【昭和すご玩具】何がすごかったのか!特許「まるで生き物のように自律して階段を降りる」スリンキー?
バネのおもちゃ、USA「スリンキー」と日本の「トムボーイ」 昭和玩具Vol.2 からの続きです。
「スリンキー(Slinky)」特許番号「US2415012A」は
何がすごかったのか?
特許の内容を要約すると、
単に「バネをおもちゃにした」というだけでなく、スリンキーが「まるで生き物のように自律して階段を降りる」ための絶妙な物理的バランスがこの特許で定義されています。
特許原文の中で、この「おもちゃとして自律して(歩くように)動く驚きや特性」について原文を。
"An object of the invention is to provide a toy which of its own initiation or with minimum initial guidance will, if placed upon an inclined surface such as a flight of stairs, travel down the incline or stairs step by step without external application of force."
「本発明の目的は、階段のような傾斜面に置かれた際、自発的に、あるいは最小限のきっかけを与えるだけで、外部から力を加えることなく、傾斜や階段を一段ずつ進んで(降りて)いく玩具を提供することである。」
バネの「生き物のような」の部分は、
"The spring, when so extended, acts to crawl or walk down the stairs as it alternately extends and compresses or gathers its coils."
「このように引き伸ばされたバネは、コイル(巻線)が交互に伸びたり、縮んだり(集まったり)を繰り返すことで、まるで階段を這ったり歩いたりするように動く。」
外部の力なしに、階段を一段ずつ降りていく
この特許に使った独特なワードは、スリンキーの持つ自律的な動きを表現しています。
of its own initiation ⇒「自律して」
without external application of force ⇒「外部から力を加えることなく」
crawl or walk ⇒「生き物のように(這う、または歩く)」
このように科学を命の宿ったかのような表現「生き物のように」と玩具として捉えているところがおもしろい。
映画トイストーリーでも活躍しました。
胴体のバネをつかって体を長く伸ばしたりして愛くるしい笑いもとっています。
昭和40年代に生まれたバネのおもちゃ「Tomboy」
昭和39年10月の東京オリンピックが終わったあとくらいに発売されたと記憶している。爆発的なヒットとなったのはそれから3年~4年後のこと。
元祖バネのおもちゃスリンキーを知るまでは、日本発のおもちゃと長い間思っていた。

ひょんなことから、ディズニー映画「トイ・ストーリー」に出てくるスリンキードッグを調べていたら、バネのおもちゃはアメリカにパテントがあることを知る。

Tomboy は、横浜にある三光発条(現サンコースプリング株式会社)で製造販売されていました。
レトロおもちゃ大図鑑によれば、メーカーの三光発条は当時ミニカーのスプリングの製造をしていたとあります。
図らずもアメリカと日本で工業製品の製造から始まっているのが「おもちゃ」として異質なのだと思います。
アメリカのバネのおもちゃが生まれてから15年以上経った日本で流行したとすれば、その存在を知りつつ日本の技術で改良して販売していたのではないか、と考えます。
当時のおもちゃの流行のサイクルは10年以上続いてもおかしくないので、ロングセラーとして親しまれていました。
スリンキーとトムボーイの決定的違い
おもちゃ(子供から大人まで)としての気配りの違い。
トムボーイは、後発商品だけあって本家のスリンキーが使っていると「サビ」が出て使い方や保管方法に気を使います。
ところがトムボーイは、錆びにくい。滑りやすく錆びにくいメッキ加工を表面処理に使っていました。
同じバネの技術を使った商品ですが使ってみるとわかります。
見た目は、らせん状に巻いたバネですが、スリンキーは平たい帯鋼を使いっているのに対して、丸いワイヤー(鉄線)を均一の力で極限まで密着させて巻く独自の技術を使っています。
そのため、階段を降りるときやお手玉のように伸縮を楽しむ時の精度の音が違っていました。
本家を超えるほどの美しい駆動力を生み出していたとも言えます。
トムボーイのパッケージにある「PAT. No」を勝手に推測してみる。
「まるで生き物のように自律して階段を降りる」というスリンキーのおもちゃの特許に対して3つの考察

1、新規性の壁
日本に持ち込まれた時から、これは世界にない全く新しい発明(新規性)ではないことはわかっていたと思います。
2、バネ製造技術
メッキの技術と滑らかな動き、丸いワイヤー(鉄線)を使った製法の違いを取得していたとも?
3,米国特許のライセンシーとして明記
当時、日本のおもちゃは、ブリキのロボットやモダンペッツなどに代表されるぬいぐるみ、科学玩具としての地球ゴマなど海外へ輸出が盛んだったこともあり正規品の認定として印刷されていた。

このバネのおもちゃに関しては、本家の商品を越えた滑らかな動きを実現し、子供が遊んでもケガをしにくい丸い鉄線で手当たりを軟らかくしたり、錆びないメッキ加工を施したりしてた。
現在では、取扱が楽なプラスチックバネのスリンキーが生まれています。
