梅仕事5年目。できたて梅干しで、夏をおいしく、健やかに
遡れば、私が梅仕事を始めたのは2020年のこと。
今年で5年目になります。
一年に一度だけ訪れるこの季節、梅の収穫期は6月から7月にかけて、ちょうど梅雨の湿気と重なります。
収穫や塩漬けのタイミングを逃さないように、天気とにらめっこしながらの仕込み。そんな時間もまた、季節の営みの一部。
梅仕事は、忙しい日々の中にある静かな贅沢であり、暮らしに季節の彩りを添えてくれる年中行事になっています。
梅干しは、古くから受け継がれてきた日本の伝統的な保存食。
唾液の分泌を促して口の渇きや吐き気を和らげ、咳を鎮めるとされます。
また、慢性的な下痢や出血症状(血尿・血便など)にも使われてきました。
クエン酸やリンゴ酸などの有機酸を豊富に含み、抗菌・抗酸化作用があることから、おにぎりやお弁当に欠かせない存在でもありますね。
今年は、梅シロップや薬膳梅コーラ、梅みりんなど、さまざまなバリエーションの梅仕事にも挑戦しました。
その分、梅干し用の南高梅は控えめな量での仕込みとなりましたが、ひと粒ひと粒を丁寧に塩漬けし、梅酢がしっかり上がってくるのを毎日観察するのもまた楽しみのひとつ。
梅干しづくりでは、まず南高梅をじっくり追熟させます。青みの残る実が、やがてほのかに黄色みを帯び、甘く芳しい香りを放ちはじめたら──いよいよ作業のスタートです。

梅は、まず優しく水洗いします。傷つけないように注意しながら、ヘタの部分を楊枝や竹串で丁寧に取り除いていきます。
その後、大きめのボウルや容器にたっぷりの水を張り、梅をそっと沈めてアク抜きを。だいたい2〜3時間ほど浸けたら、水気を切ってザルなどにあげ、表面がしっかり乾くまでしばらく置いておきます。
表面が乾いたら、いよいよ塩漬けの工程へ。
梅と塩を二重にしたビニール袋に入れ、ホワイトリカー(焼酎や35度程度のアルコール)を全体にまわしかけます。
梅の表面を殺菌し、カビを防ぐ効果があります。
このとき、塩は梅の重さの18%が目安。たとえば梅1kgに対して塩180g。
塩を全体にまんべんなく行き渡らせたら、袋の口をしっかりと縛るか、輪ゴムで密閉。
さらに段ボールやフタ付きの容器に入れて、冷暗所に置いて保存します。

⬇︎1週間ほど経過。梅酢が上がってきたタイミングで、袋の向きを変えて塩がまんべんなく行き渡るようにします。

袋をそっと動かして、偏りがないように。
⬇︎2週間以上経過。梅酢がしっかりと上がり、全体がしっとりと漬かってきました。

白梅酢としても活用できますが、今回は土用干しへ。
⬇︎2025年の土用は、7月19日〜8月6日。今年もいよいよ“天日干し”の季節がやってきました。

梅を一粒ずつやさしく並べ、乾燥の準備をします。
⬇︎土用干しは晴天が続く日に行うのが理想的。
午後には裏返し、夕方になったら部屋に取り込む──これを3日間繰り返します。今年は7月22日から干し始めることができました。

⬇︎早速、出来立ての梅をお弁当に。
夏のお弁当には、やっぱり梅干し。抗菌作用で防腐効果も期待できる、昔ながらの知恵です。

そして今回は、ぜひ試していただきたいおすすめの一品、
「イワシの梅煮」をご紹介します。
【材料(2〜3人分)】
・イワシ(中サイズ)……4尾
・梅干し……2〜3個
・生姜……1片(薄切り)
・長ネギ……1本(斜め切り)
・水……300ml
・酒……20ml
・みりん……30ml
・醤油……20ml

【作り方】
1. イワシは頭と腹ワタを取り除き、水でさっと洗って水気をふき取ります。 生姜は薄切り、長ネギは斜め切りに。
2. 鍋に水・酒・みりん・醤油を入れて火にかけ、ひと煮立ちさせます。
3. イワシを鍋に並べ、梅干し、生姜、長ネギを上にのせます。
4. 落とし蓋をして、弱火で15分ほど煮ればできあがり。

煮汁をたっぷりかけてどうぞ。
薬膳メモ:イワシ×梅干しの嬉しい効能
イワシは、東洋医学で“補気養血”の食材とされ、エネルギーを補い、気力を高める働きがあります。
疲労回復や血行促進、心身のバランスを整えたいときにおすすめ。
水分代謝も促すため、むくみの改善にも効果的です。
栄養学的には、ビタミンDやB群、カルシウムの吸収を助ける成分が豊富に含まれ、EPA・DHAといったオメガ3脂肪酸もたっぷり。
血液サラサラ効果や脳の活性化にも一役買ってくれます。
そこに、梅の有機酸(クエン酸・リンゴ酸)が加わることで、魚の臭みを抑えつつ、風味を引き立て、食欲増進にも◎。
梅煮はサバやアジでも応用可能。
煮汁ごとたっぷりと絡めて召し上がってみてくださいね。
梅の力で、砂糖なしでもほんのり甘く、やさしい味わいに仕上がりました。忙しい日にも、日本の煮魚のおいしさを気軽に楽しめます。

