああだれだぁ」(カウンター乱射)
スイーツ「撃てぇっ!」
●アダムス、エイピーから銃声。クレオ、脚と手を撃たれる。アダムス、エイピー出ていく。
クレオ「いっってぇえよぉぉおっ! ぬぐぅぅうう!」
アダムス「待たせたな」
エイピー「火がすげぇな」
クレオ「アダムスぅぅぼえてろぉぉ……」(腕の力だけではいずり逃げていく)
エイピー「なぁっ!?」
アダムス「ま、まてっ!」
●スイーツ、バケツで水を撒く。アダムス、エイピー。クレオを追い外に向かう。
アダムス「なっなんだあれは……!」
エイピー「気持ちわりぃ……」
●高速で匍匐前進するクレオ。
エイピー「あいつは、人間なのか?」
アダムス「でなければなんなんだい」
エイピー「あの動き、早すぎだろ」
アダムス「とても追いつけないね」
エイピー「また来るぞ」
アダムス「そうだね。今は無事な人を確認しよう」
●アダムス、エイピー店の中に入る。スイーツはカウンターに立っている。
アダムス「コーネットさんは無事ですか!」
スイーツ「無事だけど……怒ってる。気を付けて」
アダムス「あ。手助けありがとうございます」
スイーツ「自分と、コーネットを守るためさ」
コーネット「あら、アダムスさん無事でしたの」
アダムス「え、ええ、コーネットさんも、ご無事で何より」
コーネット「何か飲みますか?」
エイピー「じゃあいてっなにすん」(アダムスが足を踏む)
アダムス「申し訳ない。お店は私たちが直します」
コーネット「あらそーお? 助かるわぁ」
アダムス「うちにも「ファジャス出張店」を設けます」
コーネット「勝手に決めちゃって大丈夫なの?」
エイピー「ボスは細けぇことは気にしねぇさ」
スイーツ「客は全部死体だけども」
アダムス「……パンシェル警部に任せようか」
エイピー「金のかかる」
アダムス「私たちのせいだからね、仕方ないよ」
エイピー「お前の、せいだろ。俺は関係ねーぞ」
アダムス「まぁいーさ」
エイピー「よかねーだろう」
アダムス「しかしコーネットさん。すみませんが少し待って貰えませんか。私たちは行かねばならぬ場所があって」
エイピー「忘れてたな」
アダムス「私は忘れてないって」
エイピー「どっちでもいーって」
アダムス「よかねーって。君はとっても適当だ」
コーネット「いいわ。ここで待ってます」
アダムス「感謝します」
エイピー「今度こそ行くか」
●エイピー、アダムス。ハケ。
スイーツ「店。場所教えてくれな」
バレンシア「りょーかい。あなたのお客さん、ここ見つけられるかしら」
スイーツ「……いや。外で待つか」
バレンシア「はい、おかわり。いらない?」
スイーツ「頂こう」
●バレンシア、スイーツ。外に出る。ハケ。
●F.C「店内から外」F.C中、遠くで小さくフューリーの叫び声。
フューリー「ぅぁぁぁぁぁぁぁっっ」
●バレンシア、スイーツ。外。入りながら。
スイーツ「叫び声が聞こえなかったか?」
バレンシア「聞こえたわね」
スイーツ「巻き込まれたくないからな」
バレンシア「放っておきましょう」
フューリー「ぅぁっうぇっおえぇぇぇぇ!」
スイーツ「何時だ」
バレンシア「19時30分」
スイーツ「そっかぁ」
●フューリー入り。
フューリー「ヴぉえっヴぉえぇぇぇっっ!」
バレンシア「酔っ払いかしら」
スイーツ「こっちに向かってきてないか」
フューリー「うぅうっ……失礼」
スイーツ「ああ」
フューリー「BAR「ファジャス」っていうのは、このあたりでしょうか」
バレンシア「これよ」
フューリー「ありがとう」
バレンシア「スイーツ」
スイーツ「ん」
バレンシア「この人じゃないの?」
スイーツ「たぶん……」
フューリー「うっ、うわぁぁぁぁ!! 人がっ、し、死んでっ?」
スイーツ「なんでここに来た?」
フューリー「え、ぇえ?」
バレンシア「落ち着きなさい。あなただって血まみれよ?」
フューリー「……ふぅ。……ふぅ」
バレンシア「落ち着いた?」
フューリー「ここに行けと言われたので」
スイーツ「フルーツに?」
フューリー「え? あ、はい。あなたが、スイーツ?」
スイーツ「行くか」
バレンシア「行ってらっしゃい」
スイーツ「ほらおじさん、行くよ」
フューリー「フューリーです」
スイーツ「僕はスイーツって呼ばれてる」
フューリー「お願いします」
スイーツ「なんで血まみれなの?」
フューリー「さっき……這いずってる人にぶつかって」
スイーツ「あぁ」
フューリー「これはその人の血、ですかね」
スイーツ「さ、乗って」
●スイーツ、フューリー。ハケ。
バレンシア「さむい」
おわり
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