僕には鳥の言葉がわかるを読んでみた
どうやら人以外の動物も言葉を持っていて、さらに文脈やジェスチャーまで使って言葉を交わしているときいたら、すごく興味が湧きませんか?
世界で初めて、人間以外の動物も言葉を持つと科学的に証明した日本人がいます。
動物言語学者の鈴木俊貴さんという方で、彼の発信しているX、ラジオやYouTubeをみて、めちゃくちゃ面白い!と思っていたところ本が出版されたので読んでみました。
〈内容〉
古代ギリシャ時代から現代に至るまで、言葉を持つのは人間だけであり、鳥は感情で鳴いているとしか認識されていなかった。
その「常識」を覆し、「シジュウカラが20以上の単語を組み合わせて文を作っている」ことを世界で初めて解明した研究者による科学エッセイ。
現在東京大学准教授の動物言語学者であり、この本の著者、鈴木俊貴さんが、大学生の時から始めたシジュウカラの言語を研究する日々や、実験する中で起きる様々なエピソードがかわいいイラストと共に綴られています。
動物好きの私はめちゃくちゃ面白かったし、動物や自然環境に対しての向き合い方が純粋に好きです。
自分以外の生き物と同じ目線に立つというのは、どういうことなのか。
読んでいく中で感じた魅力を書いていきます。
動物言語学
この本で衝撃だったことの一つは、動物言語学は鈴木教授自身が立ち上げた学問ということです。
今まで動物と人が単語やコマンドを使ってコミュニケーションをとることや、動物同士でも体や声を使って意思疎通していることは理解していましたが、「人間以外の動物が言葉をもつ」ということを研究、証明した人が今までいなかったということに驚きました。
むしろ私の周りの動物たちを見てなんとなく、それぞれの動物同士の言葉、コミュニケーションを持っていると、本当になんとなく信じていただけだったことに、その時初めて気がつきました。
そんな革命的な発見により、新しい学問である動物言語学が日本の研究者によって立ち上げられたことは、同じ日本人として誇らしいです。
まさに今、一つの学問が広がっていくところに一緒に生きていられるなんて、ラッキーだと思います。
爽快な実験方法のアイデア
当時大学生の鈴木教授が、シジュウカラたちを観察する中で、どうやら鳥は言葉を持っている!と気づく瞬間や、シジュウカラの鳴き声とそれを表す単語を証明する方法を思いつく瞬間のひらめきが、とても爽快です。
疑問が出たところで一度本を閉じて、どうやって科学的に証明したのか当ててみよう、というなぞなぞ形式で読むとなお、読んだ後アハ体験(懐かしいですね)のような感覚になり面白いのでよかったらやってみてください。
例えば「へび」という単語を証明するためにどんな実験方法を行ったのでしょうか?
答えは、
スピーカーと木の棒を使って、へびという意味と思われる鳴き声を流しながら木の棒を動かした時に、シジュウカラがへびと「見間違う」という反応を確かめ、特定の鳴き声以外の音を出す時と比べるというアイデアを使っていました。
みなさん少しでも爽快感、感じていただけたでしょうか?
このほかにもルー大柴さんのルー語からヒントを得た実験など、様々な研究と実験のエピソードが綴られていて、どれも読んでいて見事な証明や発見に、面白さと爽快感があります。
そして独特で可愛い実験のネーミングにも注目してしまいます。
いつも身近なところにヒントがあって、いつも聞いている音や動物の動きにも、知らなかっただけで意味がある。それに気づくこと、証明することは本当にすごい、尊いことだと思います。
井の中の蛙人間救出作戦!
古代ギリシャ時代から現代まで、言葉を持つのは人間だけだと信じられてきた中で、鳥が種を超えて単語を使い分け、文脈を作り言葉を伝え合うことを知った今、逆に人間が動物たちの言葉を理解できない、まさに自然からすると井の中の蛙ではないか!という人間たちを救出する作戦が始まっています。
鈴木さんのネーミングも、すごく親しみやすくて可愛いですね。
鈴木教授のシジュウカラ語の発見の論文の一部は、現在中学校の国語の教科書にも載っているようです。
動物言語学を学ぶことは、人類の新しい自然との関わり方に対する第一歩ということで、たくさんの人がシジュウカラ語から自然界の言葉に耳を傾ける意識が広まるといいなと思います。
"僕たち"には、動物の言葉がわかる。そうなったら、自然に耳を傾けることが当たり前になったら、どんなに美しく、素晴らしい世界が広がるんだろう
著者のほっこりするイラスト
この本の所々で見られる鈴木教授が描いたイラストも大きな魅力です。

シジュウカラの研究での工夫や生態がわかりやすく描かれていて、シジュウカラ愛に溢れたイラストがめちゃくちゃ可愛いです!
動物と自然に対する真っ直ぐな姿勢
鳥たちの環境を変えずに、特別な機械を使わない方法で実験する工夫や知恵は、鈴木教授の動物に対する真っ直ぐな姿勢そのものだと思いました。

異常なまでの動物に対する愛と情熱がなければ、一年のほとんどを極寒の長野県軽井沢の山の中で過ごし、シジュウカラが安全で快適な巣箱を作り、何羽にも及ぶ個体識別の作業をやり遂げられるはずがありません。
動物の目線になって、人間も同じ動物として自然に敬意を払う姿勢でいるからこそ、動物たちの世界をさらに広く知ることができたのだと思います。
鈴木教授の論文は世界的な雑誌にも掲載され、高く評価されました。この本には、鈴木教授の、他の動物行動学者や研究者への深い敬意も書かれています。
彼らの、他の種の生物への敬意を持って、迷いなく目を輝かせて向かい合う姿勢は、人の命の輝きそのものだと嬉しくなります。
向き合いすぎて研究者が研究対象の動物に似てくるという話があり、自身もシジュウカラ化してきているそうです。面白すぎます。
これから動物言語学が発展して、人間が忘れかけた新しい自然の世界が鮮やかに広がっていくと思うと、わくわくしてきます。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
