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脚本1「ジャムる」

《おーっとぉ、こいつぁバカ共だ!》


●登場人物
◯二払(にぺい)
◯人見(ひとみ)
◯車武(しゃむ)

●三人とも板付きで円卓を囲む。

二払「食う。いや喰うでしょこれ。君らは食わないの? 死ぬよ?」
人見「私は……食べない。だってあと少しだもの。あと少しの辛抱だもの」二払「あと少しって、終わりがわかったような言い方だな」
人見「私、来週健康診断なの!」
車武「二払君の意見には賛成だ。このままでは餓死は免れないだろう。しかし、問題点はそこじゃないんじゃないか?」
二払「なんだって? 三日間水だけ生活だったんだぞ」
車武「この円卓の上に、誰がイチゴジャムの瓶を置いたかってことが問題だ」
人見「そうよ……たしかにそうよ! いったい誰なの!? 来週は健康診断だっていうのに、このままじゃ体重が減らせないじゃない!」
車武「いや、人見君、君の健康診断に向ける意思は異常じゃないかな。そんなんじゃあ体重が減っても、健康的にはズタボロであろうよ」
人見「構わないわ。体重増加は死にも等しいの」
二払「そ、それは言いすぎじゃ」
車武「ほら、また論点がズレるよっ。いいかい、僕らは今、大変ピンチなのだよ。このホテルの料理長である二払君、それと給仕長である人見君共々が1206号室に閉じ込められて三日も経っているのだからね?」
二払「そもそもオーナーがルームキーをベランダから落としたからだろ」
車武「二払君! 君は話を逸らすのが随分とお好きなようだぁぁなぁ! あぁん!?」
人見「落ち着いて車武オーナー!」
車武「失礼した。それでだ、我々は閉じ込められて三日。そして今日起きたら、円卓の上にジャムの瓶が置いてあった。これがどういうことかわかるかね? 二払君」
二払「えぇ、糖分摂取は生き抜く上で必須かと」
車武「はい人見君」
人見「健康診断への根性が試されているのかと」
車武「正解は何者かがこの部屋に入ったということだ」
二払、人見「な、なんだってぇぇーーー!?」
車武「うるさいぞ! いいか、誰かが入ったということだ、この意味がわかるか?」
二払「ああ、優しい奴がいる」
人見「世の中捨てたもんじゃないってこと!」
車武「正解はこのホテルには従業員が他にも出社しているということだ」
二払、人見「な、なんだってぇぇーーー!?」
車武「うるさいぞ! したがって、この部屋から出る方法はただ一つ。次に何者かかが侵入した時だ!」
人見「作戦名《シーフ》ね」
二払「ははは、それじゃあ泥棒じゃないかぁ」
車武「それでは各員待機!」
二払「オゥケィオーナー! じゃあ俺はキッチンからオレンジジャムを持ってくる!」
車武「味は任せる」

●二払ハケ

人見「ちょっと私ダイエット中!」
車武「さぁ長い一日になるぞ」
人見「まったく、イチゴジャムだけで充分よ」

●人見はジャムをつまむ。

車武「人見君……ダイエットは」
人見「え、なにオーナー今私にデブって言ったの?」
車武「全然。そんなことは全然!」

●コンコンとノックが鳴る

車武「お、二払君早いな。今空ける」
二払「色々持ってきた」
車武「おー大量であるな」

●全員……。

人見「ドア、開いてるね」
車武「カードキーないのに?」
二払「内側からなら開くけど」
車武、人見「早く言って!」
車武「なんで三日間もここにいたの!?」
二払「オーナーがカードキー無くすから……」

終わり

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