脚本4「ROOM OF THE DEAD」
《あなたなら恋人がゾンビに襲われた時、
どうする?》
○登場人物
・多島(たじま)
・湊(みなと)
・時津(ときつ)
【1】DEAD
舞台上には無数のゾンビが蠢いている。その中の一体は金属バッドを引きずっている。●多島、湊、時津もゾンビとして動き、時津が金属バッドを引きずっている。
多島「ウォぉ……ぉぉおうぉあ……」
湊「あぉおあぁおお……があぁぅああ!!」
時津「ガラガラガラガラ。ヴぉヴヴぁ……」
【2】ある一軒家。
時間は少し戻り、多島と湊が隠れている。
●多島、板付き。
多島「外はどうなってる?」
湊「まだうじゃうじゃしてるなぁ」
●湊、入り。
多島「そうか」
湊「そろそろ夜になるな」
多島「今日はこの空き家にしよう」
湊「香澄を探す」
多島「ばか。もう遅い」
湊「あいつはまだあの建物で待ってるかもしれないだろ!」
多島「噛まれてんだ……。知ってるだろ」
湊「……知らねぇ」
多島「香澄があいつらみたいに人を食ってるとこを見たいのか」
湊「なんだと」
多島「腐ってグチャグチャになってる姿を見たいのかって言ってんだ」
湊「うるさい! 黙ってろ! おれは行く!」
●湊、ハケ
多島「おい! 湊! 待てっ! ……おれは行かないからな」
【3】時津
外で金属バッドを振り回して走っている。
●時津、板付き。多島、板付き。多島は部屋にいる
時津「もーうぅ嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ疲れた! 寄るなぁぁっ! たすけてぇ!」
●時津ハケ
【4】湊
外へ出た湊。
●湊、入り
湊「香澄待ってろ、絶対助かるからな。置いてってごめんな。待ってろよ」
●湊、ハケ
【5】多島
さっきの部屋。
多島「……くっそ。湊の野郎。わぁったよぉ! まだ喰われてんじゃねぇぞ……」
●多島、ハケ。
【6】避難所(薄暗い部屋)
ある部屋に、時津が一人。どこかの建物に逃げ込んだ。金属バッドを抱えている。そのうち力が抜けて座り込む。
●時津、入り。
時津「はぁっはぁ。い、生き延びた! 今日もおれは生き延びた! はぁっはぁ。へへ。へへ」
●時津、ずるずると壁伝いにへたり込む。
●バンッというドアが開く大きい音。時津、とっさに反応し、金属バッドを振りまくる。
時津「ひっ、うぉぉあぁぁ!」
多島「うわぁあぁっ!」
時津「うぉあぁぁー!」
多島「に、人間か!?」
時津「入ってくるなぁぁあ!」
多島「お、落ち着け、落ち着け!」
時津「助けてくれぇぇ!」
多島「落ち着けって!」
時津「うぉあああ!」
多島「ころすぞ!」
●時津、バッドが壁にあたり手がしびれる。多島、入り。
時津「ふっ……ぐぅぉ……」
多島「落ち着け。な?」
時津「生きてる? 人間?」
多島「生きてる生きてる。まだ人間だ」
時津「そ、そうか、はぁぁぁぁぁ~~」
多島「この建物にはいつから?」
時津「さっき来たばかりだけど」
多島「女の子は居なかったか?」
時津「わからない」
多島「男は」
時津「生きてる人間に会うのは久しぶりだよ」
多島「……あいつら、どこに行ったんだ」
時津「誰かを探してるの?」
多島「友達を。まだ遠くにはいってないと思うんだけど」
時津「あんた、あの群れの中を手ぶらで抜けてきたのか?」
多島「静かにしていれば大勢寄ってくることはないんだ」
時津「そ、そうなのか」
多島「ここも危ないと思う。多分、さっきの声であいつらが寄ってくる」
時津「そ、そんな。もう無理だよぉ、しんじゃうよぉ」
●家の壁がいたるところでガタガタと音を鳴らす。
多島「来た。上の階に行こう」
●多島、時津ハケ。
【7】香澄。湊。
湊は香澄を探している。
●湊入り。
湊「香澄、どこだ。なんであの家から出たんだ。どこだ、どこだ香澄! 返事をしてくれぇ!」
●大声に反応して呻き声と共に次々と寄ってくる。湊は道を変える。
湊「うっ。くそ。香澄ぃ」
●湊ハケ。
湊「か、香澄!! 無事だったか!?」
【8】逃走。
群れから逃れるために2Fへ上がった時津、多島。
●多島、時津の順に入り。
時津「もう無理だよ、諦める。僕はもうここで喰われるんだ。喰われるんだぁぁ!」
多島「静かにっ」
時津「だってあんなにうじゃうじゃいるんだ……もう無理だよぉ」
多島「……そうだな。このままだと逃げ場もない」
時津「喰われる前に殺してくれ」
●多島。時津から金属バッドを取る。
多島「行くぞ」
時津「できれば、一瞬で。即死でお願いします」
多島「ふっ!」
●多島、金属バッドを振り、蹴散らしながら1F、外へと行く。ハケ。
多島「突破するぞ!」
時津「えっ、えっ。……お、置いてかないで!」
●時津、ハケ。
【9】群れ
囲まれた家から強行突破する多島と時津。湊は外で群れの中から香澄を見つける。
外。群れ。会する。
●湊、板付き。
多島「はあっはぁはぁ。抜けた。あ、あんたすげぇな」
時津「え、ぼ僕は何も。必死で」
●多島、時津入り。
多島「いや、腕をちぎって振り回すのは思いつかなかったよ」
時津「は、はぁ」
湊「……ぅ」
多島「湊! しまったっ声がっ」
時津「待って、その人っ」
多島「無事だったか? 香澄は、いたか?」
湊「ぅぉおぁ……」(多島に噛み付く)
多島「ヴっ、や、やめろ、湊っっ」
湊「ヴヴぅうっ」
多島「湊、おまえ……」
●多島、倒れる。その後起き上がり、彷徨く。
●舞台上には彷徨く湊、多島。静かにそれを見る時津。
時津「静かに。静かに、去る」
●時津、ハケ。
時津「喰われたくない……」
終わり
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