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Nゲージャーよ、もっと冷静になれ

――「0.1mm」に怒る前に考えてほしいこと

今日、KATOの工場から小さな段ボール箱が私が経営するお店に届きました。

中に入っていたのは、まつり堂模型店の値段シールが付いた、比較的最近発売された「ED71 1次形」が数両。

これは、パンタグラフ交換のために当店からKATOへ送っていた商品です。メーカーによる部品交換を終え、店に戻ってきたのでした。

今回の対応理由は、パンタグラフを畳んだときの姿勢が、実車と同じ状態にならないというものです。

しかし、戻ってきた商品を眺めながら、私はどうしても考えてしまいました。

これ、本当にKATOをネット上で叩き、大規模な交換対応を求めなければならないほどの問題だったのでしょうか。

店長は、入荷検品で気づかなかった

まつり堂模型店では、入荷した商品を店頭に並べる前に検品しています。当然、このED71 1次形も確認しました。

しかし正直に言えば、私はパンタグラフの姿勢の違いに気づきませんでした。

走行しない。部品が欠けている。ライトが点灯しない。塗装が大きく剝がれている。

そのような明確な不良であれば、販売店としても見逃せません。お客様が本来期待できる機能や外観を備えていない以上、メーカーに改善を求めるのは当然です。

けれど今回は、パンタグラフを畳んだときの姿勢です。

それも、店頭で普通に商品を眺めただけでは、多くの人が気づかない程度の違いでした。

もちろん、気になる人がいることは理解できます。実車をよく知る人ほど「ここは違う」と気づくのでしょう。

しかし、気づいたことと、メーカーを激しく非難することは別の話です。

気に入らなければ、自分で直すという楽しみ方もある

少し前まで、鉄道模型は「買って終わり」の商品ではありませんでした。

気になる部分があれば、自分で部品を交換する。ニッパーやピンセットを使って形を整える。塗装を加える。別売りパーツを取り付ける。

そうやって自分好みの一両に仕上げることも、鉄道模型の大きな楽しみだったはずです。

パンタグラフの形が気に入らないのであれば、より好みに合う部品を探して交換する。加工できる人なら、自分で慎重に調整する。

それではいけないのでしょうか。

メーカーがすべてを完璧に仕上げ、買った人は箱から出して採点するだけ。少しでも実車と違えば、写真を撮って拡大し、SNSや掲示板で欠点を並べる。

そんな趣味になってしまったら、あまりにも寂しいと思います。

0.1mmの段差は、本当に「悪い塗装」なのか

TOMIXの製品でも、似たような光景を見かけます。

車体の角にわずかな塗装の段差がある。肉眼ではほとんど分からないのに、カメラで接写し、画面いっぱいに拡大して、「TOMIXの塗装は悪い」と騒ぎ立てる。

はっきり言います。

そんなもの、普通に走らせ、普通に眺める分には、ほとんど分かりません。

Nゲージの車体は非常に小さいものです。その小さな製品に、複数の色を塗り分け、細かな印刷を施し、一定の価格で大量に供給する。そこには模型ならではの技術的・経済的な限界があります。

実物を何十倍にも拡大して見つけた0.1mm程度の段差を理由に、製品全体を「粗悪品」と決めつける。

それは本当に、公平な評価でしょうか。

1/150から少し外れたら失格なのか

マイクロエースの製品についても、「ここが正確な1/150ではない」と批判されることがあります。

確かに、スケールモデルを名乗る以上、寸法の正確さは大切です。

しかしNゲージの製品は、単に実車を150分の1に縮小すれば完成するわけではありません。

モーターやギヤ、集電機構を車体の中に収めなければならない。カーブを曲がれるようにしなければならない。壊れにくさも必要です。製造可能な厚みや強度も考慮しなければなりません。

さらに、模型として格好よく見えるよう、あえて一部を強調したり、省略したりすることもあります。

多少の誤差があるからといって、その模型が持つ魅力まですべて否定してよいとは思いません。

品質基準は、さまざまな条件の上に成り立っている

新製品が正式に出荷されたということは、基本的にはメーカーが定めた品質基準を満たしたということです。

その基準は、実車との正確さだけで決められているわけではありません。

製造方法、部品の強度、作業時間、検品体制、予定している生産数、そして販売価格。さまざまな条件を考慮したうえで、「この品質なら商品として届けられる」と判断されています。

もちろん、メーカーの品質基準が絶対に正しいとは限りません。明らかな不具合や、安全性・走行性能に関わる問題に対しては、改善を求める必要があります。

しかし、自分の理想と少し違うというだけで、「手抜きだ」「技術が落ちた」「このメーカーは駄目だ」と大声で叩くのはいかがなものでしょうか。

求める品質を際限なく上げれば、その負担は必ずどこかに現れます。

交換対応の向こう側には、人がいる

今回の交換対応でも、実際に手を動かしている人たちがいます。

問い合わせを受ける人。交換部品を準備する人。送られてきた商品を確認する人。部品を用意する人。梱包し、販売店や購入者へ送り返す人。

一件だけなら小さな作業に見えるかもしれません。しかし、対象商品が全国に何千個もあれば、その負担は決して小さくありません。

予定していなかった作業が増えれば、通常業務にも影響します。新製品の開発や生産に使うはずだった時間が、交換対応に割かれる可能性もあります。

そして新製品の発売が遅れれば、今度は「発売予定を守れないのか」とネットで叩かれる。

これでは、メーカーで働く人たちはたまりません。

消費者には意見を述べる権利があります。しかし、その言葉の向こう側に、自分と同じように働いている人がいることは忘れないでほしいのです。

実車を超える完璧さを求めて、何を見るのか

そもそも実車だって、すべてが完璧ではありません。

塗装には個体差があります。補修跡もあれば、汚れも傷もあります。部品の取り付け状態にも違いがあります。

それなのに模型には、実車以上に均一で、実車以上に正確で、拡大写真で見ても一切の乱れがないことを求める。

それは、少しおかしくありませんか。

鉄道模型は、工業製品であると同時に、実物の鉄道を小さな世界に再現して楽しむためのものです。

手に取った瞬間のわくわく。線路に載せ、ゆっくり走り始めたときの喜び。お気に入りの編成を眺める時間。

私たちはいつから、そうした楽しみよりも、欠点探しに夢中になってしまったのでしょう。

Nゲージャーよ、もっと冷静になれ

気になるところがあれば、自分で直してみる。

部品を交換する。少し加工する。色を差す。それが難しければ、気にせず走らせて楽しむ。

明らかな不良と、模型として避けにくい誤差。そして単なる自分の好み。この三つを、きちんと分けて考える必要があります。

メーカーに意見を伝えるな、と言いたいのではありません。

ただ、カメラで何倍にも拡大してようやく見つかる小さな段差や、わずかな寸法差を取り上げ、製品やメーカーを全否定するような風潮には、強い違和感があります。

完璧さを追い求めた結果、商品の価格が上がり、発売が遅れ、メーカーの負担が増え、製品そのものが作られなくなってしまったら、いったい誰が得をするのでしょうか。

模型は、欠点を探すためにあるのではありません。

手を加える余地も含めて、小さな鉄道の世界を楽しむためにあるものです。

Nゲージャーよ、もっと冷静になろう。

そしてもう一度、鉄道模型を「楽しむ」という原点に戻ろうではありませんか。


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